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映画 メトロ42 ネタバレ感想 ロシア産の地下鉄パニック

メトロ42
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メトロ42

モスクワの地下鉄の路線が度重なる道路工事による振動で壁面に亀裂が入り、地下水が漏れ始めたことで列車が脱線する大事故が発生。乗り合わせた乗客たちは地下に閉じ込められ、必死で地上へと脱出を試みる姿を描いたパニックムービー。ネタバレあり。

―2014年公開 露 132分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:ロシア国内で25年ぶりに製作されたパニック大作。モスクワの地下に網の目のように張り巡らされた地下鉄を舞台に、事故によって地下に閉じ込められた乗客たちのサバイバルを描く。出演は「夏の終止符」でベルリン国際映画祭銀熊賞(男優賞)を受賞したセルゲイ・プスケパリス、「オーガスト・ウォーズ」のアナトーリー・ベリィ。(KINENOTE)

あらすじ:道路工事ラッシュのモスクワでは、振動の影響によって市内各所で地下水が漏れ始めていた。家庭での断水も相次ぎ、店で水を買い漁る人が続出。ベテランの地下鉄職員セルゲイは、トンネル内の亀裂から水が染み出しているのを発見。上司に点検を促すが、アルコールで問題を起こしがちな彼の発言は取り合ってもらえない。市立病院に勤めるアンドレイ・ガリーン(セルゲイ・プスケパリス)は、優秀で人柄も良いと評判の医師。だが、家では妻イリーナ(スヴェトラーナ・コドチェンコワ)に浮気相手がいることを知りながら、何も言えずにいた。幼い娘クシューシャもそんな父親に立腹。イリーナも、浮気相手の実業家ヴラト(アナトーリー・ベリィ)から、離婚して自分と一緒になるよう迫られて悩んでいた。そんなある朝のラッシュアワー。クシューシャを連れたアンドレイは、文化公園駅からサドーヴァヤ駅へ向かう地下鉄の42号車輌に乗車するが、そこには偶然、ヴラトも乗り合わせていた。順調に運行する42号だったが、途中で前方から大量の水が押し寄せてくる。これに気付いた運転手は急ブレーキをかけるが、乗客たちの悲鳴が飛び交う中、車輌は一気に濁流に飲み込まれてゆく。水が去った後、車内は死者と負傷者の山となっていた。この状況で顔を合わせたアンドレイとヴラトは、クシューシャを守って危機を脱するために力を合わせる。一方、地下鉄本部では、このままではトンネルが大規模崩壊を起こし、張り巡らされた地下壕にモスクワ川の水が流れ込んでモスクワの半分が陥没すると分析。事故現場エリアの気密扉を閉鎖して液体窒素を注入する措置を秘密裏に決定する。イリーナは、行方が掴めないクシューシャとアンドレイが事故車輌に乗っていたことを確信。真相を確かめるために奔走する。地下に閉じ込められたアンドレイ、ヴラト、クシューシャを始め、乗客たちは目の前の危機を乗り越え、地上に生還できるのか……!?(KINENOTE)

監督:アントン・メゲルディチェフ
出演:セルゲイ・プスケパリス/アナトーリー・ベリィ/スヴェトラーナ・コドチェンコワ

ネタバレ感想

乗り物トンネルパニックとしてはなかなかの水準

パニック映画好きなので鑑賞した。アサイラム社製をはじめとするクソディザスターパニックに対する耐性を高めてきた俺としては(自慢にならない)、この、乗り物およびトンネルパニック作品はかなりの高水準と言える。突っ込みどころもそんなにないし、人々の人間模様もそれなりにきちんと描かれているからね。

まぁ、クソディザスター作品は、その内容のクソさを突っ込んで笑いながら鑑賞するのが正しい観かたともいえるので、それと比べるのは失礼と言えば失礼なんだけど。

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ナンパ師と喘息持ちのお姉ちゃんがよい

ということで、なかなか楽しめる作品だった。地下鉄事故のシーンや事故後のトンネル内、そして駅構内で逃げ惑う群衆たちのパニック描写なんかは迫力を持って描かれてて、リアリティも感じられる。そのリアリティというのは、自分の命を守ろうと我先に出口に向かおうとする人などが巻き起こす二次被害みたいのもきちんと描かれていて、人間のいろいろな本性が見られるという意味でのものだ。

そして、主要人物たちの人間性もそれなりに浮き彫りにされるので、それぞれのキャラが果たすべき役どころってのがしっかり表現されてて、最後まで繰り広げられるドラマに、良くも悪くも感情移入ができる。俺がもっとも生き残りを応援したくなったのは、ナンパ兄ちゃんと、喘息持ちと思われるお姉ちゃんの交流だ。

