ドント・ハングアップ
―2016年製作 英 83分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:イタズラ電話をきっかけに正体不明の恐怖が迫るシチュエーションスリラー。(KINENOTE)
あらすじ:モズリーとブレイディはイタズラ電話で人をダマし、その様子を実況しながらSNSに流して反応を楽しむ悪質な遊びにハマっている。2人はいつものように酔った勢いで知らない番号に電話し、ある男に繋がる。いつものようにダマそうとするが、全くこちらの意図に乗ってこず、面白くない2人はすぐに電話を切る。すると今度は家の電話が突然鳴り出す。その電話は先ほどの男からの折り返しだった。その男はなぜか2人の名前を知っていて、次第に男の異常性があらわになってくる。
2人のいるリビングのTVが突然ONになり、映し出されたのは監禁されているブレイディの両親だった!さらに2人の友人も囚われの身となり、半殺しにされている。そしてモズリーの彼女にも何者かが襲い掛かる様子が映し出される。2人の大切な人たちを次々とターゲットに狙うその男の目的とは―?(amazon)
監督:ダミエン・メース
出演:ジャック・ベネット・アンダーソン/ギャレット・クレイトン/シエンナ・ギロリー/ベラ・デイン
ネタバレ感想
『ドント・ブリーズ』以降、この手の『ドント』作品はたくさん出ていると思われ、その類の1作といってもいいんではないか。で、今作でのドントなのは何かというと、「電話を切る」こと。かかってきた電話切っちゃいけないんです。でも、主人公たちは切りまくってるよね(笑)。
どういう話かっていうと、いたずら電話ずきの高校生4人組がいて、SNSにその一部始終を配信してる。ある日、4人組の中のブレイディとサムがいつものように、いたずら電話してたら、相手がどうも自分たちのことを知っているようで、そんなわけはないと半信半疑だったんだけど、相手の話が匿名で電話してた自分たちの個人情報を把握できてなきゃわからんような内容で、ビビり始めていたら、相手はさらに嫌がらせをエスカレートしていき、いたずら電話仲間やサムの恋人やブレイディの両親らが生死にかかわる危機に陥っていくのだ。んで、果たして二人はその嫌がらせ相手を特定して、窮地を脱出できるのかーーというのが適当なあらすじ。
結末からいうと、バッドエンドです。主人公たちにとっては。サム以外は全員死ぬし、サムは恐らく刑務所送りになってるからね。なんでそうなるかってーと、この事件の犯人は、サムたちがいたずら電話したことによって、妻子をなくしてしまった旦那だから。
サムたちがどういういたずら電話をしたのかってのは、冒頭に描かれている。まぁ酷いわな。簡単に騙されちゃうほうが悪いとは言えないような、酷い内容の電話だ。サムたちは面白半分でこうしたいたずら電話をいくつもかけては、その内容をSNSにあげていたのである。
本当に糞野郎どもだなと思うし、バカだ。どうバカかというと、投稿先に自分たちを特定できそうな画像やらをアップしているところ。今回の犯人はその情報を手がかりに、彼らの個人情報を知ったのだと思われる。
こんだけ悪質ないたずら電話をネット上にあげておいて、自分たちを特定できる情報も残している時点で、脳みそが腐っているじゃないかと思わせるバカっぷり。バカじゃないとそんなことしないだろうなと思われても仕方ないほどに、鶏並みの知能しかないボンクラが、その場の楽しみだけのために動いたらどういう結末を迎えるのかってのがよくわかる。
中でも阿保なのはブレンディだ。だが、それなりにまともな感覚の持ち主のように思えるサムもけっきょくはいたずら電話を一緒になって楽しんでいるという意味では、自分の若き日はそんな感じの奴だったかもしれないと、すわりの悪さを感じなくもないんだけど、やっぱり感情移入はできない。
で、その一番まともな感覚っぽく見えるサムが生かされてムショ送りになるという意味では、周囲に流されて悪いと思っていても悪いことへと流されてしまう普通の人間に対する風刺をこめているという見方もできる。
昨今有名な迷惑系ユーチューバーを風刺しているととらえることもできるこの作品、実はそれだけにはとどまらず、自分が悪いことをしていないと思っている奴でも、周囲の状況に流されて、何かしらそういうことをしているはずだーーというのを突き付けているといえなくもない。
要するに、感情移入できない主人公たちの末路を、自業自得ーーという見方だけでとらえるのではなく、自分自身もそういう自業自得と言われかねない悪事を知らぬ間にやっているのではないかということを示唆しているのかもしれないということだ。
でも、さすがにサムやブレイディとその仲間はともかく、その親とかまで殺してしまう犯人も、すでにしてサムやブレイディと同じか、それ以下の罪人になってしまっているよね。とまぁ、いろいろ書いてきたけども、さして面白くもないので、進んでみる必要はない作品だと思います(笑)。『グラインドハウス』の予告編、エドガーライトの『Don’t/ドント』を見たほうがまだ楽しめるよ。
コメント