パージ:エクスペリメント
―2019年公開 米 106分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:一年に一晩(12時間)だけ殺人含む全犯罪が合法になる法律・パージ法を活写した「パージ」シリーズの前日譚。経済が崩壊したアメリカで政権を持ったNFFAは犯罪率抑制のためパージ法を採用。全国適用を前にニューヨーク州スタテン島にて実験が行われる。監督は「フルートベール駅で」で共同プロデューサーを務めたジェラード・マクマリー。「パージ」を手がけたジェームズ・デ・モナコ監督が脚本を担当する。また、「トランスフォーマー」シリーズのマイケル・ベイや「ゲット・アウト」のジェイソン・ブラムが製作として参加。(KINENOTE)
あらすじ:アメリカの経済が崩壊した21世紀。政権を握る新政党NFFA(the New Founding Fathers of America/新しいアメリカ建国の父たち)は、犯罪率を1%以下に抑制するため、メイ・アップデール博士(マリサ・トメイ)が考案した一年に一晩限定で殺人含む全ての犯罪が合法となるパージ法を採用。反対の声が上がる中、全国適用の前にニューヨークのスタテン島にて実験が行われることが決定し、島に残る島民には5千ドルの賞金が用意された。島の住民たちは不安を抱えながら、パージ当日を迎える。島のギャングを率いるディミトリー(イラン・ノエル)は、愛する者を守るため、島に残ることに。そしてついに人類史上最悪の実験が始まる……。(KINENOTE)
監督:ジェラード・マクマリー
出演:イラン・ノエル/レックス・スコット・デイヴィス/ジョイヴァン・ウェイド/クリステン・ソリス/スティーヴ・ハリス/マリサ・トメイ
ネタバレ感想
シリーズ4作目。今作は、パージ法が全国展開される前に行われた実験の様子が描かれる。要するに、シリーズの中では一番時代が古い時の話。
この作品内では、パージ法は上級国民か下層階級の人たちを間引きするためにつくられた、経済政策という説明がなされる。つまり、ストレスがたまった民衆のガス抜きとか、犯罪率を下げるとかの目的は表向きのもので、貧困層の人口減少を目指してのものだったらしい。過去作がどういう設定だったかよく覚えてないので、この作品でパージの裏の目的とされた人口減少が、シリーズ通して活かされていたかどうかは、よくわからない。
いずれにせよ、格差社会の世の中で貧困層を減らしてしまったら、上級国民たちは搾取する相手がいなくなるわけだから、自分たちの中に新たな階層をつくることになっちゃうんじゃないかね。つまり、上級の中での一番の底辺ができて、そいつらがあらたな貧困層になるという。
だって、階層社会のピラミッドってそういうもんだから。て、考えると、この作品の政府が考えた政策ってのは、ちょっとした成金程度とかの上級国民は対象にしておらず、すさまじい富裕層か、強大な権力者のみ、つまりピラミッドの頂点に限りなく近い数%の人間のためのものだったと考えられそう。
ともかく内容的には、主人公側が、街を徘徊するイカれた奴らからどうやって生き延びるかーーというのを見せるという意味では、やっていることは同じ。
スタテン島の麻薬取引を仕切るギャングのディミトリーがかなりの強者で、格闘能力は高いし、武器の扱いも心得ていて、政府が送り込んできた傭兵たちと互角以上に戦っちゃってるところにかなり無理があるような気もするが、その要素を抜いちゃったら他に面白味はない。ヒロインの弟は多少の成長は見せるものの、ヘタレであることに変わりはないから、ほぼ役立たず。
サイコな感じの殺人鬼も最後の死にざまはあっさりしてるし、マリサトメイ演じる科学者は余裕ぶっこいてる割には、引きのアングルでゴミみたいに殺されちゃってて気の毒。しかし、この作品の出演者で唯一と言っていいほど知名度がある役者のマリサトメイがあの扱いってのが笑える。そして、ものすごくオバサンになっちまったその容姿が泣ける。男勝りなヒロインを演じた人は美人だったね。
コメント