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スティーヴン・ユァンと言えば、ゾンビドラマの『ウォーキング・デッド』シリーズのグレンを演じた俳優さんだ。彼が主演を務めた本作は、ゾンビではないが、あるウィルスに感染された人々が暴れる話。内容が薄く、突っ込みたい部分も多いが、ドタバタアクションとしてはなかなか楽しめる作品だった。ネタバレあり。
―2018年公開 米 88分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:『ウォーキング・デッド』のスティーヴン・ユァン主演で贈るアクションホラー。人間を凶暴化させる“ID7ウィルス”が世界中で発生。大手法律事務所に勤める弁護士のデレクがクビを宣告されたその日、オフィスビル内の全員が“ID7ウィルス”に感染する。『ザ・ベビーシッター』のサマラ・ウィーヴィングが共演。監督は「エヴァリー」のジョー・リンチ。特集企画『未体験ゾーンの映画たち2018』にて上映。(KINENOTE)
あらすじ:通称“ID7ウィルス”と呼ばれる恐怖のウィルスが、世界各地で発生。それは、人間のストレスホルモンの濃度を上げ、感情と理性のバランスを狂わせるものだった。すなわち、本能が剥き出しの状態になり、ムカつく上司を殺すのも、公衆の面前でヤるのも躊躇わなくなってしまうのだ。その頃、高層ビルにオフィスがある大手法律事務所に勤める弁護士のデレク(スティーヴン・ユァン)は、同僚のミスを擦り付けられ、社長からクビを宣告されていた。荷物をまとめて帰ろうとしていたところ、“ID7ウィルス”が社内で発生。ビルが完全封鎖されてしまう。感染者は、デレクを始めとしたビル内の全員。クビに対する不満を爆発させたデレクは、狂暴化した感染者で溢れるビルの最上階にある社長室を目指すが……。(KINENOTE)
監督:ジョー・リンチ
出演:スティーヴン・ユァン/サマラ・ウィーヴィング
ネタバレ感想
冒頭に書いたとおり、内容自体は薄く、突っ込みどころも満載だ。特に突っ込みたいのは、主人公のデレクと、彼の相棒を務めることになる女性の耐久力が高すぎないかというところ。2人とも致命傷に近そうなダメージ追っていると思うんだが、派手に動き回り続ける。デレクなんて、手のひらに穴開けられてるんだぞ。痛くてどうにもならないと思うのになぁ。
これは、ウィルスに感染したことで、痛みも麻痺しているということなんだろうか。ちなみに、感染した人間は理性の抑えがきかなくなるらしく、非常に攻撃的かつ暴力的な人間に変貌する。その割には、デレクも女性もところどころ、理性的な判断をしたり、通常時のように落ち着いた気分で行動しているような部分も見受けられて、ちょっとご都合主義的な印象を受けた。
とはいえ、ウィルス感染後の展開は、血みどろバイオレンスでなかなか面白い。社畜だったデレクが不当に解雇された後に感染、感情むき出しで上役どもをぶちのめしに行くわけだから、見ていて爽快だ。俺は彼のようなエリートでも何でもない、中小企業に勤務するポンコツ会社員であるわけだが、社内で暴れ回るデレクに感情移入して、楽しく観られた。
ともかく滅茶苦茶。でも、あんなに暴走できるなら、俺も感染されてみたいなぁと思わなくもない。一人だけだとお縄を頂戴することになるから、やっぱりこの作品みたいにみんなで感染しちまえばいいのである。シッチャカメッチャカに暴れ回れば、事が終わったあとに、自分の身の振り方について真剣に考えざるを得なくなるかも(笑)。
バカバカしい内容だけど、観ようによっては爽快感もある。日々、仕事に追われている人の中には、この作品はある種の清涼剤的役割を果たすかもしれない。責任は持てぬが(笑)。
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