影踏み
―2019年公開 日 112分―
解説:ミステリー作家・横山秀夫の小説を、山崎まさよし主演で映画化。深夜に人のいる住宅に侵入し、盗みを働く泥棒、通称“ノビ師”。その中でも凄腕の真壁修一はある夜、忍び込んだ家で放火しようとしている女性を止めたことから、警察に逮捕されるが……。共演は「台風家族」の尾野真千子、「十二人の死にたい子どもたち」の北村匠海、「影に抱かれて眠れ」の中村ゆり。監督は「起終点駅 ターミナル」の篠原哲雄。(KINENOTE)
あらすじ:単なる空き巣ではなく、深夜に人のいる住宅に侵入し、盗みを働く……。彼らは単なる泥棒とは異なり、通称“ノビ師”と呼ばれていた。寝静まった民家を狙い、現金を盗み出す忍び込みのプロ。その中でも、真壁修一(山崎まさよし)は、他と一線を画す凄腕のノビ師だった。証拠も残さず、決して口を割らない。その高く強固な壁を思わせるしたたかさから、いつしか警察は彼を“ノビカベ”というあだ名で呼ぶようになっていた。そんなある夜、修一は侵入した稲村邸の寝室で、寝ている夫の傍で火を放とうとする妻・葉子(中村ゆり)の姿を目撃。とっさの行動で彼女の放火を止める修一だったが、その直後、幼馴染の刑事・吉川聡介(竹原ピストル)によって逮捕されてしまう。そして2年後。刑期を終えて刑務所を出所した修一を迎えてくれたのは彼を慕う弟・啓二(北村匠海)と恋人の久子(尾野真千子)だけだった。だが、修一の頭にはこの2年ずっと気がかりになっていたことがあった。何故、あの日の侵入がバレたのか? 何故、自分だけが逮捕されたのか?そしてあの時、夫を殺害しようとしていた葉子の行方は……? 久子の制止を振り切り、啓二と共に事件の真相を追って行動を開始する修一。そして、次第に明らかになる事件の謎。だが、それと共に修一自身が封印した20年前の悲劇も甦ってくる……。ひとつの事件が過去の事件を呼び覚ますとき、止まっていた修一、啓二、久子の運命の歯車が再び動き出す……。(KINENOTE)
監督:篠原哲雄
原作:横山秀夫(『影踏み』(祥伝社文庫))
出演:山崎まさよし/尾野真千子/北村匠海/鶴見辰吾/中尾明慶/大竹しのぶ/竹原ピストル/田中要次
ネタバレ感想
レンタルDVDで鑑賞。相変わらず邦画は映画館でないとセリフが聞き取りにくい。字幕がほしいくらい、聞き取りづらい。序盤から謎めいた展開でいろいろな人物の名前が出てくるので、誰が誰なのか把握しきれていない中で話が進むのに、声がよく聞こえないので余計に話について行きづらく、自宅で鑑賞してる人はこの時点で見るのをやめちゃう人もいるんではないか。
そこを何とか乗り切ると、主人公の旧友だった刑事を殺した犯人が判明するわけだが、なんで主人公はこの殺人の捜査をしてたんだっけ? 自分が捕まるきっかけになった、ある屋敷での出来事の真相を知りたかったから?
…たぶんそうなんだと思うけど、それにしても警察が無能すぎないかね。いくら頭脳明晰で、裏社会の情報源を持ってるとはいえ、素人の主人公の捜査よりも後手を踏んじゃってるのはいかがなもんか。
で、その殺人の裏には判事だのなんだの、それなりに社会的地位を持つ奴が絡んでいることが判明するのに、中盤以降はそれとは別の異常者が現れ、話が全然別の方向へ転がりだしていく。しかも、刑事殺しの犯人は、怪しげフラグを立てまくってた、主人公の身近な知り合いだったという。なんだよそれ。
後半部は主人公とは別の双子の存在が、主人公の幼馴染の女性にかかわってくるのである。で、その双子との諍いを解決することで、主人公自身が自分の双子の弟と、母親との間にあったわだかまり、そして幼馴染の女性との関係を前に進めていこうと前向きな考えを得るに至るまでの過程が描かれる。
つまりハッピーエンド的終わり方なんだけど、納得いかないのは、主人公の双子の弟は20年くらい前に死んでいるのであり、主人公が妄想の世界で対話していた双子の弟は、彼の脳みそが生み出している存在なのであって、死んだ弟では断じてない。
そのはずなのに、弟と母親が死ぬことになった火災事件のくだりを、自分の脳内の弟から真相を聞かされるっておかしすぎだろ。それって、自分の脳内がこしらえた作り話ではないかね。だって、弟は死んでるんだから、真相は闇の中でしょ。
だから仮に、あれが本当に死んだ弟からのメッセージだとしたら、この映画は山崎まさよし扮する主人公の弟が幽霊であることを前提に話を進めているとしか思えず、幽霊の存在を認めているのである。すごいね。もしくは、山崎まさよしは死んだ人間をこの世に呼び戻せる霊媒師だったんだろうねぇ。オカルトかよ。
コメント