鵞鳥湖の夜
―2020年公開 中=仏 111分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:ベルリン国際映画祭金熊賞・銀熊賞(男優賞)受賞作「薄氷の殺人」のディアオ・イーナン監督によるサスペンス。誤って警官を射殺したチョウは、懸けられた報奨金を妻子に残そうと画策。妻の代理として来た娼婦アイアイと行動する彼を警察や窃盗団が追い……。孤独なアウトサイダー、チョウを「1911」のフー・ゴーが、水辺の娼婦・水浴嬢のアイアイを「薄氷の殺人」のグイ・ルンメイが演じ、中国アンダーグランドの犯罪や社会の底辺で生きる人間たちの現実を描く。第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。(KINENOTE)
あらすじ:2012年、中国南部。鵞鳥湖の周辺一帯は再開発から取り残されており、ギャングたちが縄張り争いを繰り広げていた。刑務所から出所後に古巣であるバイク窃盗団に戻ったチョウ(フー・ゴー)は、対立する猫目・猫耳兄弟たちとのトラブルに巻き込まれ、逃走。誤って警官を射殺してしまい、たちまち全国指名手配され、追い詰められてしまう。自分に懸けられた報奨金 30 万元を妻と幼い息子に残そうと画策する彼の前に、妻の代理としてアイアイ(グイ・ルンメイ)という見知らぬ女がやってくる。彼女は寂れたリゾート地の鵞鳥湖で水浴嬢、すなわち水辺の娼婦をしていた。アイアイと行動を共にするチョウは、警察や報奨金の強奪を狙う窃盗団に行く手を阻まれ、袋小路に迷い込んでいく……。(KINENOTE)
監督・脚本:ディアオ・イーナン
出演:フー・ゴー/グイ・ルンメイ/リャオ・ファン/レジーナ・ワン/クイ・ダオ
ネタバレ感想
犯罪者を描いたノワール作品が好きなので鑑賞。レンタルして気付いたんだが、この作品の監督、『薄氷の殺人』の人だった。であるから鑑賞前から嫌な予感。なぜなら、俺は『薄氷の殺人』の良さがほとんどわからずに鑑賞を終えた人間だからだ。
で、見終えてみたら、嫌な予感的中(笑)。映像は美しいんだけども、何ともゆったりした展開が退屈で、眠りそうになってしまった。
2012年ころの中国南部を舞台にした内容だったようだが、当時の中国はすでに都市部はかなりの発展をしてて、日本の都市とは比べ物にならないくらい先端都市がたくさんあったように思う。今なんかもう、日本とは雲泥の差といえるくらいに発展してるその中国、しかしこの作品で描かれるのは、そうした発展から取り残された、鵞鳥湖という湖の近くの田舎町。
この町は昔ながらの中国って感じの生活が残ってて、実在する町なのかどうだかは知らんけど、ともかく暗いし治安が悪いし、貧民窟みたい。その周辺でバイク窃盗を生業とする犯罪集団の一員が、ムショでのお勤めを終えて戻ってきたはいいものの、組織内のいざこざに巻き込まれて、図らずも警官を殺してしまったせいで、指名手配犯になってまう。そして、なんとか妻子に金を残してやろうと、自分の情報を提供した奴に贈られる報奨金を、妻にゲットさせようと目論み、いろいろと頑張る話になっている。
でまぁ、いろいろあって彼は自分の思惑通りの展開には持ち込めなかったものの、妻子には一応、報奨金が手に入ることになるという結末。しかしそれは、彼にとってはいろいろの裏切りをされた末でのことで、まぁ途中で死んじまっているわけだから、彼自身がその結末なんて知る由もないわけだが、全体的に見ればハッピーエンドと取れなくもない。
で、繰り返しになるけども、そこで描かれるのは金を目当てにした裏切りの数々である。おそらく、急速な発展を続ける中国社会の拝金主義的な現状を風刺してるのかなと感じられなくもないが、内容そのものはそんなに面白くはなかったな。これは好みの問題だから仕方ない。
あのアーティスティックな映像描写に魅せられるひともたくさんいるんだろうね。
その中で俺が良いと思った点は、ご飯を食べるシーンかな。ラスト近くの牛肉麵をむさぼる主人公。あの食いっぷりはとてもいいし、ああいう雰囲気の食堂のご飯っていいよねぇ。海外旅行いったときの楽しみの一つともいえる。
あとは、ジンギスカンが流れてるシーンはなんとも古臭くて笑える。その前にかかってた曲での踊りのシーンも、みんなとても楽しそうに踊っているようには見えないうえ、とてもダサい(笑)。そこは楽しめた。
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