アンダーカヴァー
父と兄が警察官なのに、裏社会とかかわって生きている男が、家族の危機をきっかけに正義の道へ鞍替えする。果たしてその運命やいかに。ネタバレあり。
―2008年公開 米 117分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」でゴールデングローブ賞受賞のホアキン・フェニックスと「ディパーテッド」でオスカーノミネートのマーク・ウォールバーグが共演。警察官の兄と夜の社会に生きる弟の兄弟の絆を描くアクション映画。監督は「リトル・オデッサ」でヴェネチア映画祭銀獅子賞受賞のジェームズ・グレイ。(KINENOTE)
あらすじ:1988年、ニューヨーク。ナイトクラブのマネージャーとして働くボビー(ホアキン・フェニックス)は、オーナーからの信頼も厚く、恋人アマダ(エヴァ・メンデス)とともに幸せな日々を送っていた。兄ジョセフ(マーク・ウォールバーグ)はニューヨーク市警のエリート警察官、父バート(ロバート・デュヴァル)は警視監という警察一家だったが、ボビーはそんな家族に反発、姓を変えて夜の世界に飛び込んだのだった。しかも、彼の店は麻薬取引に関わるロシアンマフィアと繋がっていた。家族と再会したパーティで、ジョセフとバートによるロシアンマフィアの殲滅計画を知ったボビーだったが、要請された協力は断る。やがて、一斉検挙が実施されるが、麻薬の密売ルートに関する情報入手に失敗。店が摘発を受けたボビーは麻薬不法所持で逮捕されてしまう。ジョセフの計らいで釈放されたボビーだったが、店に踏み込んだことで二人の溝は深まる。その夜、何者かによる襲撃を受けたジョセフが、瀕死の重傷で病院に運ばれる。捜査協力を断ったことを後悔するボビー。その前に、襲撃の黒幕であり、麻薬取引の独占を目論むニジンスキーが現れ、仲間に誘われる。彼の口から次の標的がバートであることを聞かされたボビーは、警察の囮として組織に潜入。だが、不慣れな任務のため、盗聴器の装備が麻薬工場内で発覚してしまう。間一髪、警官隊の突入によりニジンスキーは逮捕。だが重傷を負い、警察官が家族であることをマフィアに知られたボビーは、アマダとともに保護下での生活を強いられる。裁判を直前に控えたある日、ニジンスキーが脱走。それを知ったバートは素早く対応。ボビーは危機を回避するが、その眼前でバートの体を凶弾が貫く。父の遺体を抱きしめ泣き崩れるボビーを、優しく抱きとめるジョセフ。別々の道を歩んでいた兄弟が、父の復讐という目的の元、ひとつになる……。(KINENOTE)
監督・脚本:ジェームズ・グレイ
出演:ホアキン・フェニックス/マーク・ウォールバーグ/エヴァ・メンデス/ロバート・デュヴァル
ネタバレ感想
ホアキン・フェニックスにマーク・ウォルバーグ、ロバート・デュバルにエヴァ・メンデス。なかなか豪華なキャストである。俺の好きなクライムサスペンスであり、しかも好物の潜入捜査ものらしいと知って、DVDを購入して鑑賞ー―したところ、いたって普通な内容だったので鑑賞したことすら忘れていた作品(笑)。
数年ぶりにあらためて鑑賞してみたら、やっぱり普通だなぁと思うだけで、印象は変わらなかった。ただ、ひとつだけ楽しめたことがあったので、記事に残しておく。
てなわけで、この作品はロバード・デュバル扮するバートが親父で、その息子である兄のジョセフ(マーク・ウォルバーグ)、弟のボビー(ホアキン・フェニックス)の愛憎劇みたいな家族物語である。
バートとジョセフは警官なのだが、ボビーはナイトクラブの雇われ店長みたいな夜の仕事をしている。しかも、雇い主はロシア系のマフィアのボスだ。だから黒社会に対して知り合いも多い。
で、いろいろあって、そのロシアンマフィアにジョセフが殺されそうになり、バートは殺されてまうという憂き目にあったボビーが、ジョセフとともに父の仇をうつべく、警察官に鞍替えして自分のボスであった組織を追い詰めようとするのである。
つまり、ボビーは家族を愛しているやつなんである。だから警官になる道を選ぶ。だけど、そうだとするならどうして、最初から警官の道を選ばなかったのか。その辺がよくわからない。10代のころに優秀な兄貴にコンプレックスがあったし、父に対しても反抗期があって、そのまま成長し続けたら二人とは正反対の道に進んでいた――とか?
まぁその辺はいいとして、今回この作品を鑑賞して発見した面白ポイントは、乱暴者で口が悪い感じの役を演じることの多いマーク・ウォルバーグにしては、役どころのジョセフが意外にヘタレなところだ(笑)。最初は弟に対して高圧的な態度だったけども、父が死んで弟と一緒に仕事するようになってからは、「自由に生きているお前がうらやましかった」とか本音を語っちゃう。
それは兄弟愛だからまだしも、撃たれて死にかけたせいで、銃撃戦がトラウマになっちゃうし、最終的には現場に出ずにすむ事務職に落ち着いちゃっている彼の姿を見て、俺的なマーク・ウォルバーグの役のイメージとはほど遠くヘタレていたところに笑ってしまったのである。
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