フェノミナ インテグラルハード完全版
―1984年製作 伊 115分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:昆虫の心がわかる少女ジェニファーと残酷な少女連続殺人鬼の熾烈な戦いを描いたホラー・サスペンスの完全版。ジェニファーが乗ったバスを追いかける謎の車、死霊の目線を追加するなどハードなシーンが加わった。製作・監督・脚本は「サスペリア」のダリオ・アルジェント。音楽は一連のアルジェント作品で有名なコブリンほか。出演は「狼たちの街」のジェニファー・コネリー、「ハロウィン」「大脱走」のドナルド・プレゼンス、「サスペリア2」のダリア・ニコロディほか。(KINENOTE)
あらすじ:チューリッヒ郊外の田園地帯。北欧から観光に来たヴェラ(フィオーレ・アルジェント)はバスに乗り遅れ、仕方なく歩き出し、とある一軒家へ入った。そこで恐るべきものに遭遇して逃げ出すが、つかまり首を切断されてしまう。映画俳優ポール・コルビノの娘ジェニファー(ジェニファー・コネリー)が、チューリッヒ空港に到着。つきそいの女教師ブラックナー(ダリア・ニコロディ)と共に寄宿学校へ向かった。彼女は昆虫とコミュニケートできる特殊能力の持主であった。警察は少女連続殺人事件の捜査の参考にしようと、昆虫学者マクレガー博士(ドナルド・プレゼンス)を訪ねる。発見されたヴェラの腐乱した首に湧くウジと、たかっている蝿が首なし死体の行方と犯人の潜伏場所をつきとめるヒントになるのではと考えたのだ。寄宿舎に入ったジェニファーは、奇怪な夢にうなされた。彼女は夢遊病者のようにベッドを出ると、道路をふらふらと歩く。そんな彼女を二人の若者が車につれ込んだ。犯されそうになるが、車のロックが外れて土手へ放り出された。そこでマクレガーの助手である猿のインゲに出逢った。ジェニファーと会ったマクレガーは、彼女の特殊能力に興味を持った。それからほどなく、ジェニファーのルーム・メイトのソフィーが惨殺された。ジェニファーは蛍に導かれ、犯人のものと思われる手袋を発見した。その中にはウジがたかっていた。マクレガーは死肉を好む虫サルコファガスを使って死体の隠し場所を探そうとした。ジェニファーはサルコファガスを入れた箱を持ってバスに乗った。そしてヴェラが殺された家へ入り込むが、すでに廃屋になっていた。一方、恐るべき殺人鬼はマクレガーを惨殺した。ジェニファーは恐くなり、寄宿舎を逃げ出そうとしてブラックナーにまことしやかに家へ連れて行れる。そこでジェニファーは殺人鬼に会った。ブラックナーはかつて犯されて、この殺人鬼を生んだのだ。必死に逃げ出すジェニファー。ブラックナーは死に、殺人鬼も炎に包まれた。(KINENOTE)
監督:ダリオ・アルジェント
出演:ジェニファー・コネリー
ネタバレ感想
ジェニファーコネリーが注目ポイント
『サスペリア』などで有名な、ダリオ・アルジェント監督作品。俺はこの監督の作品を今作で初めて鑑賞した。アマゾンプライムで配信されてなかったら、おそらく観ることはなかっただろう。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』で少女期のデボラを演じていた、ジェニファー・コネリーが主演している。この当時の彼女は本当に美少女である。俺は全然好みのタイプではないが、美少女であることは間違いない。ついでに本作では、けっこう足を出してるシーンがあって、なかなかエロスを感じる、生唾もんです(エロ中年)。
ちなみに、彼女は長じてからも美人ではあるが、俺はそんなに好みではない(しつこい)ので出演作をさほど覚えてない。だけど、もしかするとこのブログで紹介した作品もあるかもと思って、ちょいと調べてみたら、俺が鑑賞した彼女の出演作は、本作以外では、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『ロケッティア』『ダークシティ』『レクイエム・フォー・ドリーム』『ブラッド・ダイアモンド』などがあった。おぉ、けっこういい作品にいっぱい出てるんだな。『ロケッティア』以外(笑)。
