ドラッグ・チェイサー
―2019年制作 米 92分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:ニコラス・ケイジ主演、ドラッグをめぐる犯罪組織と捜査機関の攻防を描くクライムアクション。南米・コロンビアで生産された高純度コカインが、最大の消費地・アメリカに向けて送り出される。麻薬組織に属するベテランの運び屋・コックも動き出すが…。(KINENOTE)
あらすじ:その男は闇の追跡者。10億ドルの獲物(コカイン)を追え!南米コロンビアで生産された高純度コカインが、最大の消費地アメリカ合衆国に向けて陸路で送り出された。カナダに拠点を置く麻薬組織に属するベテラン運び屋ザ・クック(N・ケイジ)も動き出す。そこは欲望に駆られた人間による裏切り、騙しあい、そしてDEA(アメリカ麻薬取締局)の追跡捜査が続く混沌とした世界だった。(KINENOTE)
監督・脚本:ジェイソン・カベル
出演:ニコラス・ケイジ/ローレンス・フィッシュバーン/バリー・ペッパー/アダム・ゴールドバーグ/レスリー・ビブ
ネタバレ感想
アマゾンプライムで鑑賞。引用の解説では、クライムアクションってあるけども、アクションはほとんどないので、期待しないほうがいいかと。個人的にはニコラスケイジが主演じゃなかったら見なかっただろうなという感じ。
つまり、俺はニコケイに期待しているので特に問題ないのだが、そうでない人がこれを観る場合、何に期待すべきか。たぶん、あんまない(笑)。強いて言うなら、犯罪映画が好きな人とか、コカインが生産されて、それがどういうルートで売りさばかれていくのかーーというのに興味がある人は見てもよいかも。
俺は犯罪映画は好きだし、コカインビジネスのサプライチェーンの話には別に興味はなかったけども、単なる運び屋の話以上に、コカインの流通事情が知れる部分は面白く観られた。というか、見所ってそのくらいしかないんだよな(笑)。
コカインビジネスサプライチェーンの中に、純正商品でないドラッグを混ぜている奴がいて、それを突き止めるためにニコケイがボスに命じられて、品質管理のために奔走するのが大きな話の軸。そこに、ニコケイたちの組織を摘発しようとする麻薬取締局が絡んできて、あとは純正商品でない混ぜ物を作ってる奴らの立場も描かれる感じ。
ニコケイはなかなかプロフェッショナルで、普段はコックをしてるんだけど、実は裏の顔はコカインの運び屋。劇中では「俺の作った商品を~」みたいなセリフもあるので、精製方法を編み出したのは彼なのかも。であるから、品質管理のためボスに商品の流通路をたどりながら、不純物を混ぜてる奴が誰なのかを調べさせようとするのである。
なんでボスがそれをしたいのかというと、不純物が混ざってるやつは効き目強すぎるようで、過剰摂取すると死んじまうことがあるらしいからだ。そんなのが増えたら、組織としての信用にも関わる。ついでに、自分の組織の中に、私腹を肥やすためにそんなことをしてる奴がいるのが許せなかったんだろうーーというのもある。いずれにしても、組織の沽券にかかわることだからな。
てなことで、ニコケイの話に戻ると、彼は生産地のコロンビアに足を運び、生産されたコカインを運び屋に持たせ、彼らを追跡しながら、どこで不逞の輩がいるかを調査するのだ。これが淡々と仕事をこなしていきながら、ミスがないので、彼が非常に有能に見える。
その途上で、コカインを奪い去ろうとする組織が現れたり、横流ししようとするやつが現れたりするんだけども、そういうのを水際で回避してコカインはアメリカにたどり着く。最終目的地のカナダは近いんだが、ようやくここで、混ぜ物を入れてる輩が判明する。
鑑賞してる人は冒頭からこの人物が誰かはわかるようになってて、それはローレンスフィッシュバーンである。こいつが友だちのトンマを引き入れて、ニコケイの到着を待ってたんだけども、ニコケイはこいつのやってることに気付くのだ。フィッシュバーンの友だちは本当にトンマな奴で、こんなやつを引き入れるフィッシュバーンもトンマ。であるから自分のケチな欲望のせいで、麻薬取締局に目を付けられちゃう。
この取締役局の女性捜査官は、まさにフィッシュバーンの混ぜ物を摂取した親族がいて、その親族が死んじまったので、怒りに燃えて執念の捜査をするんだが、あんまり有能じゃないのか、やってることは拷問だけ(笑)。トンマを囮にして流通経路の途中のメキシコで検問して摘発しようとするんだけども、メキシコ軍の一人が買収されてて、スルーされちゃう。
ということで、カナダに向かったニコケイとフィッシュバーンだが、ニコケイもだんだん間抜けになってきて、なぜか道中で、フィッシュバーンの罪を暴いちゃう。彼とは旧知の仲だったので、親切心でやったんだと思うが、ボスの指示を仰がないと自分の裁量で処理できないのに、なんでそんなことをしちゃうのか。そして案の定、ニコケイはフィッシュバーンの裏切りにあってしまうのである。
最終的にニコケイはそれで死ぬことはなくて、フィッシュバーンを処分することに成功するわけだが、彼は正式な摘発ができなかった女性捜査官の暴走で、射殺されることになる。この捜査官もかなりメチャクチャなやつで、最終的には私刑によってニコケイを裁くのだ。しかし、納得いかないのは結局、組織のボスは裁けていないところ。その部下を殺したところで意味はなく、コカインは流通し続ける描写があって物語は終わる。
てなことで、脚本がいい加減なのか、なんだか適当な進行で物語が進んでて、欲望のため、主に金のためにコカインの流通に加担してる奴がたくさんいることや、それによる犠牲者が出ていることや、摘発する行為そのものの虚しさなんかは描かれてるんだけど、それらが単にシーンとして挿入されるだけで、何の感慨もわかぬしカタルシスもないのであった。
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