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映画 レイジングファイア ネタバレ感想 ドニーイェンVSニコラスツェー

レイジングファイア
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レイジング・ファイア

ドニーイェンVSニコラスツェー。犯罪組織の撲滅に奮闘するチョン警部(ドニーイェン)の前に、捜査を邪魔するものの姿。そこには過去に彼の部下だった優秀な刑事、ンゴウ(ニコラスツェー)の影が。ラストのド派手な銃撃戦とアクションが見ものの、ベニーチャン監督の遺作。ネタバレ。

―2021年公開 香 126分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:「新少林寺/SHAOLIN」のベニー・チャン監督の遺作となった警察アクション。チョン警部が長年追う極悪犯の薬物取引の現場で、何者かが捜査官と犯人一味を惨殺し、ブツを奪う。捜査線上に浮上したのは、かつてチョンを慕っていた元警察官ンゴウだった。出演は、「イップ・マン」シリーズのドニー・イェン、「エア・ストライク」のニコラス・ツェー。第34回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門出品作品。(KINENOTE)

あらすじ:すべての悪を憎むチョン警部(ドニー・イェン)は、極悪犯ウォンを何年も追い続けている。ついに、ウォンの薬物取引に踏み込む日がやって来る。ところが直前になって、チョンのチームは作戦から外される。そして、警察の動きを熟知した何者かが、捜査官たちをウォンの一味もろとも惨殺し、薬物を奪っていった。捜査線上に、元エリート警察官で、チョンを師のように慕っていたンゴウ(ニコラス・ツェー)と彼の元部下たちが浮かび上がる。4年前、チョンとンゴウを永遠に引き裂く事件があった。そのとき生まれたンゴウの復讐心は、さらに恐るべき計画を企てていた……。(KINENOTE

監督:ベニー・チャン
アクション監督:ドニー・イェン
スタントコーディネート:谷垣健治
出演:ドニー・イェン/ニコラス・ツェー/チン・ラン/サイモン・ヤム/ロウ・ホイクァン

ネタバレ感想

ベニーチャン監督の遺作

2021年のラストに鑑賞することを決めて劇場に行ってきた。よく考えたら、今年の最初に観たのがドニー先生の『燃えよデブゴン』。そして最後に観たのが本作と、ドニー先生に始まり、ドニー先生に終わった年だった。それだけ先生が活躍してるってことだな。

近年の香港アクション映画は韓国映画に押され気味で日本公開も大分少なくなってしまった。これは中国の政治状況も関係あるんかなと思うがその辺の知識は俺はあまりないので、憶測でしかない。まぁそういう部分はおいといて、今作は香港映画の往年のスタントアクションの技術が存分に発揮されてる良作だった。ベニーチャン監督は2020年に亡くなってたらしく、エンドロールでは追悼の言葉が流れてて、俺はそれによって彼が亡くなったことを初めて知った。

ベニーチャンといえば、俺が過去に観たことあるのは『ヒロイックデュオ』『ディバージェンス』『インビジブルターゲット』『レクイエム最後の銃弾』など。どれもそこそこ面白いが、この作品が個人的にはもっとも面白い作品だったな。

ドニーVSニコツェ

まず、ドニー先生の相手役がニコラスツェーてところがよい。彼は最近過去作以外では見かけてなくて、最後に劇場で観たのは『インビジブルターゲット』か『密・告者』だったような。それ以来だから10数年彼を映画館で観てなかったが、相変わらずアクションができるイケメンぶりは健在。今作で彼は悪役を演じてるんだが、彼が悪者やってるのは初めて見たかも。

てなことで、先述したように、劇場で観てよかったなと思えるアクション作品だった。香港のアクション作品ってストーリー自体はそんなに目を引くところがなくて、けっこうないい加減さが目に付くものも多い。そういう意味では今作はそれなりに破綻もなく物語が進んでいって劇終を迎えているように感じた。あくまでそれは香港映画の中ではーーということなんだけど(笑)。