こいつらはいろいろあるけども、お互いを見捨てようとしないで頑張るところに好感が持てるのであり、特に男目線から見ると、このお姉ちゃんが美人なので、頑張りがいがあるだろうなと思われるし、実際ナンパ兄ちゃんは頑張るわけで、別の人物たちの絡みを観ても好感度が持てる奴なので、ラストにこの2人がハッピーな展開を迎えることにおいては、拍手を送りたくなったのである。

だがしかし、ひねくれた中年オヤジの目線から行くと、こいつらの行く末が心配だ。吊り橋効果によるカップルの末路は破局というのが世の常(知らんけど)。この二人も『スピード』のキアヌとサンドラブロックみたいな結末が待っているだろうと思ってしまった(美人をものにしたナンパ師への単なる嫉妬)。

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アンドレイは妻に対してヘタレ

で、この話の一番主要に描かれる人間模様は、主人公で医者のアンドレイと、その妻、イレーナ、そして娘のクシューシャ、イレーナの愛人でアンドレイとも顔なじみのヴラトとのそれである。

こいつらのドロドロ人間ドラマは、見ててちょっと退屈だった。アンドレイとヴラトは反目し合いながらも助け合い、しかも娘の奪い合い的展開を繰り広げつつ、娘もそのやり取りに反応してアッチにフラフラ、こっちにフラフラと蝙蝠野郎みたいなしたたかな世渡りをしてくれちゃっているように見えて、それは先述のように俺がクソ中年的ひねくれ目線で見ているからかもしれないが、茶番を見せられているような気分にもなった。

なんでって、この手の王道展開の作品では、アンドレイが物語的には勝者になるに決まっているからだ。しかしこいつが妻の浮気に対してはヘタレであるせいで、ドロ沼ドラマみたいのを見せられるのである。こいつは医者としては優秀らしく仕事に信念もあるらしいが、妻の浮気に対しては及び腰で、見て見ぬふりしてる間に今回の事故に遭うことになったのであり、さらにはそれがきっかけになって妻の浮気相手がヴラトだっていうことが判明しなければ、この先もずっとウジウジとして、妻と向き合おうとしなかったであろうと思われるヘナちん野郎。

つまり、この災害に遭わなければ、彼は妻から別れを切り出されるまで何もしてなかっただろうと想像できる。それがこの展開により図らずも妻の浮気相手がわかったことで、ようやく闘志を持ち始めたのか、メラメラギラギラし始めて、こともあろうか、この緊急時においてヴラトといさかいを起し、無駄に体力を削り合う喧嘩が始まるなど、なんというバカ男だろうかと思わずにいられぬ。

で、無事に窮地を脱出したことで男として、そして父親として、さらには家長としての自信をつけたのか、生還後はイレーナのこびへつらいをはねのけるオス度を見せる。今更なんなんだこのフニャちん野郎。妻の手を払いのけるそのしぐさ、子どもが臍曲げてるときのような態度のようにも見えなくもない。そんな駄々っ子みたくなるなら、何も言わずにハグしてやる展開のほうが、ある意味男っぽくて、オス度があがるのではないかと思ってしまったのである。

イレーナはクズ

と、アンドレイだけをディスるわけにはいかぬ。イレーナのクズっぷりはその比ではないからだ。冒頭からラストまで、彼女の好感度は下がりこそすれ、上がることはない。下降の一途である。こいつは娘が大事なのはわかるが、周りのことが考えられない典型的わがまま野郎で、どう考えても同性の友だちは少ねぇだろうなと思わせるクソ女なのである。ただ、容姿がかなり美人なので、男がまいってしまうのはわからんでもない(笑)。

きっと、その容姿によって、いろいろと苦労せずして生きてこられたのだろうことが想像でき、ともかくまぁ、なんともいけ好かない野郎なのだ(容姿以外は)。そもそも、このバカが浮気してなければ、娘は学校に車で送ってもらえたはずなのに、それに対する反省がまったくなく、ひたすら他人を頼ってピィピィギャアギャアとわめくだけ。

一応は、こいつの電話が救出劇の役に立ってはいるものの、それは電話が役立ったというだけで、この女ではなく電話が偉いのである。ただし、母親として娘を思う愛情はあるらしい。だったら浮気とかしてんじゃねーよとは思うが。

と、いろいろ書いてきたものの、パニック映画の水準としてはなかなかのもの。しかし、ラスト近くでは危機を脱しそうになってまた一難、てな繰り返しが続いて、そこはちょいとダレる。とかやっぱり腐してるように感じるかもしれないけど、それは俺がひねくれているからであって、作品が悪いのではない。

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全編通して突っ込みどころ満載で、オイオイオイオイって思っちゃうんだけど、この映画は面白いです。あほらしい設定ではあるものの、最後まで楽しんで見られたのだ。あくまで個人的な感想であるところは、誤解なきよう。

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