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―2001年公開 日 122分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:在日韓国人三世の高校生が、恋に友情に悩みながらもアイデンティティに目覚めていく姿を活写した青春ドラマ。監督は「贅沢な骨」の行定勲。金城一紀による第123回直木賞受賞の同名小説を基に、『ロケット・ボーイ』の宮藤官九郎が脚色。撮影を「走れ!イチロー」の柳島克己が担当している。主演は「溺れる魚」の窪塚洋介。第75回キネマ旬報日本映画ベスト・テン第1位、監督賞、脚本賞、主演男優賞(窪塚洋介)、助演男優賞(山崎努)、助演女優賞(柴咲コウ)、新人男優賞(窪塚洋介)受賞、第56回毎日映画コンクール日本映画優秀賞、脚本賞、スポニチグランプリ新人賞(窪塚洋介、柴咲コウ)受賞、第44回ブルーリボン賞監督賞、助演男優賞(山崎努)、新人賞(柴咲コウ)受賞、第26回報知映画賞作品賞、主演男優賞(窪塚洋介)、助演男優賞(山崎努)、助演女優賞(柴咲コウ)受賞、第14回日刊スポーツ映画大賞監督賞、助演男優賞(山崎努)、新人賞(柴咲コウ)、石原裕次郎賞(窪塚洋介)受賞、日本映画ペンクラブ会員選出日本映画ベスト1、第25回日本アカデミー賞最優秀監督賞、主演男優賞(窪塚洋介)、助演男優賞(山崎努)、助演女優賞(柴咲コウ)、脚本賞、撮影賞、照明賞、編集賞、新人賞(窪塚洋介、柴咲コウ)受賞(ほかに優秀助演女優賞(大竹しのぶ)、録音賞、美術賞、音楽賞)、映画芸術2001年度日本映画ベストテン第1位、第16回高崎映画祭若手監督グランプリ、主演男優賞(窪塚洋介)、新人女優賞(柴咲コウ)受賞、第44回朝日ベストテン映画祭日本映画第1位、第53回読売文学賞戯曲・シナリオ賞受賞、第11回日本映画批評家大賞監督賞、主演男優賞(窪塚洋介)、助演男優賞(山本太郎)、新人賞(柴咲コウ)受賞、第23回ヨコハマ映画祭作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞(窪塚洋介)、助演男優賞(山崎努)、助演女優賞(柴咲コウ)、最優秀新人賞(細山田隆人)受賞作品。(KINENOTE)
あらすじ:在日韓国人三世の杉原は、日本の普通高校に通う3年生。あだ名はクルパー。ハワイ旅行をきっかけに朝鮮から韓国に国籍を変えた父親・秀吉に叩き込まれたボクシングで、喧嘩や悪さに明け暮れる日々を送っている。友だちは、ヤクザの息子・加藤や民族中学校で杉原と共に教師から目の敵にされていた同級生の元秀や先輩のタワケ。だが、杉原にもリスペクトする男がいた。民族中学校開校以来の秀才と言われた正一だ。ある日、杉原は加藤のバースデイ・パーティで桜井という少女と恋に落ちる。ちょっと風変わりな彼女とぎこちないデートを重ね、気持ちを近づけていく杉原。しかし、自分が在日であることは告白しかねていた。そんな中、正一が駅のホームで少年に刺されて死んだ。誤解が原因で起こった悲劇だ。親友を失ったショックに愕然となった杉原は、その夜、桜井と一夜を共にし、自分が在日であることを彼女に告白する。ところがそれを聞いた途端、桜井の態度が急変した。打ちひしがれた杉原は、やり場のない思いを父親にぶつけるが、反対にのされてしまう。だがその時、彼は国籍や民族にとらわれない世の中を作ってやろうと心に誓うのであった。それから半年後のクリスマス・イヴ。大学受験に向けて勉強中の杉原。夜、桜井からの電話で呼び出された彼は、偏見を払拭した彼女とよりを戻す。(KINENOTE)
監督:行定勲
脚色:宮藤官九郎
原作:金城一紀
出演:窪塚洋介/柴咲コウ/山崎努/大竹しのぶ/山本太郎/新井浩文/萩原聖人/大杉漣/水川あさみ/塩見三省/平田満/上田耕一/温水洋一/津田寛治/田中要次/田中哲司
ネタバレ感想
忘れた頃に見たくなる。もう20年近く前の作品ってことに驚き。鑑賞当時は20代前半くらいだったんだが、それでもこの主人公が自分よりも大人びて見えたもんだ。
この作品が面白いのは、単なる不良が恋愛をするのではなく、その主人公が在日であるという要素が一番の背景になっているところにある。そもそもの原作小説の作者である金城一紀氏が半自伝的な作品として世に出したものなので、金城氏自身の10代の頃の葛藤がストレートに描かれているのだと思われる。
俺は当時、原作も読んでいて本作はその作品のテイストが良く出ているうえ、その中に、少しだけ宮藤官九郎っぽさも融合されているところに、面白味がある。クドカンと主人公を務める窪塚洋介はドラマの『池袋ウエストゲートパーク』なんかでも組んでて、これがメッチャ流行ったこともあって、二人とも名前が売れて、イケイケだったなぁという記憶。
これをまとめた行定勲監督も、デビューから少し経ったくらいの頃で、この作品の同年に公開された『贅沢な骨』と比べると彼の作家性みたいのは今作では薄れているものの、逆にそこがこの作品の良いところになっている。
主人公のクルパーこと杉原が親友の正一や柴咲コウが演じるヒロインの桜井との会話なんかには、リアリティがあんまりないし、そのセリフなどにも青臭さがあって馴染めないんだけども、これを窪塚洋介が演じてるとなんでもカッコよく見えちゃうなだから不思議なもんだ。ちなみに、原作者の他の青春小説も今読むとちょっと恥ずかしくなっちゃうような青臭さみたいのがあったけども、若い人が読むとまた印象が違うのかもねぇ。
いずれにしても、今でも窪塚洋介はカッコよくて男の俺からしてもうらやましいのだが、若き日の彼の本作でのギラギラした存在感は、ピカ一。脇を固める役者たちも豪華だし、みんな若い(当たり前)。
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