アルマゲドン2012
このブログで何作も紹介している、ディザスターパニック系糞映画の中では、ある一定の水準は保っている内容だと思った。特に怒りは感じないし、イラつきもしない。単にこうした作品に対する自分の耐性が強くなっているだけかもしらんが(笑)。ネタバレあり。
―2009年製作 米 95分―
解説・スタッフとキャスト
解説:小惑星がもたらす未曾有の天変地異を描いたディザスターパニック。小惑星の接近により、地球付近に巨大なブラックホールが誕生。各地で巨大地震、津波、トルネードなどの自然災害が頻発する中、世界の学者たちが事態の対応を協議するが…。(KINENOTE)
監督・製作:ジャスティン・ジョーンズ
脚本・製作:リー・スコット
出演:レット・ガイルズ/ステファニー・ジェイコブセン/ジジ・エッジレイ
アルマゲドン2012 マーキュリー・クライシスではない
ややこしいけども、同じタイトルでマーキュリー・クライシスという副題のついた作品もあるらしい。もちろんそれとは別物。なんか、アルマゲドンていう邦題がついた作品はこれら以外にもたくさんあって、どれがどれだかようわからんが、まぁどれを観たって結果は知れてますわな(笑)。てなことで、ネットフリックスで配信されているので、なんとなくチョイスして観賞したわけである。
適当なあらすじ
で、うろ覚えだけと、あらすじを紹介。4200年周期で火星の近くを通過する彗星が、なぜか火星に衝突したとかどうとかあって、なんでだろうと思ったら、火星近くに暗黒物質(ダークマター)とかいうやつが発生していて、そいつの影響で彗星はいつもの軌道からそれたらしい。しかもそのダークマターは、地球に近づいてきていると。
それが衝突すると、地球なんて簡単に飲み込まれちゃうらしい。事態を知ったアメリカのNASAみたいな組織(名前忘れたので「宇宙センター」として表記します)の研究者たちは、量子物理学の専門家らを助っ人に加え、対応策を考える。で、いろいろあって、なんとか考え付いた策が、ダークマターの衝突までに間に合いそうもなくて、意気消沈気味になる。
そこへ現れる救世主が、主人公と思われる市長さんと自閉症の弟テリー。このテリーが物理学オタクらしく、ダークマター衝突の対応策を自力で考案しちゃっているのである。で、彼の助言によって宇宙センターの奴らは息を吹き返し、人類の存亡をかけた作戦? がスタート。
てのが、ラスト5分くらいまでのあらすじ。主人公周辺のエピソードはめんどうくさいから全て省いた。ごめん(笑)。ということで、省いた部分の話も含めて、突っ込みを入れようと思うが、その前にこの作品のよいところを探そう。
よいと思ったとこ
なぜか最後まで観賞できたとこ(笑)
ネット配信されている作品は、その日の体調や気分にもよるけど、冒頭の5分くらいで集中できなかったら、すぐに他の作品にうつっちゃうクセが、俺にはある。
で、この作品もさっさと観るのやめようと思ったんだけど、何でか最後まで観賞し続けてしまったのである。ということは、俺にとっては観賞をやめてしまった幾多の作品よりも優れているということだろう(笑)。具体的にどこがよかったのかを言えないのがツライ(笑)。
ディザスターパニックらしからぬラスト(ネタバレ)
あともう1つは、オチに笑ったとこか。ネタバレしちゃうと、この物語、人類は別に救われません。なんでかというと、ダークマターが衝突する寸前に、時が物語冒頭くらいの時間に戻っちゃうから(笑)。
うまく説明できるかわからんが、宇宙センターとテリーのアイデアが合わさったダークマター対応策ってのは、核爆弾を幾つかダークマターのほうに向けて発射し、ダークマターと同じようなものをもう1つ作り出し、それら衝突・相殺してしまおうというものなんである(たぶん)。
で、それらがぶつかる力によって、宇宙全体だか、地球だけなのかようわからんけども、タイムトラベルが可能になるらしい。そして、それが現実のものとなるのだ。つまり、作戦が成功すると、主人公たちが生きていた時間は、物語冒頭のほうに戻るというわけ。
なんか曖昧かつ抽象的な説明に感じたらごめんだけど、本編そのものの説明が適当というか鑑賞者を置き去りにしていくものなんで、勘弁してやってください(笑)。ということで、このディザスターパニックムービーは、タイムループの映画でもあったのだ。
俺はそこに感心した――というか笑った。一応、物語冒頭でデ・ジャヴが云々という台詞が出てくるのは、この結末のための伏線だったのである。
ラスト以降は無限ループか?
