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映画 アメリカン・ギャングスター ネタバレ感想

アメリカンギャングスタ―
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アメリカン・ギャングスター

何度観てもおもしろい、実話をもとにしたクライム・サスペンス。麻薬を売る犯罪組織として新しいビジネスモデルを構築したフランクと、彼の組織の摘発を狙うリッチー刑事たち麻薬捜査班。加えて、麻薬ビジネスに群がるニューヨークの犯罪組織や汚職警官たちを描いた良作。ネタバレあり。

―2008年公開 米 157分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:ニューヨークの裏社会で麻薬王に登り詰める黒人のギャングと、彼を追い詰めていく白人の刑事の駆け引きを描く実録サスペンス。出演は「デジャヴ」のデンゼル・ワシントン、「プロヴァンスの贈りもの」のラッセル・クロウ。監督は「ハンニバル」のリドリー・スコット。(KINENOTE)

あらすじ:1968年、ニューヨーク。地元住民たちに慕われていた黒人ギャングのボス、バンピー・ジョンソンが急死。彼に長年仕えてきた運転手、フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は、今後は自分のために生きることを心に誓う。まもなくフランクは、東南アジアから麻薬を安価で手に入れて売りさばくビジネスを考えつく。タイから軍用機で運んだヘロインは、“ブルー・マジック”のブランド名で、ハーレムの麻薬市場にセンセーションを巻き起こした。ビジネスの成功を確信したフランクは、故郷のノースカロライナから家族を呼び寄せ、最愛の母親(ルビー・ディー)に豪邸をプレゼントする。その頃、私生活のトラブルを抱えながら司法試験の合格を目指していたニュージャージーの刑事、リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)は、賄賂に汚れていない者のみを部下にするという条件で、新たに設立された麻薬捜査班の責任者を引き受ける。彼は、かつての相棒ジェイ(ジョン・オーティス)の命を奪った“ブルー・マジック”の供給元を突き止めようと調査を開始。そして1971年、世界ヘヴィ級タイトル・マッチの会場で、試合観戦するフランクに初めて目をつけた。同じ日に、悪徳刑事トルーポ(ジョシュ・ブローリン)もフランクに注目。彼は、エヴァ(ライマリ・ナダル)と結婚式を挙げた直後のフランクを取り囲み、賄賂を要求。さらに麻薬を横取りする機会を狙って、執拗に後を付け回した。やがてベトナム戦争から米軍が撤退を始め、フランクは麻薬の輸送手段を失くす危機を迎える。そしていよいよリッチーは、“ブルー・マジック”の元締めがフランクであることを掴み、彼を逮捕。フランクは、トルーポに母親の豪邸を襲われ、すべてを失って服役することになった。しかしリッチーは、警察内部を蝕む汚職刑事たちを洗い出そうと、フランクに協力を依頼。二人は力を合わせ、トルーポをはじめ汚職刑事を次々と逮捕していった。時は流れ1991年、模範囚となったフランクは、出所して久々にニューヨークの地を踏むのだった。(KINENOTE)

監督:リドリー・スコット
出演:デンゼル・ワシントン/ラッセル・クロウ/キューバ・グッディング・ジュニア/ジョシュ・ブローリン

ネタバレ感想

黒人ギャングの新しい組織

この物語の主人公の一人、フランク・ルーカスは師匠であり、自分に目をかけてくれていた黒人ギャングのボス、バンピーからさまざまなことを学ぶ。そして彼の死後、教わったことで使える部分と、使えない部分を取捨選択しつつ自らの力で新しい犯罪組織をつくり、なりあがっていく。

彼は既存のニューヨークに巣食うイタリアンマフィアや他の犯罪組織がやっていたように、麻薬を仲介業者から買って、純度を下げて量を売りさばくようなマネはしない。なんと、ベトナム戦争に従軍しているいとこを頼り、麻薬生産のメッカであるゴールデントライアングルに出向く。そして、そこで中国系の生産者と直接取引を交わす。買い付けた麻薬はアメリカ兵を買収し、空軍の輸送機でもって、本土まで麻薬を運んでくるルートを開拓するのだ。

このゴールデントライアングルに向かうシーンでフランクのいとこが、「麻薬生産は蒋介石の国民党の軍が仕切っている」てなことを言う。これは厳密に言えば、共産党との内戦に破れ、各国に散らばった国民党の残党のことを指しているらしい。当然だが、蒋介石がそこにいたわけではない。

純度100%のブルーマジック

で、ニューヨークに運び込まれたブツは全裸の女たち(盗まれないように裸にするらしい)が作業する製造所で純度100%に近い混ぜ物なしの状態で精製され、「ブルーマジック」というブランド名で町に暮らす人々に売られていくのだ。しかも、品質はニューヨークで一番なのに、他のヘロインの半額。またたくまに人気を得て、フランクの組織は強大な力を持つようになっていく。

フランクのすごいところは、仲介業者を経ずに生産者から麻薬を買い付けるルートをつくったところ。そして、高品質で低価格なヘロインを街に蔓延させて中毒者を増やし、途切れることなく売れ続ける販路を作り出したことだ。

しかし、既存の犯罪組織はこれまでの商売の秩序を乱されたため、ルーカスが邪魔で仕方ない。しかも、相手が黒人であることで余計に腹が立つらしい。だが、ルーカスはそんなことは意に介さず、イタリアンマフィアともうまく交渉を進めて販路をさらに拡大していく。こだわりは、純度100%のブランドだ。混ぜ物をしてブランド名を傷つけるやつらは、許さないのである。

家族経営の犯罪組織はリスクが高い

ということで、なかなか有能な麻薬ビジネスマンとして裕福になった彼だが、結局はその財産を手放すことになる。

まず彼の失敗は、血縁者を信用しすぎたこと。彼は組織をつくるにあたり、ヘロイン販売を兄弟たちに託す。ところが兄弟たちはフランクほどには才覚がないので、けっこうなヘマをやらかすし、無駄に目立つ格好をするなど、ともかくボンクラばかりなのだ。

フランクはそのたびに彼らを叱りつけるわけだが、けっきょくは彼らに足を引っ張られる形で、リッチーたちに摘発されることになる。

もう一つの要因は、奥さんがプレゼントしてくれた毛皮を着て、モハメド・アリの試合を一番高い席で観戦しちゃったことだろう。兄弟たちにあんだけ目立つなと言っておきながら、自分も一回だけ、奥さんのプレゼントに有頂天になったのか、目立つカッコしちゃって、リッチーに写真を撮られてまうのである。

で、この写真が手がかりとなって、彼の組織は少しずつリッチーたち麻薬捜査班の知るところとなるのだ。あとで毛皮を着たことに後悔しながら、奥さんの目の前でそれを暖炉に放り投げて燃やすシーンがある。あの辺に、フランクの冷徹かつ、奥さんへの愛情の薄さが垣間見えなくもない。要は、相手が美人であるから、隣にはべらせておきたいだけなんじゃないかという。

てなわけで、フランクはなかなか切れ者であったが、犯罪はたった一人でやらなければ、いずれ身を滅ぼすことになるということを理解していなかったのである。このブログでは何度か、「犯罪は一人でやらなければならない」ということを述べてきたが、もし興味がある方は、その点については下記の記事を読んでください。

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