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映画 人数の町 ネタバレ感想 風刺の効いたディストピア作品

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人数の町

―2020年9月公開 日 111分―

解説:『水曜日が消えた』などの中村倫也が主演を務めるミステリー。自由に出入りできるのになぜか離れることができない不思議な町の住人となった青年が、その謎に迫っていく。CMやMVなどを手掛ける荒木伸二がメガホンを取る。『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』などの石橋静河、ドラマ「ニッポンノワール -刑事Yの反乱-」などの立花恵理、『映像研には手を出すな!』シリーズなどの山中聡のほか、橋野純平、植村宏司、菅野莉央、松浦祐也、草野イニ、川村紗也、柳英里紗らが出演する。(シネマトゥデイ)

あらすじ:借金取りに追われた揚げ句に袋たたきにされていた蒼山(中村倫也)は、ひげをたくわえて黄色いツナギを着た男(山中聡)に助けられる。男からデュードと呼ばれ、居場所を用意してやると言われた蒼山は、とある町にたどり着く。衣服も食事も住居も保証され、むさぼるようにセックスができるその町での日々を謳歌(おうか)する蒼山だったが、出入りするのは自由なのにも関わらず、なぜかそこから離れられないことに気づく。町の住人たちとの交流を重ねながら、蒼山はその謎に近づいていく。(シネマトゥデイ)

脚本・監督:荒木伸二
中村倫也/石橋静河/立花恵理

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ネタバレ感想

そんなに話題にもならず、ひっそり上映がされてる感のある作品。仕事方面でこの作品に少しだけ絡んだこともあるし、内容もおもしろそうだったので鑑賞してきた。ものすごく大きな動きがある展開ではないため、ところどころ意識が飛びそうに、つまり眠りそうになっちゃったのだが、なかなか楽しめる佳作であったなぁというのが率直な感想。

どこがいいかっていうと、この作品にはいろいろと、現実社会への風刺が込められているように感じるところ。その辺はディストピアムービーなので当たり前と言えば当たり前だが、今作は、未来の日本はこうなっちゃうかもよーー的な警鐘を鳴らしているわけではなく、すでにもう、起きていることをフィクションの中に込めているとも感じ取れるのだ。

例えば、なりすまし投票。作品内の世界は、けっこう陰謀論的な感じで何かの組織が社会を裏であやつっているような雰囲気になっていて、その最たる例が、このなりすまし投票のシーンと、主人公と紅子がプラカードを抱えて寝そべってるデモ活動なんかにあるような気がした。

で、投票のシーンについては、まずは投票権を金で売れるのであるなら、売りたい人はたくさんいるだろうし、投票所では本人確認なんて適当なもんなんだから、なりすまして投票なんて、けっこうできちゃうだろうし、ああやって、特定の奴に投票されるように人数の街の住人みたいな奴らを抱えている政治家がいたら、実現可能。

なぜあんなことが起こるかというと、政治や投票に無関心な人たちが多いからにほかならず、それは現実社会の俺らに対して突き付けられていることだとも受け取れる。

あらたにオープンした飲食店に群がって、写真を撮りまくる行為も、じっさいにSNSを使った企業の宣伝と何か異なることがあるかと言えば同じようにも思えるんであり、そういうことをしているのが、ある組織に飼われて動かされている人数の街の住人ということにこの作品ではなっているが、現実の自分だってSNSを使って似たようなことをしているのかも知らん。

人数の町の住人達は、ある意味で自分を映す鏡だ。主人公は紅子への愛を通じて、いわゆる物語的な男性に目覚めて、自分の意志で動ける人間になっていく。それは、紅子の正義感から出る行動などに駆られたからであろう。

そして、そういう成長を見せた主人公が、妻子を守るために人数の街の住人を管理するチューターになるのである。世の中に対する諦念であり、それは妻子のための自己犠牲とも言えるか。それは、ある意味では家族のためという大義名分を抱げることで、意にそぐわない仕事を続ける世間一般の人間の感情と同じものなのかもしれない。

主人公がチューターとして日常の仕事をしていることを知っている紅子は(音波みたいのを制御する装置を主人公が持ち歩いていないことを示唆するシーンがある)、自分の否定した組織で働く主人公を受け入れている。それもまた、自身が守ることを決めた子どものために必要なことだと判断したからであろう。

という風に考えると、理想のなかった主人公が理想に目覚め、それを実現するために大人な割り切りをするようになる、そしてその相手となる妻は、自身の理想に忠実に生きてきたものの、その理想に忠実であるがたに、自身の理想を否定することになるこの結末は、それぞれの人間が大人になっていく過程を描いているとも言える。大人になっていくのが良いのか悪いのかは別として。

ともかく、人数の町というのは、単なる人数合わせのために存在する人間たちのコミュニティとも言えるわけで、そこで生きる人々には意志や理想は必要なく、ただ、家畜やロボットのように生かされていることが重要なのだ。これはある政治家が「有権者は寝ててくれたほうがいい」とかいうような発言したことに通じているとも言える。

で、繰り返しになるけども、この作品を観て思ったのは、描かれている内容が、今の社会そのままであり、直接的な風刺劇だなということであった。

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