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映画『フェイク 我は神なり』ネタバレ感想 神の導きに翻弄される人々

フェイク我は神なり
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フェイク 我は神なり

なかなか苛烈な内容である。物語中の人物は自分で考えて判断している人間が少ないように見える。否、考えてはいるのだが、最終的な判断を、大きな存在(作中では神)の導きに求めようとするのだ。そうではない人間として行動しているのが、主人公と思われるミンチョルと、詐欺師のオッサンだろう。ネタバレあり

―2017年公開 韓 101分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:「新感染ファイナル・エクスプレス」のヨン・サンホ監督が、信仰をテーマに2013年に発表した社会派アニメ。ダム建設予定地の故郷に帰ったミンチョルは、村人たちが妄信する教会に詐欺師が関与していると訴えるが、悪評高い彼の言葉を誰も聞こうとしない。「息もできない」のヤン・イクチュンがトラブルメーカーのミンチョルの声を務める。第34回シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭アニメーション部門最優秀作品賞を受賞。(KINENOTE)

あらすじ:ダム建設のため水没することが決まった片田舎の村に久しぶりに帰郷したトラブルメーカーのミンチョル。彼がいない間に建てられた教会にミンチョルの妻子を含め村人たちはこぞって通い、若い牧師ソンを崇めていた。インチキ教団を率いる詐欺師ギョンソクが村人たちの財産を狙い背後で絡んでいることを察知したミンチョルは、ギョンソクの悪行を阻止しようとするが、悪評高いミンチョルの言葉に村人も警察も耳を傾けようとせず、悪魔に憑かれた男と烙印を押す。(KINENOTE)

監督・脚本:ヨン・サンホ
出演(声):ヤン・イクチュン/クォン・ヘヒョ/オ・ジョンセ/パク・ヒボン

ネタバレ感想

この物語で面白いのは、自分の考えに基づいて行動している人間よりも、結局は神の教えに従って生きることを選んだ人間のほうが幸せに見えなくもないというところ。その例として一番わかりやすいのは、ミンチョルの弟分だった男だ。

彼は教団の活動に熱心な妻の言もあって、自分も教団の教えに従う(信じる)ことを決める。そして、病によって最終的に息を引き取った妻の安らかな顔を見て、彼は「彼女は天国に行けて幸せなのだ」。というようなことを言う。

ミンチョルはそれを一笑に付すが、弟分は妻の幸福を信じて疑わない。つまり、彼も幸せなのである。それを信じることができないミンチョルよりは(もちろんその幸福は弟分の主観的なものであるが)。

いずれにしても、搾取する側とされる側の対比を色濃く描くことで、どちらの側にある人間にも、何かの至らなさがあることを感じさせる内容であった。

本作の監督ヨン・サンホは、『ソウル・ステーション パンデミック』では底辺の人間が社会によって虐げられる様を描いていた。一方、この作品ではそれに加えて、立場の弱い人間たちの考えの浅はかさや愚かさにまで言及しているように感じた。

ミンチョルは最後まで己の考えを捨てずに突き進む人間であった。しかし、ラストで穴倉にこもって何かに祈っている姿が描かれる。彼も何かに祈りたくなるのだ。なんとも皮肉なものである。

登場人物の誰一人にも好感が持てない作品であったが、誰が悪いとか善いとかではなく、すべての人間の糞さ加減を表現しているのだと俺は思った。

善悪を超えた言葉を獲得するために、みんな人間であることをやめよう

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