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映画 春夏秋冬そして春 ネタバレ感想 キムギドク作品

春夏秋冬そして春
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春夏秋冬そして春

―2003年製作 韓 102分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:1996年のデビュー以来、人間の痛みと悲しみ、社会への憎悪を独特の映像美と残酷性で描いてきた韓国の異端作家、キム・ギドク。山奥の湖の湖面に佇む小さな寺を舞台に、ひとりの男の人生を5つのエピソードで語る美しく静謐なドラマ。山水画をほうふつとさせる韓国の名勝の国立公園をロケ地に選び、国民的民謡歌手キム・ヨンイムが歌うアリランが、映画を情感豊かに彩る。」(KINENOTE)

あらすじ:深い山間の湖に浮かぶ小さな庵。穏やかに年月を過ごす幼子と、彼を見守る老僧(オ・ヨンス)が二人で暮らしている。無邪気な子供が成長し、少年から青年、中年そして壮年期へといたる波瀾に富んだ人生の旅程が、水上の庵の美しい季節のなかに描かれる…。万物が息づく春。森のなかで小さな蛙と蛇、そして魚に小石を結びつけるいたずらにふけりながら、天真爛漫な笑い声をあげる好奇心旺盛な幼子(キム・ジョンホ)。その姿を見守っていた老僧は、彼が寝ているすきに背中に石を背負わせる。目覚めた子供が泣きながら石をはずしてくれと哀願するや、老僧は予言する。「その一匹でも命がなかったら、一生その石が業となってお前を苦しめるだろう」と。子供が成長し17歳になったとき、同い年の少女(ハ・ヨジン)が養生のために山寺にやって来る。少年僧(ソ・ジェギョン)の胸に少女への熱い想いが湧き上がる。老僧もふたりの恋に気づく。少女が立ち去った後、ますます募る恋の執着から逃れられない少年は、山寺から出奔する…。寺を出奔してから十数年ぶりに、男(キム・ヨンミン)は帰って来る。自分を裏切った妻を殺した殺人犯として。男は紅葉のように真っ赤に燃えたぎる自分の怒りと苦しみに堪えきれず、仏像の前で死のうとする。そんな男を無慈悲に打ちすえる老僧。寺の床一面に経文を書いた老僧は、その一つ一つの文字を彫れと、男に命じる。そうやって心を落ち着かせるのだ、と。捜索にきた刑事に連れ去られて男が寺を去ると、自らの死期を悟った老僧は自分の体に火をつけて、ひとりこの世を去る…。刑務所を出所し、すっかり廃墟となった庵を再訪する男(キム・ギドク)。老僧の遺骨を拾い、氷に仏像を彫り、山寺の中で心身を鍛錬しつつ心を空っぽにして、安らぎを得ようと日々を過ごす。ある日、顔をスカーフで覆った名も知らぬ女性が寺を訪れ、赤子を置いたままひとり寺をあとにする。赤子は母の姿を追い求め、氷の湖上を這っていく。男は体に石臼をくくりつけ、降りしきる雪の中、菩薩像をかかえて山を登る。まるで、幼子の頃の自らの小さな罪を償うかのように。。(KINENOTE)

監督・脚本:キム・ギドク
出演:オ・ヨンス/キム・ジョンホ/ソ・ジェギョン/キム・ヨンミン/キム・ギドク/ハ・ヨジン/キム・ジョンヨン

ネタバレ感想

アマゾンプライムで見つけて鑑賞。今回もキムギドク特有の変態性爆発炸裂映画かとおもったら、なんか仏教観みたいのを感じさせる静謐な内容の作品で意外。

ある山奥の湖の水面に浮かんでいる寺院があって、そこに和尚と小僧が住んでいる。小僧は時が経つにつれて成長して大人になっていって、幼年(春)→少年(夏)→青年(秋)→壮年(冬)→老年(春)みたいな感じに話が進んでいく。

最初は小僧だった彼が役者を変えつつ大人になり、最後には自分にとって師匠であった和尚と同じような役割を自分が果たすようになり、そのそばには新たな小僧が迎えられているーーというようなループ的な時間の流れ。ただし、作品の時間が円環しているわけではなさそうだ。

で、これを観ていったい何を感じるかというと、特に何も感じるところはないのであり、自然の描写や寺院の様子はとてもきれいで雰囲気があるけども、特に心が洗われるという感じでもない。もちろんこれは、観る人の価値観や鑑賞時の心境に左右されるだろうが。

とういことで、細部にわたるまで謎の多い作品だが、本作について監督自身がインタビューに答えている内容を読んでみた。普段、俺は監督が作品に対してどう感じているかのインタビューなどはさほど興味がないので調べたりしないんだけど、キムギドクには何となく興味があったので、読んでみた。

俺が読んだのはCINEMATOPICSというサイトの下記の記事。

生から死に至る時間の映画——『春夏秋冬そして春』キム・ギドク監督共同インタビュー – CINEMATOPICS

このインタビューによると、監督はこの作品を「生から死に至る時間の映画」と捉えているようだ。人間の罪とかそういうのではないみたいだね。まぁいずれにしても、小僧に対する和尚の目線はかなり慈愛に満ちており、その辺の達観に至るためにはこうした修行が必要なんかなぁと思わされなくもなかった。

でも、小僧(青年以降の)が自分の奥さんに対する怒りで苦しみ、自殺を図ることを否定しておきながら、なぜ自分は自殺したのかなと疑問に思っていたんだけども、監督自身はあれを自殺とは考えていないようだ。

曰く、「青年僧は、生きていくのが嫌になって死んでやるという自殺だったのですが、老僧の場合は、自らの意思で欲望や欲求・息をすることさえもやめてしまう。これは、自殺ではないと思いました。」ということだ。

なるほど。すると和尚は和尚でいることを止めただけということだけだ。小僧が大人になって寺に戻ってきたときに、和尚の作務衣に蛇がニョロってたが、あれはもしかしたら和尚が転生したことを描写してるのかもしらん。

そして、そうでないかもしらん。その辺はやっぱりよくわからんが、まぁしかし、面白くはないが、つまらないとも思わない、不思議な余韻のある作品であった。

ちなみに、壮年になった小僧を監督自身が演じてて、上半身がそこそこ鍛え上げられてて笑った。そんな監督が修行の一環として少林寺拳法みたいな演舞みたいなのをしてるんだけども、あれも吹き替えでなくて、自分でやってたのだとしたらすごい。少林寺映画のようなキレのある動きではなかったが、柔軟性とか跳躍力はけっこうなものだったからね。

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