LUCY ルーシー
―2014年公開 仏 89分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「レオン」「ニキータ」のリュック・ベッソン監督と「アベンジャーズ」のスカーレット・ヨハンソンが初タッグを組んだSFアクション。体内でドラッグが漏れ出すアクシデントによって脳が徐々に覚醒、人智を超えた能力を発揮していくヒロイン・ルーシーの運命を描く。共演は「インビクタス 負けざる者たち」のモーガン・フリーマン。(KINENOTE)
あらすじ:ごく普通の生活を送っていたルーシー(スカーレット・ヨハンソン)は、ある日マフィアの闇取引に巻き込まれ、下腹部に新種のドラッグの入った袋を埋めこまれる。だが体内でドラッグが漏れ出すアクシデントによって、彼女の脳は突如覚醒し始める。「頭脳拡張20%」――驚異的なスピードで言語をマスター、「頭脳拡張40%」――目に見えない電波をコントロール……。脳科学者ノーマン博士(モーガン・フリーマン)が見守る中、ルーシーは次々と人智を超えた能力を発揮するが、同時に人間性が失われていき、自身でさえもコントロール不能な状態となって暴走を始めるのだった。やがて、彼女の脳は100%覚醒へと近づいていく……。(KINENOTE)
監督・脚本:リュック・ベッソン
出演:スカーレット・ヨハンソン/モーガン・フリーマン/チェ・ミンシク
ネタバレ感想
描かれている内容はSF的でなかなか壮大なんだけども、細部に粗がありすぎてさほど楽しめない残念作品。リュックベッソン監督て、『ニキータ』と『レオン』が有名だけど、それ以外の作品てホントにパッとしないよなぁ。
このお話のラストって映画の『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』とほとんど同じだよね。人間が普遍的な存在とか神に近い存在になっていくお話って他にもあるわけだから、別にパクリだなんだと言いたいわけではないけど、脳の機能を100%コントロールできるようになった人間の行きつく先を描いた作品としては、あまり新鮮味がなかったかな。
人間が脳を100%コントロールできるようになったらどうなるのかっていうテーマというか物語の軸はいいと思う。だけど、その100%を誘発するのが、人為的につくられた薬物というのが…。しかも、この薬物を誰がどうつくったのかの説明はない。
チェ・ミンシク扮するマフィア(?)のボスはなぜその薬物の存在を知ったのか? もし、彼が誰かに命じて作らせたならそれはそれでいい。いいんだけど、もしそうだとしたら、すでに何人かで人体実験は進めていてしかるべきだと思う。クスリの効能を知っているなら、あんな軽はずみに運び屋に持たせて世界各地にバラまこうなんて気にはなれないと思うんだけど、その辺がよくわからない。
あと、スカヨハは友人に頼まれて仕方なく薬をチェ・ミンシクに渡す役を担わされることになるわけで、その後の展開でどうして彼女が運び屋にされたのかもよくわからない。そして、彼女に荷物を託した友人が何で殺されなきゃいけなかったのかも、よくわからない。
他の運び屋たちはきちんと空港にたどり着けていたのに、なんでスカヨハだけは途中で拘束されちゃっているのかもよくわからない。そのシーンの後、彼女は腹を蹴られて腹の中に隠されていたクスリが体内に染み込んでしまい、覚醒していくわけだけど、どうして脳の力が解放されると、狙ったわけでもないのに、人体が宙に浮いたりできるのか意味不明。
とかとか、もうとにかく細部が適当すぎて萎える。テンポよく物語が進んでさっさと劇終してくれるのは良いけども、モーガンフリーマンとかもさして活躍するわけでもなくて、あんな扱いならスカヨハと絡ませる必要は特になかったんではないかと思えちゃうし、刑事もなんであんな従順にスカヨハに従っているのかよくわからない。
あと、スカヨハがかなり覚醒し始めて時間移動的な能力を身につけたときに、なんで猿のルーシー(?)と出会わせるシーンをつくったのか。それもよくわからん。スカヨハがルーシーに触れたことで、ルーシーの進化の覚醒が始まったとでもいいたいんだろうか。
スカヨハはほぼ神に近い存在になっているわけだから、それは不可能だとは思わないけども、そんなパラドックスな状態をつくって、それを描写するほどの意味が、この作品には必要と感じない。
てなことで、なんだか納得いかない部分が多すぎて、楽しめない作品であった。繰り返しになるが、尺が短いところは好感が持てる。それ以外でよかったのは、高級スーツに身をまとったチェ・ミンシクが渋くてカッコいいところくらいかな。
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