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映画 ノーカントリー ネタバレ感想 不条理な暴力に満ちた世界

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ノーカントリー

―2008年公開 米 122分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:執拗なまでに標的を追いつめる殺人マシーンから狙われた人々の運命を描くハード・サスペンス。「ファーゴ」のコーエン兄弟が、コーマック・マッカーシーの原作『血と暴力の国』を脚色・監督。出演は、「逃亡者」のトミー・リー・ジョーンズ、「海を飛ぶ夢」のハビエル・バルデム、「アメリカン・ギャングスター」のジョシュ・ブローリンなど。第80回アカデミー賞で、作品・監督・脚色・助演男優(ハビエル・バルデム)など4部門を受賞したのをはじめ、カンヌ国際映画祭パルムドールなど、多くの映画賞を受賞した。(KINENOTE)

あらすじ:ベトナム帰還兵のモス(ジョシュ・ブローリン)は、テキサスの荒野で死体たちに囲まれた200万ドル詰めのトランクを発見する。それを奪うことがどれだけ危険な事態を引き起こすかも予測しながら、誘惑に負けた彼はトランクを抱えて車で逃走した。追っ手から、タイヤと肩を撃ち抜かれながらも自宅に戻ったモスは、妻のカーラ(ケリー・マクドナルド)にメキシコの実家へ帰るよう命じて、自身も逃亡の旅に出る。消えた大金を取り戻すために雇われたのは、オカッパ頭の殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)だった。手錠を嵌められても鎖で保安官を絞め殺す怪力の持ち主である彼は、特製エアガンと散弾銃を手にしていた。そして、トランク内に設置された発信器からの信号を察知して、モスの行方を追いかける。感情を表に出さないシガーは、顔を知られた人間を次々と情け無用に殺害してゆく。この連続殺人を担当するのは、年老いた保安官のベル(トミー・リー・ジョーンズ)と部下のウェンデル(ギャレット・ディラハント)だった。しかし、彼らの捜査は常にひと足遅く、シガーの犯行を阻止する役には立たなかった。モスの居所を確認したシガーは、宿泊するモーテルを襲う。それに気付いたモスは、銃撃を喰らいながらもメキシコへと逃げ込んだ。病院のベッドで目を覚ましたモスの前には、別の殺し屋ウェルズ(ウッディ・ハレルソン)がいた。奪った金を渡せば、命は助けてやるとモスに迫るウェルズ。そんなウェルズも、シガーによって殺害された。そして、遂にはモスも…。一方、ベル保安官は、モスの妻であるカーラのもとを訪れて、その身の危険を説く。ベル保安官の不吉な予測通り、シガーはカーラの前にも現れた。投げたコインの裏表で、生死の運命を決めようと不敵に語るシガー。しかし、そのシガーもカーラを殺害した直後、不意の交通事故で重傷を受けるのだった。(KINENOTE)

監督・脚本:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
原作:コーマック・マッカーシー
出演:トミー・リー・ジョーンズ/ハビエル・バルデム/ジョシュ・ブローリン/ウディ・ハレルソン/ケリー・マクドナルド

ネタバレ感想

初鑑賞したのは劇場で、面白かったのでパンフレットも購入した。いきなりネタバレしていくと、原題の「no country for old men」は、(老人たちの住む国ではない)みたいな意味だろうか。この作品の舞台は80年代のアメリカで、製作されたのが00年代で、今見ても時代を反映しているように感じられる内容だ。タイトルの意味を拡大解釈するなら、世の中には常に、まともな人間が住む国はないーーてな意味にとれそう。それをさらに別の言葉に変換するとしたら、世の中は常に、不条理な暴力に満ちているという感じだろうか。

この作品でその不条理な暴力を体現するのはハビエルバルデムが演じる殺し屋のシガーで、彼は独自の常識と倫理観みたいのを持っているので、他人とはほとんど会話が成立しない。彼の言動には哲学的な奥深さがあるようにも感じる。ともかく、彼には情が通じないし、目的のためには手段を選ばないので、息を吐くかのように殺人を行う。袖振り合った他人だろうが、殺しのターゲットだろうが、そのターゲットの身内だろうが、彼が殺す必要があれば殺すし、どっちでもよければ、コインの裏表でそれをするかどうか決定する。

ラストのほうで、ジョシュブローリン扮するルウェリンの奥さんが、シガーと対峙してコインの賭けを拒否したのは、その時点で不条理な暴力差を受け入れることを覚悟し、死を選択したということだろうと思われる。

そんな死神のような存在がシガーなのであるが、彼とて不条理な暴力と無縁なわけではない。それが最後の最後の事故シーンで表現される。彼も自分が殺してきた他の人間と同じく、不条理な暴力にさらされている存在なのである。

彼の存在と対極にいるのが、保安官のベルだ。祖父と父親や親戚も保安官を務めていた人が多く、彼の一族は代々で土地の治安を守ってきたらしい。その中には凄惨な事件もあったようで、彼らは仕事を通じて命の危険にさらされ続け、中には命を落としたり、障がいを負ったりした人もいたようだ。

その中にあってもベルは職務に忠実。有能でもあるので、今作で描かれる事件の全貌を察知し、ルウェリンをなんとか救おうとするものの、それはかなわない。そして、引退を決意するのである。彼はラスト、二つの夢の話をする。その夢の中身を考えるに、おそらく不条理な世にあっても、引退するのだとしても、自分は職務を全うしてきたし、父らに受け入れてもらえるだろうという希望を語ったものだと思われる。

ということで、暴力にまみれた世の不条理を描いた作品であるが、本作は別に、こういうテーマ的なものを読み取ろうとしなくても、ストーリーを追っているだけでも楽しめる、アクションサスペンス作品として高水準の出来になっている。

特に、ルウェリンが舞台から退場するまでは、彼とシガーとの対決シーンのいずれにも緊迫感がある。ルウェリンはベトナム帰還兵なので、武器の扱いにも長けているし、狩りをしている経験もあるからか、洞察力などがあり、シガーともけっこう戦える男なのだ。

しかも、ギャングたちの銃撃の現場で生き残っていた男のために水を持っていってやるような優しい面も持っていて、奥さんを幸せにしてやろうという気持ちもあるようで、粗野ではあるが魅力のある人物なのである。であるから、何とかシガーの追撃から逃げ切って幸せになってもらいたいと感情移入できるし、その感情移入度は保安官のベルに対しても同じだ。

シガーはシガーで、ガスボンベみたいのからヘンテコな弾丸を発射する特殊な武器を使ってて、その描写がカッコいい上に、感情のない機械人間みたいでありながら、意味がありそうでないように思える奥深い言葉の使い方をするので、不気味で恐ろしさを感じさせる存在感がある。

彼のライバルであるウディハレルソンが演じたウェルズは、シガーとは別の能力がある人間で、こいつも魅力があるのだが、ちょっとした油断でシガーに抹殺されることになる。あの辺もシガーの残忍さと強者ぶりが強調されていて、よい。

てな感じに、見どころも多く優れた作品です。

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