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映画 デュアル ネタバレ感想 ラストのカレンギランはどっちか

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病気により死の宣告をされたサラは、自分の死後、代わりに人生を送ってくれるクローンサービスを受ける。しかし、病気が完治。自分の人生をクローンに奪われたサラはどうなってまうのかという話。なんともブラックな雰囲気が漂うライリー・ステアンズ監督作品。ネタバレあり。

―2022年公開 米 95分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:「ガンパウダー・ミルクシェイク」のカレン・ギラン主演によるSFスリラー。病により余命僅かと告げられたサラは、遺族を癒すため自らのクローンを残す。だが奇跡的にサラの病が完治。クローンとの共存は違法であり、双方が生存を主張し決闘裁判が行われることに。共演は「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」のアーロン・ポール、「シャドウ・イン・クラウド」のビューラ・コアレ。監督は『恐怖のセンセイ』のライリー・ステアンズ。(KINENOTE)

あらすじ:父が亡くなり、過保護な母は毎日連絡をしてくる。恋人ピーター(ビューラ・コアレ)とはマンネリ気味。そんな平凡な日々を過ごすサラ(カレン・ギラン)だったが、ある日、密かに体を蝕んでいた病魔により、残り僅かの余命と宣告される。茫然自失となるサラに、医師は「リプレイスメント(継承者)」のカタログを手渡す。それは、間もなく死を迎える者が、遺族を癒すために自らのクローンを作り出すというプログラムであった。サラはリプレイスメントを決断、残された時間をクローンとの引継ぎに充てる。だが目の前でピーターや母と親しくなっていくクローンの姿に、サラは寂しさを覚えるばかり。そんな折、サラの病が奇跡的に完治したという報せが入る。しかし、クローンとの共存は法律で禁じられており、双方が生存を主張した場合は決闘裁判が行われることになる……。(KINENOTE)

監督・脚本:ライリー・ステアンズ
出演:カレン・ギラン/アーロン・ポール/ビューラ・コアレ/テオ・ジェームズ

ネタバレ感想

『恐怖のセンセイ』のライリー・ステアンズ監督作

クローンの話がけっこう好きなので、レンタルで鑑賞。最初はオリジナルとクローンが生存をかけた戦いをするアクションなのかなと思ってたんだけど、借りる時に監督がライリー・ステアンズだと知って、そういう話じゃないんだろうなぁと気持ちを切り替えた。

何でかって言うと、この監督は『恐怖のセンセイ』っていう一風変わったブラックコメディみたいなのを撮ってる人で、これが個人的にはかなり楽しめた作品。であるから今作も、この監督だったら単なるアクション的な作品にはしてないだろうなぁと思ったんである。

で、鑑賞してみたらやっぱりその通りで、なんとも淡々とした展開の中で描かれるブラックな話であった。であるから、冒頭のシーンのような戦闘をカレンギラン演じるサラとそのクローンが繰り広げるだろうなぁという予想は裏切られることになる。つまり、戦闘は行われない(笑)。

感想交えた超適当なあらすじ

主人公のサラは感情表現が豊かではなく、能面みたいな顔で感情がよくわからない。恋人はいるものの仕事が忙しくて会うことがあまりできず、自慰行為にふける日々。

家族は母がいるんだけども、この人が夫を亡くして寂しいのかサラにかまってちゃんな面倒くさい人で、サラはそういう母を避けて暮らしてるのだ。で、そんな日々の中で彼女は自分が不治の病に侵されていることを知る。

感情を表に出さない彼女だが、死ぬのは嫌みたいで、上記の二人に対して愛情がないわけでもないようで、であるから世に知られたリプレイスメント(継承者)のサービスを受けることに。

このサービスはオリジナルの唾液を使用してクローンを製造し、まっさらな状態のクローンにオリジナルが自身の情報を伝えることで、死後の自分の代わりに生活を送ってもらうというもの。それにより、恋人や肉親に寂しい思いをさせないで済むというものだ。

どうもこのクローンはオリジナルとそっくりそのままというわけではなく、身体の特長も微妙に違ったりする。さらに、オリジナルの性質を単に引き継ぐだけでなく、クローン自身に個性があって、例えばサラのクローンは彼女よりも少し感情表現が豊かに見えなくもない。