とはいえ、それを補ってあまりあるのがスタントや役者本人がケガも辞さずに奮闘するアクションにある。ドニー先生は言うまでもなく、ニコツェもその辺はベテランの域に達しているのであって、この2人が激突するとなれば、香港アクション好きとしては観ないわけにはいかぬ。

悪者ニコツェがなかなかよい

ニコツェはかつてはドニーの部下でエリートの風格を漂わせている奴だったのに、上層部のメンツとかのためにパワハラ的命令を受け、それを忠実に守ろうと頑張ってたら捜査中に罪を犯すことになってまうのだ。ドニーはその現場を目撃してしまった。ドニーは正義を貫く人間なので、法に反したことをしてしまったニコツェを売りたくはないんだが、嘘はつけない。なので、ニコツェと部下はムショにぶち込まれることに。

ムショの中で彼らは過去に逮捕した犯罪者らから命を狙われ、出所までの時間は命がけだったようで、それによりニコツェ以下部下たちの結束は深まり。晴れて娑婆に出てからは、正義面した警察組織と自分たちが収監されるきっかけとなった犯罪組織の両方をからかいつくしながら、自分たちは巨万の富を得て家族たちの待つ香港の外へ逃亡する計画を立てるんである。

ニコツェはこの時にもうすでにトチ狂ってて、部下のミスも許さん鬼みたいな奴になってて、チウとかいう部下はバカすぎてミスが多くて、こいつがなんかやらかすんではないかとわかってはいつつも、彼も仲間であるから任務にはつかせていて、しかしこいつのバカな行為のせいで彼らは追い詰められていくことに。という意味では、ニコツェは狂っているものの、実は刑事だった頃の良心が仲間に対して残っているようで、その辺は切なくもあるんだけど、自分の彼女は出所後に殺しちゃってる鬼畜(笑)。

ということもありつつ、自分は最終的に幸せにもなってないとはいえ、かつてのパワハラ上役や、救ってやったのに芋を引いた証言しかしない金持ちはぶっ殺せたわけだし、その辺は見事。

この悪者ぶりを発揮しているニコツェがなかなかカッコよく、しかもドニー先生に勝るとも劣らないくらいに強いところがこの作品を面白くしている。

ただ、個人的には登場人物が悪に走る背景を説明して、それなりに同情できる人間にしちゃってる香港映画のウェットさは、今作にはなくても良かったような気がしなくもない。むしろ、こんだけ酷いことする悪人なんだから、もう理由もなく悪をしでかしちゃうような純粋悪みたいなキャラ付けをしてニコツェを登場させるような作品だったら、俺的興奮度はさらに増したんではないかと思うけども、まぁそこは個人の感想であり、香港映画はこれでいいんだろうね。

ラストのヒートみたいな銃撃戦から格闘戦までが素晴らしい

一方のドニー先生。今回は格闘アクションはラストと、中盤くらいまでに多人数相手の大立ち回りをするくらいで、派手なアクションそのものはそんなに多くない。とはいえ、中盤くらいのバイクに乗ったニコツェを追うカーアクションとかはもう、最高。さすが、香港のスタントアクションという出来栄えだ。そして、ラストの銃撃戦からニコツェとのタイマン格闘アクションも素晴らしい。

ラストの銃撃戦はどう考えてもマイケルマンの『ヒート』を意識してるように見える。そういえば、ベニーチャンではなく、別監督の作品でアンディラウ主演の『ファイヤー・ストーム』も、話自体は全然大したことないんだけど、ラストで『ヒート』みたいな銃撃戦のある映画があったことを思い出した。どちらもかなりスゴくて面白い。やっぱガンアクションやる監督は『ヒート』は意識せざるを得ない名作なんでしょうな。

ということで、その凄まじい銃撃戦から、ニコラスツェーVSドニー先生のラストバトルへと流れ込んでいく展開は劇場でこそ観るべき。

ドニー先生はイップマンシリーズが素晴らしいけども、現代劇的なアクションでは『導火線』が最高峰。しかし今作はそれに匹敵する迫力のある作品であった。それであるだけに、ニコツェとドニー先生のアクションがさらにたくさん観れたら文句なかったんだけど、そこが惜しい。

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