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映画 街のあかり ネタバレ感想

街のあかり
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街のあかり

―2007年公開 芬 78分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:「浮き雲」では人間賛歌を、「過去のない男」(2002年カンヌ国際映画祭グランプリ、主演女優賞受賞)では再生のドラマを語ってきたフィンランドの名匠アキ・カウリスマキ。敗者三部作の最終章で描くのは、人間性の回復。チャップリンの「街の灯」のごとく、人間の誠実さを丁寧に追いかける。主演は「10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス」「過去のない男」のヤンネ・フーティアイネン。(KINENOTE)

あらすじ:ヘルシンキ。警備会社に夜警として勤務するコイスティネン(ヤンネ・フーティアイネン)は同僚からも上司からも気に入られず、黙々と仕事をするだけの日々を送っている。影のように、彼はヘルシンキの場末で暮らしている。朝焼けが広がる空の下、コイスティネンは夜勤明けにソーセージ屋に向かう。そこではいつもアイラ(マリア・ヘイスカネン)が彼を迎える。ソーセージを丹念にグリルするアイラ。彼は誰にともなく告白する。「警備会社を起業して、奴らをツブしてやる」と。アイラはうなずく。そんなコイスティネンをパブで偶然見かけ、その性格を見抜き、付け込もうとする危険な男(イルッカ・コイヴラ)がいることを、コイスティネンはまだその頃気づいていなかった。雲がどんよりと立ち込めるある日のカフェ。休憩時間のコイスティネンに美しい女が近づいてきた。いきなり彼の前に座り、「あなたが寂しそうだった」と言う。コイスティネンは生まれて初めて恋に落ちた。ふたりはつつましやかなデートをする。彼の胸に突然ひかりが舞い込んできた。その希望を原動力に、企業のためなけなしの貯金をはたいて職業訓練校で経営を学び、銀行へ融資を受けるために相談に行く。しかし訓練校の卒業証書は何の役にも立たず、銀行員に侮蔑のまなざしを向けられるだけ。それでも、コイスティネンの胸は、ミルヤ(マリア・ヤンヴェンヘルミ)への愛にあふれていた。月明かりの美しいある夜。突然仕事場にミルヤが訪ねてきた。「会いたかったわ」という言葉とともに。「一緒にウィンドウ・ショッピングを」という彼女の誘惑に抗いきれず、彼は夜のショッピングセンターに彼女をいざなう。宝石店の警備に入るとき、コイスティネンが押した暗証番号をミルヤは見逃さなかった。それはコイスティネンの『犬のように従順で、ロマンティックで馬鹿』な性格を利用した悪事の始まりだった。しかしコイスティネンはそれを知らず……。(KINENOTE)

監督・脚本:アキ・カウリスマキ
出演:ヤンネ・ヒューティライネン/マリア・ヤンヴェンヘルミ/マリア・ヘイスカネン

ネタバレ感想

なんとなくカウリスマキ作品が鑑賞したくなり、自分にとっての初カウリスマキ作品である本作を再鑑賞した。初めて見たのは10年くらい前で、そのころとは自分の心境も変化しているので、さほどの感慨はなかったけども、やっぱりいい作品だったなぁ。

主人公のコイスティネンは警備会社で働いてるけど、さして仕事ができないようで、レイオフの候補にされちゃってる。しかも、同僚たちからも相手にされてないし、身寄りはいないし、友だちも恋人もいない孤独な男だ。

容姿だけ見るに、それなりにシャレてるし、顔もイケメンの部類。車も持ってて自宅もなかなか整理されて内装もいい雰囲気。これなら友だちとか恋人がいてもおかしくないように思えちゃうので、どうしてこの役者を主人公に据えたのかは謎だが、ともかくコイスティネンは孤独なダメ人間なのだ。

たしかに彼の行動をみてると、そこはかとないバカさ加減が漂っているのがわかる(笑)。でも実は彼は、周囲の人間を見返してやりたいと思うくらいのプライドはあるし、起業に向けた勉強も熱心にしている。

しかし、元がバカだからか、彼のやろうとすることはだいたいが裏目に出てしまう。そもそも、普段もてない男がいきなり声をかけてきた若い女に、何の疑いもなく入れ込んでしまうところが、バカだ。

これは女性経験がないからこそ起こってしまう悲劇ではあるが、彼の身近にはソーセージ屋を営むアイラがいて、彼はそこに日課のように通ってて、彼女に自分の愚痴を聞いてもらっているのに。でも、アイラがなぜ自分の話を聞いてくれるのかをわかってないバカなのである。

そして、自分自身も彼女をよりどころにしていることに気付いていない。アイラの役者さんも容姿がそんなに醜いわけではないので、なぜコイスティネンが彼女の好意に最後まで気づけないのかもちょっと謎なんだけど、それだけコイスティネンがバカだというとだろうか(笑)。

そういうわけで、バカなコイスティネンは自分を陥れようとしている女に入れ込んじゃって、宝石強盗の片棒を担ぎ、その罪を着せられてムショに行くことになってまう。それなのに、彼は自分を陥れた女のことを警察に告げようとしてない。なんでなのか、よくわからない。それでも愛してたってことなんだろうか。

で、ムショに手紙を送り続けてくれるアイラのことは無視。この辺もよくわからんが、彼はこの時、自分に酔っていたのではないか。愛した女に騙されたとしても、自分の筋を通して口を割らない。そういうストイックな自分に陶酔していたのだと。要するに自分大好きなナルシストともいえる。

そんで、やっとこさシャバに出て職にありつけたと思ったら、そこに強盗団のボスと女が客として来てて、ボスは権力者なのでコイスティネンの上司に彼の過去をばらしてクビにさせちゃうのだ。

さすがに怒ったコイスティネンは、ナイフを手にボスとその部下たちに特攻をしかけてあえなく返り討ち。バカすぎだろ。もう少し尾行して一人の時を狙うとかやりようはいろいろあると思うんだけどなぁ。そこがまぁ、コイスティネンの無能さなのだが(笑)。

そういうわけでボコボコにされてボロ雑巾のようになったコイスティネンに手を差し伸べるのはアイラなのである。彼女の手を握り返すラスト、コイスティネンは孤独の中でも希望を失っていないようだったが、アイラと共に生きることでさらに幸せになってほしいなと思わせる劇終である。

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