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映画 ヒメアノ~ル ネタバレ感想 いじめられっ子のサイコキラー

ヒメアノ~ル
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ヒメアノ~ル

―2016年公開 日 99分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:若者の日常と殺人鬼の狂気を並行して語る古谷実の同名コミックを映画化。清掃会社で働く岡田は、同僚の安藤が想いを寄せる女性の働くカフェで、高校の同級生・森田と再会する。森田が彼女をストーキングしていると知った岡田は不穏な気持ちを抱く。出演は、「人間失格」の森田剛、「アヒルと鴨のコインロッカー」の濱田岳、「グラスホッパー」の佐津川愛美、「幕が上がる」のムロツヨシ。監督は、「銀の匙 Silver Spoon」の吉田恵輔。(KINENOTE)

あらすじ:“なにも起こらない日々”に焦りを感じながら、ビル清掃会社のパートタイマーとして働いている岡田(濱田岳)は、同僚の安藤(ムロツヨシ)から想いを寄せるユカ(佐津川愛美)との恋のキューピット役を頼まれる。ユカが働くカフェに向かった岡田は、そこで高校時代の同級生・森田正一(森田剛)と出会う。ユカは岡田に森田からストーキングされていることを告げる。高校時代、過酷ないじめを受けていた森田に対して、岡田は不穏な気持ちを抱くが……。(KINENOTE)

監督・脚本:吉田恵輔
原作:古谷実:(『ヒメアノ~ル』(ヤングマガジンKC所載))
出演:森田剛/濱田岳/佐津川愛美/ムロツヨシ/駒木根隆介/山田真歩/大竹まこと

ネタバレ感想

公開時に劇場で鑑賞して、今回はネットフリックスで見つけたので観た。古谷実原作ってことで、実写にしても彼のテイストは結構出てる感じ。安藤のキャラとか、もろに古谷実の漫画には出てくるだろうなっていういかにもな感じだし。あとは、ブサイクキャラとか冴えない奴でも女性のほうからアタックされて彼女ができるとか。

序盤はそんな感じで、古谷テイストのギャグマンガみたいな日常が描かれるんだが、そこに異分子としての森田という謎めいたキャラが陰の部分でいろいろやっていて、主人公の岡田がユカと付き合い始めた瞬間から、森田の異常な殺人癖が明るみに出始める。で、ここでタイトルが映されて、まさにこの物語の本番が始まるわけだ。

そっからは森田が無軌道に人を殺しまくりつつ、岡田とユカの住処を襲うまでの描写が続く。森田という人物は明らかに異常者で、首を絞めて人を殺すときに快感をおぼえるような性的倒錯者だ。彼がなぜそうなったのかというのは、原作ではどうだかわからんが、映画を観る限りでは、高校時代に苛烈ないじめを受けていたことと関連があるように受け取れる。

しかしまぁ、どのようなきっかけで、犬の糞を食わされるようなイジメを受けてた男が、その相手を縛り上げてぶち殺せるようになったのかは謎。その辺はおいておくとして、暴力をしたかしてないかはおいておくとして、小学生から高校生くらいの期間で、いじめをしたりされたりってな経験は誰もが持っているもんであり、特にあの悲惨な森田を観ていると、バツの悪い感情が巻き起こる人はけっこう多いだろうと思う。

仲間外れにするのも、無視するのも、オナニーさせるのもなんでも、イジメはイジメなんであって、もしかすると、自分が意識してないところでそういうことをしていた可能性だってあるのであり、ともかく、森田の結末を観るに、彼に同情してしまう部分もなくもない。彼は序盤の岡田との会話でわかるように、人生に何の希望も抱いていないし、ただ生きているだけなのだ。

そこから逆転があるとも思っていない。人を殺す強者ではあるものの、同時に社会的な弱者でもあるのだ。タイトルのヒメアノールってのはトカゲかなんかのことで、強者にねじ伏せられる弱者みたいなんを意味しているらしい。この物語においての森田は強者でもあり、弱者でもあるわけだが、それは岡田も同じで、弱者であり、何かの面で、誰かに対しては強者なのである。

てなことで、ラストのゲームのシーンがとても切ない。森田は分裂病者というよりは、何かのタイミングで幼児退行しちゃうような人みたい。しかも、自分の価値を認めようとしない心の声が頭に響いているらしい。他人に存在を否定され、自己承認ができない人生が続くってのは、なかなかキツイでありますな。

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