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映画『屍者の帝国』ネタバレ感想 伊藤計劃原作のアニメ 人と屍者と人造人間の違いは何か

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屍者の帝国

SF作家、伊藤計劃の遺稿を芥川賞作家の円城塔が引き継いで完成させた小説をもとに製作されたアニメ。死者を蘇らせた”屍者”と人造人間と人が登場する作品。21グラムの魂があるのは、いったいどの存在なのか。ネタバレあり。

―2015年公開 日 120分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:2007年に鮮烈なデビューを果たしたものの34歳の若さで他界した作家・伊藤計劃のSF小説および共著をアニメ映画化する『Project Itoh』の一作。本作では伊藤計劃の遺稿を盟友である芥川賞作家・円城塔が書き継ぎ第33回日本SF大賞特別賞および第44回星雲賞(日本長編部門)を受賞した長編作品を、『進撃の巨人』シリーズを手がけたWIT STUDIOのアニメーション制作により映画化。屍体を蘇生させ労働力にする時代を舞台に、生者同様に意思を持つ屍者を生み出す技術が記された書物をめぐる冒険を繰り広げる。監督は「ハル」の牧原亮太郎。フジテレビの深夜アニメ放送枠『ノイタミナ』が展開する劇場版アニメとして制作された。(KINENOTE)

あらすじ:19世紀末のロンドン。技術進歩により死体を蘇らせることに成功、屍者を労働力に充てていた。英国政府の秘密組織ウォルシンガム機関に呼ばれた医学生ジョン・ワトソンは、100年前にヴィクター・フランケンシュタイン博士が遺した『ヴィクターの手記』を探すよう密命を受ける。その書には、生者同様に意思を持つオリジナルの屍者ザ・ワンを生み出した技術が記されているらしい。ワトソンは新型の屍者を率いて叛乱を起こしたロシア帝国軍従軍司祭である屍者技術者アレクセイ・カラマーゾフが姿を消したアフガニスタン奥地へ向かうことに。カラマーゾフが新型の製造にあたり『ヴィクターの手記』に記された技法を用いたことが十分考えられた。すべての行動を記録する屍者フライデーを伴い、ワトソンの旅が始まる……。(KINENOTE)

監督:牧原亮太郎
原作:伊藤計劃・円城塔
出演(声):細谷佳正(ジョン・H・ワトソン)/村瀬歩(フライデー)/楠大典(フレデリック・バーナビー)/三木眞一郎(アレクセイ・カラマーゾフ)/山下大輝(ニコライ・クラソートキン)花澤香菜(ハダリー・リリス)/大塚明夫(M)菅生隆之(ザ・ワン)

ネタバレ感想

魂の問題

実在した人物やフィクション世界の著名人などがたくさん登場する賑やかな作品である。そいつらのことをある程度は知っていないと、よくわからない部分も多そうだ。個人的には楽しめた。ただそれは、物語の細部がどうとか世界観がどうとかいうことではなく、扱っている魂の問題に興味をひかれたから。

てなことで、ストーリーそのものについてはよくわからんところが多い。たとえば、Mとかザ・ワンが使っている装置はどうしてあんなことができるのかとか、女性型アンドロイドのハダリーがどうして屍者の動きを封じられるのかとか、その他いろいろ。

だが、その辺は繰り返すけども、個人的にはどうでもいいと思った。それよりも、魂をめぐる話に注目していたからだ。

魂がないことを嘆く機械

この作品で、魂を求めているのは、エジソンに造られたというハダリー(胸がでかすぎw)。彼女は自分に魂のないことを嘆いていた。感情のもてないことを嘆いていた。作中では恐らくそういう設定なのだろうが、俺は彼女には感情も魂もあると思う。特に感情については。そもそも、嘆いているという感情が他者に読み取れるからだ。

屍者に魂はあるか

では、屍者はどうだろうか。屍者は何だかゾンビみたい。ただ、ゾンビよりも人間に近い行動ができる。たとえば、単純労働ができる。銃の扱いもできる(もともと戦争の道具として使うことで屍者の技術は発達したようだ)。

だが、感情はないらしい。だから動きが機械のようだ。前述のハダリーよりも、機械のようだ。主人公のワトソンについてる屍者は、聞き取った内容をメモに記述するなど、なかなか細かい作業もできている。しかし、ワトソンは何とか彼に魂を注入しようとするものの、なかなかうまくいかないことが、物語を通じて描かれる。

屍者の中で魂があると思われるのは、ザ・ワンしかいない。彼はほとんど人間と変わらない存在で、能力的には人間を超越している部分もある。彼には魂がある。

屍者とザ・ワンとハダリーの違いは何か

では、魂をもてない屍者とハダリー、屍者とザ・ワンの違いは何か。それは言葉を操っているか否かである。作品では「言葉が意識をつくるのか云々」というような会話が出てくるが、個人的には、俺は言葉が自己意識をつくり、人間に認識力を与えていると考える。子どもの頃の記憶がボンヤリしているのは、言葉を完全に操れなかったからだ。赤子の頃の意識というか記憶がないのは、言葉を何も知らなかったからだ。そう思っているのである。

であるから、仮に外的に後天的に何かの存在に魂を与えることが可能なら、それは言語を使えるようにするべきだと俺は思っている。

魂とは何か

人間が死ぬと21グラム体重が減るという。そして、その重さは魂の重さだ―ーというのはなかなか納得できて興味深い話だ。だが、魂って何なんだろうか。自己意識のことだろうか。その辺についての深い考察については、物語では描かれない。

またまた個人的な話だが、魂なんてものは、あろうがなかろうが、どっちでもいいんじゃないだろうか。魂がないと言っていたハダリーはどうみても人間的であった。本人は嘆いていたが、彼女にもし魂を注入できたとしたら、何が変わるのだろうか?

彼女の何かが変わったことを、他人が見て識別できるだろうか。魂ってそういう識別できない、言葉では言えないものなのではあるまいか。俺はこの作品を通じてそういう感想を抱いた。

てなことで、作品云々を通じて、魂について考えられたのがよかった。もちろん、物語もそれなりに楽しめた。『虐殺器官』や『ハーモニー』のアニメ版も鑑賞したので、そろそろ原作も読んでみようかと思う。

映画『虐殺器官』言葉の力を侮るな! ネタバレ
原作者の伊藤計劃にはデビュー当時から興味があって、作品を読みたいと思いながらも放置し続けて、いつの間にか亡くなってしまっていて、たまたま映画になったことを知って鑑賞の機会を得た。この作家は、「言葉の可能性」というか「言葉の持つ力」のようなものに、何か強い思いがあるように感じた。そこが興味深いのである。ネタバレあり。
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