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映画『永い言い訳』ネタバレ感想 予定調和っぽくも感じる

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永い言い訳

昨年劇場に行く機会がなかったので、レンタルで鑑賞。西川美和監督の作品は『ゆれる』以来かな。こっちのほうが面白いと思います。本木雅弘はいつ見てもカッコいいでありますな。内容は分かりやすいので、あとは観た人それぞれがどう感じるかですね。ネタバレあり
― 2016年 日 123分―

解説:「夢売るふたり」の西川美和が直木賞候補となった自らの書き下ろし小説を映画化。交通事故で妻が他界したものの悲しみを表せない小説家の衣笠幸夫。そんな中、同じ事故の犠牲となった妻の親友の遺児たちと交流を深める幸夫は亡き妻とも再び向き合い始めてゆく。出演は「天空の蜂」の本木雅弘、「私の男」の竹原ピストル、「高台家の人々」の堀内敬子、「セトウツミ」の池松壮亮、「母と暮せば」の黒木華、「岸辺の旅」の深津絵里。(KINENOTE)

あらすじ:“津村啓”というペンネームでテレビのバラエティなどでも活躍する人気小説家の衣笠幸夫(本木雅弘)は、ある日、長年連れ添った妻・夏子(深津絵里)が旅先で突然のバス事故に遭い、親友とともに亡くなったと知らせを受ける。だが夏子とは既に冷え切った関係であった幸夫は、その時不倫相手と密会中。世間に対しても悲劇の主人公を装い、涙を流すことすらできなかった。そんなある日、夏子の親友で同じ事故で亡くなったゆき(堀内敬子)の遺族であるトラック運転手の大宮陽一(竹原ピストル)とその子供たちに出会った幸夫は、ふとした思いつきから幼い兄妹の世話を買って出る。保育園に通う灯(白鳥玉季)と、妹の世話のため中学受験を諦めようとしていた兄の真平(藤田健心)。子供を持たない幸夫は、誰かのために生きる幸せを初めて知り、虚しかった毎日が輝き出すのだが……。(KINENOTE)

監督・脚本:西川美和
出演:本木雅弘/竹原ピストル/深津絵里

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主人公のために配置された登場人物たち

主人公の衣笠視点のほうが観ていてしっくりした。彼が奥さんを亡くすことで物語が始まるわけだが、彼の言動の全てに共感するわけではないものの、トラック運転手の大宮よりは、やっぱり衣笠のものの考え方のほうがなんとなく共感してしまうのである。

ということで、最後まで面白く観たんだけども、なんかこの話って出てくる人間のそれぞれがあまりにも類型的すぎないだろうか。小説家の衣笠の物の考え方。そして、奥さんをメチャクチャ愛していて子ども思いだが、頭の悪い親父がトラックの運転手。なんかねぇ。酷い言い方すると、学歴の有無、知性の高低が家庭を養う上での生活感とか教育方法にそのまま反映されるみたいな。

確かにそれはそうならざるを得ない部分はあるのは認めるんだけども、この作品は、衣笠という人間の他人との接し方や距離間のつくりかた、ワガママさや人への愛情の示し方の下手くそさ、そして、子どもに対しては誠実に接することができるピュアさなど彼の人間性を表現したいがために、他の登場人物たちが、便宜的に配置されているように観えてしまって仕方ないのである。

言ってしまえばリアリティがないってことなんだけど、その辺はどうなんだろう。

実は大宮のほうが何を考えているのかわからない

衣笠はある時点で、亡くなってしまった奥さんが自分をちっとも愛していなかったことを知る。でも、あのメールは衣笠には本来届かなかったはずの文面だ。図らずも彼女が亡くなってしまったことを知ったがためにそれを知ることになるわけだが、あのメールを送らなかったことにこそ、奥さんの衣笠への愛情が示されているように思う。

墓場まで持っていくべき感情を抑えて、奥さんは衣笠につくしていたのである。結果的に墓場にいってしまうところに、この物語の肝がある。衣笠は生前の彼女に対して、それを感じることができずに(していたのかもしれないが感謝や別の形での報いができなかった)いた。そういうことに大宮の家族と接するうちに気付いていったのではなかろうか。

対する大宮は、奥さんがいなくては生きていけないくらいに依存度が高かったので、衣笠の支援があってなんとか家族を成り立たせることができる。そして、ある時に奥さんの死を受け入れ、乗り越える力を得るのだが、それは新しい女性を得ることによってできたような描写がされていた。それってなんか、虫がよすぎないかねぇ。けっきょくそんなもんなんかと思ってしまう。

そういう意味では、衣笠や子どもたちよりも、大宮という人間が何を考えているのかよくわからないし、そもそも衣笠のファンだったらしい大宮の彼女になる女性もよくわからないのである。

ということで、奥さんの死に対する乗り越えを、ああいう形でさせるキャラクターが衣笠ではなく大宮というところに、この作品の意地の悪さを感じた。

とはいえ、個人的には衣笠の傲慢さに自分自身の影が見えたり、子どもとの接し方などに共感を覚えたりするところもあって、楽しく観れたのは間違いない作品であった。

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