ソウル・ステーション パンデミック
韓国製ゾンビ映画、『新感染 ファイナル・エクスプレス』の前日譚ということで鑑賞してみた。前日譚とは言え、細部にものすごいつながりがあるというわけでもなく、あくまで『新感染』で繰り広げられる内容の、前夜の出来事のお話というだけみたい。おそらく。ネタバレあり
―2017年公開 韓 92分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:2016年韓国興収1位の実写映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」の序章にあたるアニメーション。ソウル駅で血まみれのホームレスが息絶えた後、生き返り、人に食らいつく。ゾンビは瞬く間に増え、政府はソウル駅周辺を封鎖し事態の終息を図るが……。声の出演は、「怪しい彼女」のシム・ウンギョン、「7番房の奇跡」のリュ・スンリョン、「俳優は俳優だ」のイ・ジュン。監督は、「新感染 ファイナル・エクスプレス」のヨン・サンホ。アジア太平洋映画賞2016最優秀アニメーション映画賞、ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭2016銀賞受賞。(KINENOTE)
あらすじ:へスン(声:シム・ウンギョン)は奴隷的な風俗店での生活から逃げ出し、恋人キウン(イ・ジュン)と暮らしている。しかし甲斐性のないキウンもまた、オンラインでヘスンに体を売らせるのだった。ヘスンはそのことでケンカし、ひとりで夜のソウルをさまよっていた。同じころ、ソウル駅では血まみれのホームレスが息絶えた後、生き返り、人を襲って食らいつく。こうしてゾンビに襲われた人はゾンビとなり、また人を襲い、犠牲者は瞬く間に増えていった。パンデミックの発生を知ったキウンは、ヘスンの父と名乗る男(リュ・スンリョン)と共にヘスンを探す。政府はソウル駅周辺を封鎖し、事態を終息させようとするが……。(KINENOTE)
監督・脚本:ヨン・サンホ
出演(声):シム・ウンギョン/リュ・スンリョン/イ・ジュン/白石涼子/前野智昭/辻親八
ネタバレ感想
人が少ないソウルの街
ゾンビ映画としてはいたって普通だ。つまらなくはないが、気になる点のほうが多い。例えば、主人公らしき女の子やそのヒモ男は、何でずっと裸足なんだよとか。普段靴を履いている人間が、素足であんな激しい動きをし続けたら、足の裏が傷だらけにならんかね。これ、実写だったら靴を履く描写を入れると思うんだよなぁ。アニメじゃなかったら、役者が血まみれになっちゃうからね。
それに、いくら夜中だからって大都会のソウルに何であれしか人がいないんだ? ヒモ男と親父が車に乗っている時もそう。全然、他の車が道路走ってないの。あれはおかしくないか。
社会派なゾンビ作品か
この物語、非常に偏った話になっている。警察とか消防や医療関係者とか働いている最中の人間をのぞくと、登場人物らはまともな生活ができている奴がほとんどいないのだ。そんな、社会の底辺に生きる人間たちが、物語中でどのように扱われているかを描くことで、韓国社会を風刺しているんだと思われる。そういう意味ではゾンビ映画というよりは、社会派ドラマと言えなくもない。
というように考えると『新感染』で描かれるのが、昼間の世界だというのが興味深い。主人公は金融業で働くエリートだったし、他の登場人物らも底辺ぽい奴は一人しか出てこなかったように思う。
『新感染』と比較して思うのは、この監督、よくあんな面白い娯楽作品を撮れたなということだ。そういう片鱗をこのアニメからはあまり感じなかったのである。単にアニメ的演出の技術が日本と比べて劣っているということなんだろうか。てなことで、近いうちに同監督の『我は神なり』を鑑賞します。
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