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映画 過去のない男 ネタバレ感想

過去のない男
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過去のない男

―2003年公開 芬 97分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:過去の記憶を失った男が新しい人生を歩いてゆく様を描いたユーモラスな感動作。監督・製作・脚本は「白い花びら」のアキ・カウリスマキ。出演は「白い花びら」のマルッキィ・ペルトラ、カティ・オウティネンらカウリスマキ作品の常連俳優に加え、ベテラン歌手のアンニッキ・タハティほか。2002年カンヌ国際映画祭グランプリ、主演女優賞、サン・セバスチャン映画祭国際批評家連盟賞、ハンブルグ映画祭ダグラス・サーク賞受賞。(KINENOTE)

あらすじ:ヘルシンキに流れ着いた一人の男(マルッキィ・ペルトラ)。彼は暴漢に襲われ、一命は取り止めるものの過去の記憶をすべて失ってしまう。やがて男は絶望の淵の中、救世軍の女性イルマ(カティ・オウティネン)と運命的な出会いをする。まもなく恋心が芽生え、互いに惹かれていく男とイルマ。それで活気づいた男は、救世軍主催のロック・コンサートを企画したりなど、だんだん行動的になっていく。しかしひょんなことから、銀行強盗に関与してしまった男は、新聞記事に載ってしまう。すると警察のもとに、男の妻(アイノ・セッポ)から連絡があった。過去が判明した男は、イルマとの別れを惜しみつつも、地元に帰るため列車に乗り込む。だが、たどりついた街に、男は何の感慨もわかない。しかも妻とは数か月前に離婚が成立していた。そこで男は、妻を新しい恋人であるオヴァスカイネン(ヤンネ・ヒューティライネン)に託すと、再びヘルシンキに戻り、イルマのもとへと足を運ぶのだった。(KINENOTE)

監督・脚本:アキ・カウリスマキ
出演:マルク・ペルトラ/カティ・オウティネン

ネタバレ感想

アキカウリスマキ監督作の中ではかなり好きな作品。彼の映画で描かれる人々たちの物語は、内容は暗い話であっても全体にユーモアと温かみがあって、ほんのりとした希望を持たせて終わるところが良い。今作はまさにその典型みたいな作品で、爆笑するようなシーンはないものの、クスりとさせられるシーンがあるし、ラストもスッキリハッピーエンドてな感じでほっこりした気持ちになれるのだ。

今作の記憶を失くした男は、けっこうな大男に見えるし、過去がわからないだけに、脛に傷を持つ男なのかなと思わせる。であるから、救世軍のイルマに新しいスーツを与えられ、それを着用した姿にはある種の貫禄みたいのが出てきて、座ってタバコ吸ってるシーンが何度も出てくるんだけども、まるでマフィアの親分みたいなのだ(笑)。

ところが、判明する過去は単なる溶接工だったという(笑)。男は記憶を失くす前はけっこういい暮らしをしてたみたいで、溶接工ってそんなに儲かるのかなと思うくらいの家に住んでたけども、奥さんとはうまく行ってなかったようで、けっきょくはラストの展開で離婚することに。

その後、物語の冒頭で記憶を失くして以降の彼は、必死こいて過去を取り戻そうとすることはせず、自分の置かれた立場を粛々と受け入れて、日々を生きている。そして、彼にとってはその生活のほうが幸せだったのだ。元の奥さんも新たなイケメンを恋人にしていて、円満に分かれることができたうえに、現時点で好きなイルマと暮らすことができるようになるんだから、ハッピーエンド以外の何物でもない。よかったねぇ。

要するに男は、過去を失くしたことによって生きることに肯定的になれたのだ。という意味では、暴漢たちに襲われたことすらが幸せのきっかけになっている。過去はそれなりに普通の暮らしができていたのに、何か満たされていなかったのだろう。しかしその後、ホームレス同然の暮らしをする中で、そのコミュニティの人々と触れ合っているうちに、男は活力を取り戻していくのである。それはイルマに恋をしたことも大きなきっかけになっているだろうと想像できる。

いずれにせよ、貧しいコンテナ暮らしや救世軍の施しで日々を生きている路上生活者ら、すべてが男に対して暖かく接して受け入れてくれる。己の居場所を見出した男は多幸感の中で生きることができるようになるのだ。ここで描かれているようにリアルな世界でも貧しい人々の暮らしというのはささやかな幸せに包まれることができるだろうか。

それは結構難しいんだろうなぁとは思う。衣食足りて礼節を知るってのは本当で、それがままならない日々にいると人間の心ってすさんでいくだろうから。しかし、この作品で描かれるコミュニティの人々は他者を受け入れ、迎え入れているように見える。そうした他者を廃絶しない暮らしの中にこそ、全体の幸福は生まれるのかもしれない。

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