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映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』ネタバレ感想

ファウンダーハンバーガー帝国のヒミツ
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ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

デファクトスタンダードなハンバーガーショップのスタイルを開発したマクドナルド兄弟と、そのサービスのフランチャイズ化に目をつけたレイ・クロックの物語。金儲けか職人的仕事を守るのか。対照的な両者の考えが行きつく先は――。ネタバレあり。

―2017年公開 米 115分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:世界規模のファーストフードチェーンマクドナルドの創業者レイ・クロックをマイケル・キートンが演じ、巨大企業誕生の裏側に迫る人間ドラマ。1954年。レイは、マクドナルド兄弟が経営する店の革新的システムに勝機を見出し、フランチャイズ化を画策する。共演は「Dearダニー 君へのうた」のニック・オファーマン、「ted2」のジョン・キャロル・リンチ、「わたしに会うまでの1600キロ」のローラ・ダーン、「死霊館 エンフィールド事件」のパトリック・ウィルソン、「ウォルト・ディズニーの約束」のBJ・ノヴァク、「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」のリンダ・カーデリーニ。脚本を「レスラー」のロバート・シーゲルが担当。監督は「ウォルト・ディズニーの約束」のジョン・リー・ハンコック。(KINENOTE

あらすじ:1954年、アメリカ。52歳のレイ・クロック(マイケル・キートン)は、シェイクミキサーのセールスマンとして中西部を回っていた。そんなある日、ドライブインレストランから8台ものオーダーが入る。どんな店なのか興味を抱き向かうと、そこにはマック(ジョン・キャロル・リンチ)とディック(ニック・オファーマン)の兄弟が経営するハンバーガー店マクドナルドがあった。合理的な流れ作業のスピード・サービス・システムや、コスト削減・高品質という革新的なコンセプトに勝機を見出したレイは、壮大なフランチャイズビジネスを思いつき、兄弟を説得、契約を交わすのだった。フランチャイズ化は次々に成功していくが、利益を追求するレイと兄弟との関係は急速に悪化。やがてレイは、自分だけのハンバーガー帝国を創るため、兄弟との全面対決へと突き進んでいく……。(KIENOTE

監督:ジョン・リー・ハンコック
出演:マイケル・キートン/ニック・オファーマン/ジョン・キャロル・リンチ/ローラ・ダーン/パトリック・ウィルソン/B・J・ノヴァク/リンダ・カーデリーニ

ネタバレ感想

マクドナルドの創業者はマクドナルドではない

昔ほどマクドナルドに行くことは減ったが、たまに食ってみると、うまいのである。しかも今は、世界のどこに行っても食うことができる。それはこの物語の主人公であるレイのおかげではあるわけだが、その裏にはこういう出来事が隠されていたと。

物語が展開される中で、レイは最初から乗っ取りが目的でマクドナルド兄弟に取り入っていたことがわかる。なかなかに非情な男だ。だが、ビジネスマンとしては有能ということか。ビジネス上で野心を持つ人は、こういう成功譚に魅力を感じるのだろう。

彼はビジネスで成功するには「執念と覚悟」が必要だという。そしてその様が見事に描かれた映画なわけだが、小市民的な俺の観点からするとやっぱり、なかなか酷い男であるなぁというのが感想だ。

献身的なあの奥さんは、離婚されちゃって気の毒である。で、レイとそのあとに結婚する野心家な女性もなかなかにひどい。それでも成功した後は、慈善事業などにも手を付けて名士となっていることが、ラストのエンドロールで説明される。

欲望が徳を生み、篤志家への道をひらく

仕事で、ある人物からこの作品につながるような話を聞いたことがある。以下のような話だ。

人間はまず、自分の欲望によって成功を得ようと頑張る。多くの人間はその段階でうまくいかずに、普通の人間として一生を暮らす。

だが、中には欲望を現実のものとする人間が現れる。その人物は成功によって名声を得る。そして目指す欲望が満たされたその人間には、人徳が備わるのだそうだ。成功が自分だけのものではなかったと知り、周囲への感謝の気持ちが芽生えるからだ。

そして、その人物は次に、その人徳によって困っている人を助ける篤志家になるのである。

確かにそういう成功者は多そうだ。思い浮かぶ人物もいる。そのいっぽうで、どんなに成功を続けても己の欲望によって生き続ける人もいるだろう。そういう人物も、思い当たらないでもない。

しかし、どちらの人間にもあったのは、レイが言うような「執念と覚悟」だろう。成功には他者を出し抜く競争力が必要だ。そして、勝つために時には人を出し抜く非情さが。

誰もが勝ち負けのゲームに参加せざるを得ない

事の大小はあるにせよ、小市民の俺も、実は同じようなことをしているのである。生きていく中で、勝ち負けのゲームには乗らざるを得ないのだ。それを降りるには、死を選ぶか世捨て人になるしかない。それが競争社会であり、資本主義社会の中で生きる宿命なのだろう――てなことを考えさせる作品であった。

やっぱり人生は、半分降りるに限る。そこを目指して頑張りたい。

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