マンディ 地獄のロード・ウォリアー
話の筋だけをシンプルに紹介すると、恋人をカルト集団に殺された男が怒り狂い、復讐に燃える話。それだけなんだけど、同じような展開の物語とは趣の異なる演出が特徴的。ただ、ニコラスケイジが出てなければ観なかっただろうな(笑)。ネタバレあり。
―2018年公開 白 121分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:ニコラス・ケイジ主演によるリベンジ・アクション。人里離れた場所で、愛する女性マンディと暮らすレッド。だがある日、狂気のカルト集団によって彼女は炎に包まれ惨殺されてしまう。復讐を誓ったレッドは、オリジナルの武器を携え、敵のアジトへ向かうが……。共演は「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」のアンドレア・ライズブロー、「コネクション マフィアたちの法廷」のライナス・ローチ。音楽を「ボーダーライン」「メッセージ」のヨハン・ヨハンソンが担当。監督・脚本は、「カサンドラ・クロス」「ランボー/怒りの脱出」などで知られるジョルジ・パン・コスマトスの息子パノス・コスマトス。(KINENOTE)
あらすじ:愛する女性マンディ(アンドレア・ライズブロー)と人里離れた湖畔で静かに暮らす、ある過去を抱えた男レッド(ニコラス・ケイジ)。しかし、マンディに固執するジェレマイア(ライナス・ローチ)率いる狂気のカルト集団によって、彼女は炎に包まれレッドの目の前で惨殺されてしまう。怒り狂ったレッドは、古い友人を訪ね、預けてあった“死神”と呼ばれるクロスボウや、オリジナルの鋼の剣を携え復讐へと向かう。だが、彼の前にカルト集団に雇われた異様な姿をしたバイク軍団が立ちはだかる……。(KINENOTE)
監督:パノス・コスマトス
出演:ニコラス・ケイジ
ネタバレ感想
冒頭に紹介したように、話の筋は至ってシンプルだ。要するに、木こりの仕事をしているニコラスケイジ扮するレッドとその恋人でスーパーのレジ打ちをしてるマンディは、山奥の小屋で仲良く暮らしていた。ある日、マンディが道を歩いていると、そこをヒッピー集団の乗車する車が通りかかった。
その集団のリーダー的存在のジェレマイアはマンディに一目ぼれ、なんとか彼女をものにしようと、部下に命じて、暴走族を呼び出させる。暴走族たちは報酬と引き換えに、マンディとレッドを拉致。レッドを縛り付けておいて、別室でジェレマイアはマンディーに愛を告白。
何でもジェレマイアはミュージシャン志望で、音楽の道で身を立てようと思ってたが、誰にも相手にされなかった。しかし、承認欲求の強すぎる彼は、いろいろと煩悶しているうちに、神の啓示を受けたような気がして、自分は何をしても許された人間だと思えるようになったらしく、であるからマンディも自分のことを受け入れるべき! と迫るのだが、マンディは「あんたの曲ダサいわね」と笑いものにする。
自分の曲が認められなかったジェレマイアは怒りと羞恥心で真っ赤になって怒り、部下に命じてレッドの目の前でマンディを焼き殺してしまった。ついでに、マンディの愛を受けているレッドに嫉妬して、彼の脇腹をナイフで刺しておいて放置してやるのであった。
放置されたレッドは何とか縛られた状態から脱出し、灰になったマンディを見て泣き、怒りに打ち震える。そして彼は、昔の友だちを頼って武器を手に入れ、暴走族とヒッピー軍団にあだ討ちの喧嘩をしかけ、見事マンディの復讐を果たすのだったーーというのが適当なあらすじ。
話の筋としては以上だ。でも、この作品はそのシンプルな筋に幻想的な光景や夢の世界のような描写をサイケな演出で盛り込み、非常に見づらく、ややこしい話につくりあげられている。これは監督が意図的にやっているんだろうけど、意味不明に思える描写が散見し、さらに一つひとつの描写が長すぎてスローモーで、ダルイ。はっきり言って、見るのが苦痛。
特に最初の1時間、マンディが殺されちゃうまでは鑑賞を止めようかとおもうほどにダルい。カルト集団はいうなれば単なるヒッピーであるし、暴走族も単なる暴走族にしておけばいいのに、わざわざドラッグ要素や怪しいカルト教団的要素を込めて外連味を加えることで、物語を重厚にしたかったんだろうし、それが監督の好み且つやりたいことだったんだろうけど、本当にダルイ。
途中のヘンテコな塔でトラを飼っているオッサンのエピソードとか意味不明だし、暴走族やヒッピー集団との戦闘シーンも暗くて画面がよくわからない。他にも、けっこう深く脇腹刺されてるのに、何でケイジ氏はあんなに動けるのかなどなど、突っ込みどころも満載。
しかしだ。しかし、ただ一つ、見どころがある。それはケイジ氏が主演を務めているということに尽きる。それがなければ、俺にとっては全然見なくてもいい作品だった。
例えば、マンディを殺されたケイジ氏が、長そでTシャツにブリーフ一枚という姿で怒り、泣わめくシーンだ。ウォッカだかテキーラだかわからんが、酒瓶を手にアルコールをがぶ飲みしつつ、部屋をウロチョロしたり便器に座ったりしてるシーンはマジで笑える。そして、それ以降の血まみれになりながら復讐に躍起になる、ケイジ氏の狂気の表情。
それだけがこの作品の見どころで、他にはない(笑)。あと一つ書いておきたいことと言えば、マンディ役の女優さんが美人ではないし、何か目が怖い(ゴメン)。
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