アフターショック
イーライ・ロスが製作に関わり、主演も務めている災害パニック作品。お約束通りの展開にならない胸糞ホラーな物語づくりはさすがである。ネタバレあり。
―2013年公開 米 89分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「ホステル」シリーズのイーライ・ロスが、製作・脚本・出演を務めるアクションホラー。チリ旅行中、巨大地震に遭遇した男たちが地獄絵図と化した街で必死のサバイバルを繰り広げる。そのほかの出演は『ボルケーノinポンペイ』のアンドレア・オズヴァルト。特集上映「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション2013」にて上映。(KINENOTE)
あらすじ:アメリカ人のグリンゴ(イーライ・ロス)、彼のチリ人の友人アリエル(アリエル・レヴィ)とポヨ(ニコラス・マルチネス)は、出会いに期待を膨らませチリ旅行へと向かう。彼らは、バーでロシア人モデルのイリーナ、パーティ好きなカイリー、カイリーの姉モニカ(アンドレア・オズヴァルト)という3人の美女のナンパに成功。男女6人は街を観光し、ダンスクラブに繰り出す。だがその時、巨大地震が発生。至福の時間だったはずが一転、街は死と破壊の地獄絵図と化すのだった。グリンゴたちは、街で暴れる略奪者や、倒壊した刑務所から脱獄した囚人たち、そして余震の恐怖から命を守ろうと必死に走り続けるが……。(KINENOTE)
監督:ニコラス・ロペス
原案:ニコラス・ロペス/イーライ・ロス
出演:イーライ・ロス/アンドレア・オズヴァルト/アリエル・レヴィ/ナターシャ・ヤロヴェンコ/ニコラス・マルティネス
ネタバレ感想
短くまとまっているから気軽に鑑賞できるうえ、内容はけっこうエグイくて楽しめる作品であった。
最初の30分くらいはチリ観光と夜の遊びを楽しむ主人公たちの様が描かれるだけで、退屈と言えば退屈なんだけど、その間の登場人物たちの振る舞いが、災害後の行動に活きてくるように感じるので、必要だったんだろうと思われる。
よいところは、登場人物の誰が生き残って、誰が死ぬのか、予測がつかないところ。全員、さほどイイ奴でもなくて、好感度も高くない。だから、誰が死のうが生きようがどうでもいいと言えばそうなんだけども、そもそも、自分を顧みたってそんな高潔な人間ではないわけで、登場人物らと同様、大した人間ではない。
そういう意味では、なかなかキャラづくりが絶妙ともいえる。こうした災害パニックものの作品では普通、主人公はだいたいができた人間で、窮地にあってもできるだけ善行を選択し続け、最後まで生き残ってハッピーエンドというパターンになる。
だが、この映画ではそれがない。物語上、重要そうだろうが、そうでなかろうが、イイ奴だろうがそうでなかろうが、死ぬ奴はあっさり死ぬ。実にリアルだ。後半の展開は災害よりも、人間の恐ろしさみたいのに比重が置かれて物語が進む。そこでの人々の死にっぷりも、なかなか残酷だし世の無常を感じさせる。
ただ、一点だけ納得いかないのは、地震がひと段落した後にすぐ津波警報が出ていたのに、津波の襲来が遅すぎだろというところだ。
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