サブウェイ123
―2009年公開 米 121分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:1974年に「サブウェイ・パニック」として映画化されたジョン・ゴーディ原作の犯罪小説を再映画化。ニューヨークの地下鉄をジャックした犯人と、地下鉄職員の頭脳戦を描く。監督は、「デジャヴ」のトニー・スコット。出演は、「トレーニング・デイ」のデンゼル・ワシントン、「ヘアスプレー」のジョン・トラヴォルタ。(KINENOTE)
あらすじ:午後2時00分、ニューヨーク地下鉄運行指令室のガーバー(デンゼル・ワシントン)は、ペラム発1時23分の列車が緊急停車しているのに気づく。しかも止まっていたのは、切り離された1車両だけだった。胸騒ぎを覚えたガーバーは、無線で列車にコンタクトを取る。すると回答してきたのは、ライダーと名乗る男(ジョン・トラヴォルタ)だった。ライダーは車両に乗っていた19人を人質として、地下鉄をジャックしていた。ライダーは人質の解放の条件として、59分以内に1000万ドルの身代金を用意するよう要求する。しかも、身代金を用意するのはニューヨーク市長(ジェームズ・ガンドルフィーニ)、交渉相手にはガーバーを指名する。地下鉄のことを熟知しているガーバーは、犯人が逃げ切ることは不可能だと確信する。しかしライダーは、圧倒的な自信で要求を重ねていく。(KINENOTE)
監督:トニー・スコット
出演:ジョン・トラヴォルタ/デンゼル・ワシントン/ジョン・タートゥーロ
ネタバレ感想
トニースコット監督とデンゼルワシントンのコンビ。トニースコット監督の晩年の作品は、デンゼルワシントン主演作が多く、これもその中の一つ。
ジョントラヴォルタが敵役のライダーを演じてるわけだし、カモネッティ刑事にジョンタトゥーロとなかなかキャストは豪華。しかも、監督が監督だけに期待を高めて鑑賞すると、より残念感が増す。駄作と呼ぶほど酷くないんだけど、いろいろもったいない残念作品。
まず、デンゼル演じるガーバーがなぜかライダーに気に入られて、最後まで交渉役を務めさせられることになるんだけど、どうしてライダーがガーバーをそんなに気に入ったのか、その辺の意味がわからない。そして、その関係が最後まで引っ張られていき、ラストにライダーはガーバーに射殺される。ライダーはガーバーを「友だち」とか「ヒーロー」だと評するけども、どこが?? 人質のために賄賂を受け取ったことを薄情したから? まぁそこは立派ではあるものの、どうして自分の生死を決めさせるような相手に選んだのかが、ちぃとも理解できない。
ライダーはもともと投資会社の社長らしく、今作で出てくる市長と何らかの因縁があるらしい。それはいいんだけど、けっきょく彼は犯行によって、何を得たかったのかがよくわからない。何を目的にあの計画をしたのか、わからんのである。金が欲しかったのか、世間を騒がして市長に復讐したかったのか、けっきょく何だったん? あと、ラストのほうで金の値段が上がって喜んでたけど、自分はその取り引きして儲けてたのか、ただ単に、自分の犯行で値上げを起こしたことを喜んでた? のか俺にはどっちだったかようわからんかった。さらに、その投資会社の社長がどうしてムショにぶち込まれてたのかもよくわからない。
一方のガーバーのほうも、賄賂は子どもの教育費のために受け取ったということだが、彼の家族は電話越しに奥さんが出てくるだけで、子どもは影も形もないし、奥さんの「牛乳買ってこい」を「無事に帰ってこい」という指令なのはわかるとして、彼女は旦那が賄賂を受け取ったことを知っているのかどうか、とか、その辺の細部の描写がなくバックボーンがスカスカなため、あまり感情移入ができない。人質を助けようとする正義感があるのはわかるんだけど。
ついでに言うと、犯行チームの中にガーバーの元同僚がいたわけだが、彼の存在もあんまりうまく物語に活かされずに殺されちゃってるし、人質も人質で、いてもいなくてもどうでもいいような存在感しかない。空挺部隊所属の兵隊さんの死なんて、さほど物語に深みを与えてないし、PCカップルも、単に犯人の顔を世間にさらす役に立ったけど、あれはパソコンが役に立っただけで、カップルの男のほうはただそこにいただけみたいになってて、相手の彼女のほうも画面を見ているだけ。犯人たちと人質にもう少しいろいろとやりとりをさせたら、もっと話が面白くなるんではないかと思うのだが、非常にあっさりとした描写で拍子抜けであった。
とかなんとか、いろいろ文句ばっかりではあるが、最後まで観られるという意味では、ある水準は越えている作品であるのは確か。それはおそらく、デンゼルとトラヴォルタの演技に助けられているところが大きいのではないか。
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