バタリアン
―1986年公開 米 91分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:不死者(アンデッド)が人間に襲いかかり、その脳を食べるというホラー・コメディ。ヘムデール・フィルムが提供。同社の社長ジョン・デイリー、副社長デレク・ギブソンがエグゼクティヴ・プロデューサーをつとめる。製作はトム・フォックス、共同製作者はグレアム・ヘンダーソン。68年のジョージ・A・ロメロ作品Night of the Living Deadの脚本を書いたジョン・ルッソ、それにルディ・リッチ、ラッセル・スタイナーの原案に基づき、ダン・オバノンが脚色し、監督としてデビュー。撮影はジュールス・ブレンナー、音楽はマット・クリフォードが担当。アメリカでの題名はThe Return of the Living Dead。出演はクルー・ギャラガー、ジェームズ・カレンなど。(KINENOTE)
あらすじ:ケンタッキー州ルイヴィル。フレディ(トム・マシューズ)はユニーダ医療会社で働くことになり、倉庫長のフランク(ジェームズ・カレン)に説明を受けた。フランクは、「Night of the Living Deadって映画を見たか?あれは実話なんだぜ」という。軍の細菌兵器が誤って死体を蘇生させ、しかもそのゾンビが秘密裡に処理される途中に移送ミスで、ここに運ばれたのだそうだ。地下室でフランクがゾンビの入ったケースを叩いてみせた時、突然ガスが吹き出した。一方、フレディの悪友たちは倉庫の隣りにある墓地で乱痴気パーティを始めた。ガスのために医学用の死体が雌った。フランクの電話でかけつけた社長のバート(クルー・ギャラガー)は秘密裡に処理しようと映画の通り脳を破壊するが、死体は死なない。そこで火葬場をやってるアーニー(ドン・カルファ)に頼んで焼いてもらった。煙は空へのぼる。雨が降り出し煙は墓地の地面にしみこんでいき、死体が生き返り始める。フランクとフレディの様子がおかしい。駆けつけた救急隊の診察では2人は血圧ゼロ、体温は室温と同じ、脈拍数もゼロ、つまり理論上は死人と同じであった。恋人フレディを迎えに倉庫に入ったティナ(べヴァリー・ランドルフ)は、蘇生した死人に襲われた。墓地でもゾンビが若者たちに襲いかかった。ゾンビの求めるのは人間の脳ミソ。しかも、ゾンビにくわれた者もゾンビになってしまう。ゾンビは救急隊員、警察官を襲い、その肉体をくいちぎる。火葬場にもゾンビがおし寄せ、フレディの仲間もやられ、そのフレディまでゾンビになっ.て恋人のティナに迫ってきた。バートは一縷の望みを託して、ゾンビの入れられていたケースに記されている電話番号を回した。国防省のグローヴァー大佐(ジョナサン・テリー)につながった。長年、この連絡を待っていた大佐はルイヴィルに核ミサイルを発射し、ゾンビを一掃するのだった。(KINENOTE)
監督:ダン・オバノン
出演:クルー・ギャラガー/ジェームズ・カレン/ドン・カルファ/トム・マシューズ/ベヴァリー・ランドルフ/ジョン・フィルビン/ジュエル・シェパード/ミゲル・ヌネス/ブライアン・ペック/ジョナサン・テリー
ネタバレ感想
実に懐かしい1985年作品。登場人物のチンピラたちが使っていたラジカセなんかも、今では本当に年代物。日本では今作の影響でオバタリアンなんて造語ができた。その造語のもとになったのは、本作で拘束されて火葬場職員のアーニーに尋問されるあの、上半身しかないバァさんのゾンビである。吹替えや字幕で、アーニーに名前を聞かれた彼女は自分のことを「オバンバ」と言って答えるあいつだ。
この、オバンバが前面にフィーチャーされた(?)ポスターはまだ10歳にもなってない当時の自分には、非常におどろおどろしく、不気味な絵だったのをよく覚えている。
てなことで、DVDも所有していて何度鑑賞したか覚えとらん作品だが、最初に観たのは確か、小学三年生の頃だった気がする。その当時ホラー映画好きな友人がいて、彼の家に遊びに行くと、なぜかこういうゾンビ映画などがレンタルしてきたのか部屋においてあったのだ。
で、他に遊ぶこといっぱいあるのに、彼はそれを観たがる。遊びに来た他の友人たちも、怖いもの観たさなのか、強がっていたのか知らないけど、観たがる。ところが、俺は人が血まみれになったり、幽霊だとかゾンビだとか、そういう類のものは苦手で仕方なかった。だから、みんながテレビに向かって観ているのに、一人、隣の部屋で漫画を読んだりしていた。
とはいっても、隣の部屋は気になるし、ふすまが開け放してあるから嫌でも音は聞こえるし、映像もチラチラ観てまうのである。で、結局はこの映画に釘付けになってしまったのだ。冒頭のほうはチラ見だったので記憶にないが、少し大人になってから2回目を鑑賞したときに、ほとんど内容を覚えていた。子どもの集中力というのか、記憶力というか、ともかくすごいもんだと思わされた。
初見ではホラー映画としか思えなかったわけだが、長じて鑑賞してみると、ホラーというよりはコメディ。ゾンビたちの種類も豊富で、走るわ、喋るわ、頭をふっ飛ばしても動いているわ、とにかく無敵に近い強さで、それがドンドン増殖していくのですな。笑えます。今観れば、笑えます。にしても、脳みそ食われてゾンビになる奴もいればならない奴もいて、その辺はメチャクチャではあるものの、楽しいからいいのだ。
物語の展開、テンポも良く、飽きさせないとこがまた凄い。音楽もいいです。ラストについては初めて観た当時はやりきれない気分になったもんだが、せっかく生き残ったものの、逃げ落ちた土地にまたゾンビがいたーーみたいな終わり方をする幾多の作品と比べてみると、登場人物たちはしっかり落とし前をつけて死んでいく(図らずもだが)んだから、それはそれでスッキリしてていい。続編アリ、と思わせつつも、ラストは尻切れトンボって感じではないところがまた良い。
そんなことで、実際『バタリアン2』は撮られてて、これは、10代の頃、テレビで見た覚えがある。超絶おバカ映画になってた。でもまぁ、笑えるので楽しめた。その後のシリーズは未見。いつか鑑賞してみたいもんだ。まぁでも、一作目が良いです。
にしても、よく考えたら物語の元凶はフランクであり、それを揉み消そうとしたのはバート社長なわけで、仕事におけるアクシデントは初動の対応が大事なんだったことが今となってはよくわかる。初動で軍に電話しちゃったら映画は終わりだったろうけど、他にも被害を最小限に抑えつつ生き残りに成功できるルートもありそうなもんだが、そうなっちゃったらこんなに名作にはならんわけで、それを言っちゃあおしまいなわけだ。
いずれにせよ、不祥事は隠すよりも明るみにして対応したほうが被害が少ないって意味では、教訓にもなる作品であるなぁ。登場人物たちもそれぞれに個性的でよい。俺はけっこう漢気のあるアーニーとロン毛のインド系っぽい青年が好き。スパイダーだっけ?
今でこそゾンビ映画は腐るほどあって、名作も駄作も乱立してる。そういう中では、ゾンビジャンルを確立したロメロ監督の作品と今作はかなりのクラシック的名作でありますな。コメディ路線はこの作品が先駆者だろうか。
https://hanbunorita.com/1/eiga/the-retun-of-the…ving-dead-part-2.html
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