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映画 ウインド・リバー ネタバレ感想 ラストの犯人裁きに希望はあるか

ウインドリバー
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ウインド・リバー

これは恐ろしい映画だ。こんな土地でどんな希望をもって生きていけばいいのかよくわからん。わからんのだけど、ジェレミー・レナ―扮する主人公のコリーは、そんな環境にいても力強く生きている。かっこいい。ネタバレあり。

―2018年公開 米 107分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:「ボーダーライン」脚本のテイラー・シェリダン初監督作品。雪深いネイティブアメリカン居住地“ウィンド・リバー”で女性の死体が見つかる。新人FBI捜査官ジェーンは、心に傷を持つハンターのコリーと共に謎を追い、思いもよらなかった結末にたどり着く。出演は、「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナー、「マーサ、あるいはマーシー・メイ」のエリザベス・オルセン、ドラマ『ウォーキング・デッド』のジョン・バーンサル。(KINNOTE)

あらすじ:厳寒の大自然に囲まれた、雪深いアメリカ中西部ワイオミング州にあるネイティブアメリカンの保留地“ウインド・リバー”で、突如女性の死体が発見される。FBIから単身派遣された新人捜査官ジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)は、遺体の第一発見者で地元のベテランハンターであるコリー・ランバート(ジェレミー・レナー)に協力を求めるが、不安定な気候と慣れない雪山の厳しい条件により捜査は難航する。隔離されたこの地では多くが未解決事件となる現状を思い知るも、不審な死の糸口を掴んだコリーと共に謎を追うが、思いもよらなかった結末が待ち受けていた。(KINENOTE)

監督・脚本:テイラー・シェリダン
出演:ジェレミー・レナー/エリザベス・オルセン/ジョン・バーンサル/ギル・バーミンガム/ケルシー・アスビル/グラハム・グリーン

ネタバレ感想

過酷な自然環境で生きる閉塞感

上映館が少ないものの、評価の高い作品てことで、シネマートの遅い時間で鑑賞してきた。台風の影響もあったのか、公開2日目なのにだいぶ空いていたのは悲しいことである。まぁ、空いてたほうが人混み嫌いとしてはありがたいけども。

今作も、最近よく取り上げている閉塞的な田舎町で起こる惨劇を題材にしているが、その中にあっても、ともかく自然環境が過酷だ。寒いし吹雪ばっかりだし、近隣の山にはオオカミとかピューマとかコヨーテとか肉食動物が徘徊している。

仕事がなさそうな先住民たち

住民はネイティブアメリカンが多いらしく、彼らは何の職に就いているのか、失業しているのか、犯罪するか、家でボンヤリしているくらいしかないように見える。主人公のコリーは自然保護区を守るハンターみたいな仕事をしているらしい。保安官のおっさんも白人だ。彼をサポートする人もだいたい白人。

てことは、ネイティブの人たちは、自分たちの土地なのに仕事がないんだろうか。その辺は知識がないのでよくわからん。わからんけども、コリーの元奥さんはネイティブで、仕事探しのために遠出をしたりしているみたいなんで、やっぱり仕事はないのではないか。

見捨てられた土地

で、この土地では先住民の女性が行方不明になる事件が昔からよく起こるらしい。コリーの娘もその犠牲者の一人。何で行方不明になった原因がわからないのかというと、広大な土地を管轄する保安官とかの数がめちゃくちゃ少ないからみたい。数人しかいないのだ。

今作の事件については、FBI捜査官の若い女性が担当するわけだけども、法律の影響で、彼女も満足に捜査ができないらしい。何でなのか、その辺も詳しくないのでよくわからん。いずれにしても、ラスト近くの互いに銃を向けあう一触即発状態なんかを見るに、犯罪捜査がスムーズに進められない見捨てられた土地であることだけは何となくわかる。

そんな中で起きたネイティブの若い女性の死亡事故を捜査するFBI捜査官とそれに協力する保安官。そして土地勘があり、優秀なハンターでもあるコリーが事件に関わっていくわけだ。

己と戦う主人公がとてもよい

ともかく最初から最後まで、息苦しくなるようなストーリーで、事件は解決するものの、さしたる希望もなく劇終を迎えるこの物語。

でも、めちゃくちゃよかった。素晴らしいと思いました。まったく内容は異なるけども、昨年公開された『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を見終えたときと同じようなカタルシスを得られる作品であった。

なぜそういう良さを感じられるかというと、主人公のコリーがめちゃくちゃカッコいいからである。彼はハンターとしても優秀だし、物語の舞台となる過酷な自然環境にも順応して生きられる強さのある人物だ。地元の女性と結婚して家族を養っていたようだが、ある日、娘を亡くしてしまう。娘のことが忘れられない。それでも、彼は、自分の不遇を環境や社会のせいにはしない。

彼は「社会と戦うよりも、自分の感情と戦う」ことを心情としている。「社会には勝てないから」だ。だから、自分の娘が亡くなってしまったことに強い自責の念と後悔があるんだけども、それを引き起こしてしまったことを自分のこととして、己と戦い続けることで、心の均衡を保ち、日々の生活を成り立たせている。

この事件では、コリーのように生きられない、心と意思の弱い人間が、たくさん登場する。そうした人間は先住民の中にもいる。その弱い人間が事件を引き起こしてきたことがわかるラスト。コリーは犯人に対して非情な選択を、ためらわずに実行する。初志貫徹である。そして、その死にざまは「哀れだった」と言うのだ。

彼はこの環境で生きる人間として、自然やそこに生きる動物たちの中で、強者であり続けるのだ。それがあの過酷な環境で生きるためには必要なことであり、その強さを持つ者だけが、あの不毛に見える大地で生きる幸せを、それがかりそめのものだったとしても味わう権利を有するのかもしれない。

終盤の銃撃戦シーンの凄惨さはかなりのもので、その中で大砲みたいに威力満点のライフルをぶっ放し、ハンターとしての強さを遺憾なく発揮するコリーがとてもカッコいい作品であった。ジョン・バーンサルもちょい役だが、なかなかいい役どころでこれもまたカッコよかった。

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