手遅れの過去
ネットフリックス配信作。まさにtoo lateな男の物語。主人公の私立探偵は女性にモテモテなところは羨ましいが、羨ましくもない部分も多々ある。ハードボイルドタッチなようでいて、そうでもない感じのお話。会話劇と作品に漂う雰囲気がいい良作です。ネタバレあり。
―2015年製作 米 107分―
あらすじ・スタッフとキャスト
あらすじ:退廃的なレトロ感漂う南カリフォルニアを舞台に、酒に溺れた私立探偵が過去に見知った女の消息を辿る。再起雪が見えず、虚無的な空気を纏った捜査の顛末とは。(netflix)
監督・脚本:デニス・ホーク
出演:ジョン・ホークス/ベイル・ブルーム/ジョアンナ・キャシディ/ジェフ・フェイヒー/ロバート・フォスター
ネタバレ感想
あらすじを確認して、ハードボイルドタッチな内容なんかなと思って鑑賞。そういうの好きなので。劇終後の感想としては、ハードボイルドとは言い切れないような気がしたが、ぜんぜんそうでもないとも言い切れない、不思議な後味だと思った。
なんとなく、レイモンド・チャンドラー的な雰囲気を感じたので、ハードボイルっちゃハードボイルだと思うんだが、なんだか、別のものが混ざっている感じもする。ハードボイルド特有の乾いた感じではなく、もう少しウェットというか…。女性に対して主人公の口数が多いからだろうか?
で、この作品。長回しで撮影されてて、全編通して5カットくらいしかないそうだ。確かに、冒頭から延々とドロシーという女性が殺されるまでの過程が他の登場人物との会話を交えて続き、何だか舞台劇をみさせられている感覚になったが、あれは長回しも影響していたんであるな。
冒頭のドロシー殺しから、過去と現在を行き来しつつ、主人公の私立探偵の運命が描かれる。彼は女性の扱いに長けているようで、会話が上手。しかし、関わる女性を必ず不幸にしていく。なぜなら、本当は意気地がない男だったからだ。そんな彼の煮え切らなかった過去が招く結末は不幸でしかないのだが、全編を覆う何やら不思議な雰囲気が、なぜかさほどの悲壮感を与えない。これはこれでいいんだな、と思えてしまうのである。なぜかはわからんが。
個人的に一番面白いシーンは2番目の復讐劇だった。下半身丸出しだったあの奥さんは、情緒不安定だからあんなことしちゃうんだろうか。せめてパンツくらい履いてください(笑)。
あと、3番目と4番目に出てくるアジア系ハーフの女性もいい。めちゃくちゃ美人ってわけではないんだが、あのアバズレ的な雰囲気に魅力がある不思議な女優さんであった。個人的話だけどちょっとだけ、最近まで身近にいた女性に顔が似ていて、そこがまた何とも…。
そういえば結局、ドロシーを直接殺害したあの男は、最終的にどうなったんだろうか。特に描かれていないけど、逃げおおせちゃったということなんだろうか。
ネットフリックス値上がりしたし、あんまり楽しめる作品がないし、なんか自分の求めているものが配信されてない感があって、契約解除を考えていた。けども、こういう良作がたまに見つかっちゃうから侮れないのであります。てなことで、引き続き契約しておいてやる(笑)。
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