で、話を戻すと、この物語は時間が戻っただけで、人類は救われないのである。ラストでもデ・ジャヴが云々という台詞があるように、おそらくは何度も似たような出来事がループし続けているんだろうねぇ。
と考えるとこれ、ハッピーエンドルートのない無限ループなんではないか(笑)。先日観賞した、『THE LOOP ザ・ループ 永遠の夏休み』みたいな、ウロボロスの円環にはまり込んでいるのだ。
突っ込みどころ
ということで、ようやく突っ込みどころ。正直言うと全部なわけだが、その中でもどうしても言っておきたい部分だけ。
まず、この作品にはアメリカ大統領と彼の妻が出てくるが、彼らを出す意味がようわからん。大統領はいろいろと部下から状況報告は受けるものの、特に何かを決断をするシーンはない。事態が発覚した時点での会見も、端折られたのか物語中には会見をしている描写がない(笑)。
そっちは描写しなかったのに、衝突を目前にして妻としばらくいちゃいちゃしたあと、国民を励ますため、テレビを通じての演説を行うシーンが挿入される。今さらこんな奴の演説を聞いても何にもならんだろと思うんだけども、テレビを前にいるアメリカ国民たちは、それなりに感じ入っている模様(笑)。
「人種も国も関係なく、他人と手を取り合って協力しあう時がきた」的な内容を大統領はほざく。ものすごくありがちかつ、何かの映画のセリフをパクってきたとしか思えない寒い内容であった。
災害描写がダメすぎる
続いて、市長がテリーを車に乗せて宇宙センターに向かうシーン。なんか、やたらと水が溢れている場所があるかと思えば、普通に走り続けられる道路もあって、どのくらいの規模で世界に被害が出ているのかさっぱりわからんのである。
主人公が動き回っている周辺とは別地域の、ニューヨーク(と思われる)には津波が襲ってきて壊滅状態だし、接近してきたダークマターに様々なものが吸い込まれているシーンなども。でも、主人公ら周辺の地域は、車で移動できるくらいの余裕はあるという。なんだかわけわかりまへん。まぁ、こういう適当描写はこうした糞パニック映画にはつきものなんだけどね。
ロシアと中国はどこいったのよ
さらに、中盤くらいまでの間に、アメリカはロシアと中国から、北極と南極に核を打ち込んで、地軸をズラすという、とんでも作戦の協力を持ちかけられる。そんなことしちゃって大丈夫かと思うんだが、何もしないよりはマシらしい。
で、宇宙センターの面々と政府関係者はいろいろ考えて、「大統領には報告する」ことにして、話をうやむやに。そしてしばらくすると、北極か南極と思われる場所に、2発ほどのミサイルが打ち込まれる描写が(笑)。
オイオイオイ
結局アメリカはどうしたんだよ、拒否したのか、賛同したのか? そこ説明しろや。で、核を撃ち込んだはいいけども、その結果はどうなったんだよ。成功したのかしてないのか、そこを描写しないなら、あんなシーン入れても訳が分からなくなるだけなんですけど。
車を投げるシーンの無意味さ
さらにさらに、ダークマターが近づいてきたからなのか、ロシアか中国のどちらかが核を撃った描写があったのでその影響で地軸が動いたのか、市長とその息子のレオが何の説明もなく、車を遠くに放り投げちゃうシーン(笑)。そういえば、その前にも、レオと恋人がいちゃついているときに「ずいぶん軽いねぇ」とかわけわからん会話をする場面もありましたな。
なんなんだよ、あれ。地球の重力が軽くなっているんだろうか。だとするなら、もう少し当事者たちは驚くはずなんだが。どうしてそんな状況になるのか、いろいろと考えるはずなんだが。全体的にそういう描写が必要なのに、それは皆無。そして、瓦礫を撤去する車両などは通常どおりに運用されている支離滅裂さ。重力が軽くなっているなら、人力でも撤去できそうなもんだが。
家族の絆的描写も無駄なだけ
ついでに、レオが恋人に泣きつかれて、彼女の家族の安否を確かめるために恋人宅を訪れるシーン(2度あるうちの最初のほう)。ものすごい竜巻が襲ってきて、泣く泣く2人は捜索をあきらめて逃げることになる。
ところが、2度目に彼女の家を訪れると、建物は傷ひとつなく健在(笑)。しかもそこで、彼女の元恋人が銃を振り回す茶番シーンが繰り広げられる。で、ありがちな家族の絆的なシーンがあるものの、中途半端すぎて消化不良に終わる。やりたいことは分かるけども、わざわざあんな場面を描く必要あるんだろうか。
その他にもたくさんありすぎるけども、気付いたらずいぶん長文になっているので(笑)、そろそろ終わる。上記のような数々のバカシーンがあるので俺は楽しんだが、もちろん、オススメはしません。
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