というどうでもいい情報はこのくらいにして、本作品の感想。
腐乱生首と、死体&ウジ虫プールがキモい
率直に言うと、すごく変な作品だと思った。面白いかといわれると微妙だけど、けっしてつまらなくもないという感じ。とりえあず、けっこう序盤の腐乱した生首がかなりグロい。ウジとか湧いてるし、別に本物みたことないけど、かなりリアルさがあってキモかった。当時の技術であれだけのものが見せられるのは単純にすごい。
あとグロイのは、ラスト近く、地下室の死体が投げ捨てられたウジだらけのプールみたいなの。あそこにジェニファー落ちてもがくわけだが、あんなとこ入ったら普通ゲロ吐くだろ――というくらいにキモい。ただし、俺は別に好みではないが(しつこいね)あの美少女がグロ水の中でもがくシーンに興奮する人はいるかも(笑)。いや、あれはなかなかに貴重なシーンだと思うな。ただ、次のシーンで衣装が全然きれいなところは納得いかんのだが。
変わった設定には関心するが
いずれにしてもこの映画は、俺は好みではない(以下略)が、ジェニファーコネリーが主演しているからこそ観る価値があると思える。そのくらい、なんというか、作風というか、雰囲気にはまっている感じがした。…演技がうまいとは言ってない(笑)。
じゃあその作風というか、設定というか、ストーリーというべきなのか、その辺のことなんだけども、①主人公が俳優の娘②夢遊病者の疑いあり③虫が好きで、虫と意思疎通? みたいのができる――などという、ちょっと変わった設定がある。
特に③なんて、奇抜だ。虫が好きな少女ってあんま聞いたことないでしょ?
しかしこの映画の残念なのは、その特集能力を使って、連続殺人犯を追い詰めていくのかと思いきや、たいしてそれらの設定が物語に活かせていないのである。虫好き友だちの教授が彼女の能力を使って殺人鬼が潜んでいた家を発見するに至るという以外では、彼女の特殊能力はほとんど事件解決に活かされない。
後半になると、彼女の虫好きはどんどんと影を潜め、手についたウジを洗い流しちゃう始末だ。あと、物語でそれなりに役割を果たす虫が、ウジとハエだけだというのも、かなりマイナスだ。どちらもキモいだけ。
突っ込みどころも多い
ついでに、夢遊病が何だったのか、物語にさほど意味を与えていないように感じた。夢遊病中に殺された少女が誰だったのかも、犠牲者の一人だというのはわかるけども、そういうシーンを挿入した意味がよくわからない。
ジェニファーはけっこう先生たちに対して反抗的な娘で、まぁそれは仕方ないかなとは思うものの、殺人鬼宅を捜索するためにバスに乗って移動中のことだ。彼女が開け放していた窓を閉めてほしいと頼んできたおばさんに対して、逆ギレをかます(笑)。窓開けておかないと、ハエが屋敷を探知してくれないのかもだけど、あれはダメだろ。美少女への好感度がメチャクチャ下がる。
さらに、クライマックス、黒幕の先生の屋敷で、クスリを飲めと言われ、拒否し続けるのに、結局飲む(笑)。しかも飲んだ後に「毒だわ…」とか言って、そう思ったから拒否してたんじゃないのかい! もう少し知性の高い娘だと思ったのに、ここでも好感度が低下(笑)。
とかいろいろ突っ込みどころはあるんだけども、ジェニファーの美少女ぶりはなかなかのもんなので、ヘンテコホラー映画として一見の価値はなくもない…と思う。
チンパン君が大活躍(笑)
で、この作品。チンパン君(メスらしいけど)がやたらと活躍するんだけども、中盤くらいの伏線シーンのせいで、なんとなくラストの展開が読めてまうのは、少しもったいない。というか、このチンパン君とジェニファーが心通わせておけば、虫の出番は必要なかったよな気もしなくもない(笑)。
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