ミラーズ・クロッシング
―1991年公開 米 115分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:1920年代のアメリカ東部のある都市における、アイルランド系とイタリア系ギャングの抗争を斬新な映像で描く。エグゼクティヴ・プロデューサーはベン・バレンホルツ、製作はイーサン・コーエン、監督は「赤ちゃん泥棒」のジョエル・コーエン。脚本はジョエル&イーサン・コーエンの兄弟が共同で担当、撮影はバリー・ソネンフェルド、音楽はカーター・バーウェル。出演はガブリエル・バーン、アルバート・フィニーほか。(KINENOTE)
あらすじ:1929年、アメリカ東部のある都市ではアイルランド系のボス・レオ(アルバート・フィニー)と、イタリア系のボス・キャスパー(ジョン・ボリト)が暗黒街に君臨していた。ある日キャスパーはレオと彼の片腕でインテリのトム(ガブリエル・バーン)のもとを訪ね、レオの庇護下にあるバーニー(ジョン・タトゥーロ)が八百長をメチャクチャにする裏切り者なので消せと迫るが、レオの持つ高級クラブで働くバーニーの姉ヴァーナ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)を愛するレオはトムの忠告には耳を貸さずその要望を一蹴したため、町には不穏な空気がたちこめることになる。一方お互いに惹かれるものを感じていたヴァーナとバクチで負け続けのトムは一夜を共にするが、その晩ヴァーナを尾行していたラグ(かつら)と呼ばれるレオの手下が何者かによって殺された。ラグ殺害をキャスパーの仕業とするレオはアジトを急襲するが、逆にレオも家でダニー・ボーイのレコードを聞いているとき、キャスパー一味の狙撃を受ける。すさまじい炎と銃弾のなかで殺し屋を仕留めたレオだが、そんなレオに対しトムはヴァーナとの情事を告白したため、トムはレオのもとを叩き出された。レオに捨てられたヴァーナからバーニーの居所を聞き出したトムは、キャスパー側に寝返りバーニーを捕らえる。忠誠心の証拠としてミラーズ・クロッシングでバーニー殺害を命じられたトムだが、殺したと見せかけバーニーを逃す。しかしそんなトムを快く思わないキャスパーの手下のデイン(J・E・フリーマン)は彼の行動に不審を抱いていた。また逃がしたバーニーまでもが姿を現し、トムにキャスパーを消せと迫ってきた。トムの周辺を探っていたデインはついにミラーズ・クロッシングにバーニーの死体を確かめるためトムを連れていくが、そこには腐乱した正体のわからない男の死体が転がっていた。一命をとりとめたトムは、八百長の内幕にデインが関わっていたとキャスパーに報告。キャスパーはデインを裏切り者とし自らの手で殺害した。しかしキャスパーはトムを待ち伏せしていたバーニーによって誤認射殺されてしまう。全てが解決したと見せかけたトムは逆にバーニーを射殺、キャスパーとバーニーの相撃ちに見せかけ、キャスパーの懐から大金を抜き取り、競馬の借金に充当した。バーニーの葬儀でトムはレオがヴァーナにプロポーズされたことを知る。そしてレオに戻ってくるよう頼まれるのだが、トムはレオに別れを告げ、去って行くレオをじっと見つめるのだった。(KINENOTE)
監督:ジョエル・コーエン
脚本:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
出演:ガブリエル・バーン/マーシャ・ゲイ・ハーデン/ジョン・タトゥーロ/ジョン・ポリト/J・E・フリーマン/アルバート・フィニー/スティーブ・ブシェミ
ネタバレ感想
コーエン監督の作品の中では、『ファーゴ』に並ぶくらい好きな作品で、数年に一度は鑑賞している。なかなかカッコいいガブリエルバーンが観られるのはこの作品と『エンドオブデイズ』くらいだな(個人的意見)。
話自体は裏切りと友情の物語って感じのハードボイルド的な内容…なんだけども、ガブリエルバーン扮するトムは喧嘩も弱いしギャンブルもからっきしで、さしたる魅力はない。しかし、なんだかそのダメっぷりがカッコいいのだ。
自分でした借金は自分の力で返すという生真面目さがありながら、ギャンブル依存症。しかも、ボスが惚れてる女を寝取っちゃうとか、なかなかクズではあるものの、そのボスのことを憎からず思っているというか、大事に考えているのだ。
繰り返しになるが、主人公らしからぬその魅力のなさにリアルな人間味があるし、ダサさがかっこよくも見えてくるのである。
んで、ラスト、トムはけっきょくボスと袂を分かつ道を選ぶ。それは、権力の庇護がないと生きていけない自分とも決別しようという覚悟の現れだったのか、それとも権力の間で振り回されるような生き方に疲れたのか、その両方なのか。いずれにしても印象的なラストシーンである。
実は最後までトムの内面だけは、わかるようでよくわからん。その辺の説明のない描写がハードボイルドなんである。
ただ、どうしてボスのレオや、イタリアンマフィアのキャスパーはトムのことをそんなに重宝したのか。頭が切れるということがしきりに強調されるけども、あんまりその辺を言動から感じられる部分はないような。まぁでも、この作品が面白いことは確かで、たくさんの魅力にあふれる内容なのに、その辺をきちんと紹介できなくてすんません(笑)。
コメント