でまぁ、そんなクローンがサラの代わりとして彼女の癖を学習していくうちに、恋人も母親も、クローンのほうにご執心になっちゃうのだ。マジでこの2人はクズ。特に恋人のクズさは半端なくて、ラストまでクズっぷりを発揮してくれる。

まぁそれはおいといて、クローンと自身の立場は逆転してしまい、サラはそれを苦々しく思うものの、自分は死ぬ身。ところが診察に行ってみると、不治の病が完治しちゃってるのだ。…なんだよそれ(笑)。

この作品の恐ろしいのは、リプレイスメントみたいなサービスが普通に世の中に受け入れられているし、医者の患者に対する対応も無機質で情がないし、ともかくどいつもこいつもクズみたいな人間に描かれているところだ。

まぁそこは置いといて、この作品世界ではオリジナルとクローンがずっと存在していることは法的に禁止されているらしく、どちらかは死ぬ必要があるのだ。であるから、サラは自分の生活を取り戻すため、クローンと決闘し、殺し合いをする番組に出ることになるのである。

で、戦闘術を身につけるべく、何とも怪しげなトレントという男に師事してトレーニングを続けるサラ。いよいよ殺し合いの日が近づいてくるのだが、いろいろあって、クローンと二人で交流を持つ時間が生まれるのだ。その体験を経てサラは心変わりして、クローンと示し合わせて番組出演を放棄し、徒歩での国外脱出を試みるのである。

ところがクローンと逃避行をする道中で、サラはクローンに毒を盛られて殺されてまう。まんまと作戦を遂行したクローンはオリジナルのサラのふりをして恋人と母親のいる生活を乗っ取ることに成功する。しかし、恋人はやっぱりクズだし、母の過干渉は続く。そんな日々の中でクローンのサラは、生きることに倦んで落涙するのであった。おしまいーーというのが超適当なあらすじ。

この映画って何が言いたいのかね。意味不明ではない。

てなことで、俺の解釈ではオリジナルは殺されて、クローンが生き残るってものなんだが、あの生き残りがオリジナルであると考えることもできそうではある。まぁでも、運転のできないクローンが車で事故って殺し合い会場に現れるとこなんかを観るに、たぶんサラはあのまま毒殺されて埋められたってことなんだと思う。

ラストにサラが泣き崩れちゃうシーンはオリジナルであろうがクローンであろうが、どちらもああいう反応を示すんじゃないかなぁと思う。オリジナルは正直なところ、つまらない人生に飽きちゃってるような感じで、でも、それでも死にたくはなかったんだと思う。わかるぞ、その気持ち。

一方のクローンは、人から奪った人生を生きることに苦しみがあるだろうことが想像される。だって、母親はともかく、恋人くらいは自分で選びたいだろうし、ともかく、オリジナルの人生を辿らなきゃいけないわけで、自分のオリジナルな人生ではないからね。

そうやって考えると、この作品は生きることのままならなさを描きつつ、それでも死ぬよりも生きていることを選択する二人の主人公の物語で、だがしかし、どちらが生き残ったとしても、泣きたくなるような人生が続いていくことの皮肉を描いているんだと思われる。

で、その内容をブラックユーモア的に仕上げてくるところが、この監督のらしさだなぁと思う。この作品含めて2作しか観たことないけど(笑)。

トレント先生がよろしい(笑)

特にユーモアがあっていいのは、サラに戦闘術を授けてくれるトレント先生の存在だろう。なんか知識はすごいんだけど、実際にはそんな戦闘力がなさそうに見えちゃうあの貧相なところ。達人は必ずしもムキムキな肉体にキレキレの動きの持ち主ではなかったりするもんだが、この人の場合はそういうオーラすらないからね(笑)。

しかも、金のないサラがレッスン料に困ると「支払うためには別の方法もある」とか言うトレント。これはもうセックスを要求してるんだろうなぁと思ったら、なぜか彼は、サラにダンス指導をお願いするのである。なんなんだよ、それ(笑)。しかも、そのサラのダンスが決してうまいとは思えない体たらくなので、余計笑えちゃうのだ。

ということで、個人的には楽しめた。この監督の他の作品も探して鑑賞してみたい。

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