初恋(2020)
―2020年公開 日 115分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「東京喰種 トーキョーグール」シリーズの窪田正孝がボクサー役で主演した、三池崇史監督初のラブストーリー。余命いくばくもないことが判明したプロボクサーの葛城レオは、悪徳刑事・大伴に追われた少女・モニカを助けたことから、人生の歯車が狂い始める。病が見つかり自暴自棄になった天才ボクサー・葛城レオを窪田正孝が、孤独な少女モニカを「ファンシー」の小西桜子が演じる。第72回カンヌ国際映画祭監督週間選出作品。日本公開に先駆け、2019年9月27日より全米公開された。(KINENOTE)
あらすじ:様々な事情を抱えた人が流れ込む欲望の街・新宿歌舞伎町。プロボクサーの葛城レオ(窪田正孝)は天涯孤独ながら希有な才能を持っているが、負けるはずのない相手との試合でKO負けを喫してしまう。試合後の診察の結果、レオは病に冒され余命いくばくもないことが判明。自棄になり気もそぞろに繁華街を歩いていたところ、少女モニカ(小西桜子)が男に追われているところに出くわし、ただ事ではないと察したレオは条件反射で男を殴り倒した。気を失った男のポケットには警察手帳があり、それを懐へ。モニカは親の虐待から逃れるように街へ流れつき、ヤクザに囚われていたことを話しはじめる。レオが殴り倒した男は大伴(大森南朋)といい、ヤクザの加瀬(染谷将太)と裏で手を組み、ヤクザの資金源となるブツを横取りしようと画策し、モニカを見張っていた悪徳刑事だった。ヤクザと大伴から追われる羽目になったレオだったが、モニカと自らの境遇が重なるところがあり、どうせ短い命ならと彼女を救う決意をする。一方、モニカと共に資金源となるブツが消え、ヤクザの一員・ヤス(三浦貴大)が殺されたことを恋人のジュリ(ベッキー)から知らされた組員一同は、組長代行(塩見三省)のもとで一触即発の様相に。一連の事件をチャイニーズマフィアの仕業だと踏んだ組随一の武闘派・権藤(内野聖陽)が組の核弾頭・市川(村上淳)と共に復讐を決意し、ジュリも後を追っていく。ヤクザ、チャイニーズマフィア、悪徳刑事と、ならず者たちの争いに巻き込まれた孤独なレオとモニカの行きつく先は……。(KINENOTE)
監督:三池崇史
出演:窪田正孝/大森南朋/染谷将太/小西桜子/ベッキー/三浦貴大/村上淳/滝藤賢一/ベンガル/塩見三省/内野聖陽
ネタバレ感想
三池崇史監督によるバイオレンスなラブストーリー。三池監督は評判の高いカルトなものから商業的な娯楽作品まで、かなりの多作で、その半分にも満たない数の作品しか鑑賞していない。その中からの感想としては、同監督の得意としているように感じるバイオレンスな内容にうまいことラブストーリーが絡んでいるような印象で、結構楽しめた。
作中の人間は、自暴自棄のボクサー(レオ=窪田正孝)、ヤクの売人をしてるヤクザの恋人(ベッキー=ジュリ)、暴力ヤクザ(内野聖陽=権藤)、腹黒いヤクザ(染谷将太=加瀬)。クサれ刑事(大森南朋=大伴)、借金を型にヤクザに監禁されてる娼婦(小西桜子=モニカ)、チャイニーズマフィアなど、癖のあるまともじゃない人物ばかり。こうした外連味のあるやつらがヤクザのヤクをきっかけに血みどろの逃亡や追跡や殺し合いをそれぞれの立場で繰り広げるんである。
そして、そうした血みどろのバイオレンス描写が、特に殺しのシーンなどはクビがバッサリ飛ぶ残酷描写などが三池監督っぽいユーモアも交えて描かれていて、楽しめる。
お話の軸となるのはレオと、彼が守ろうとするモニカの逃亡劇で、なんとなくタランティーノの『トゥルーロマンス』っぽいとも感じる。
そして、それをとりまく人々にもそれぞれの思惑があって行動しているので、そういう意味では本作は群像劇になっていて、しょうもない人物はしょうもなく殺され、ある覚悟をもって行動する主人公のレオや仁義のあるヤクザの権藤、そしてチャイニーズマフィアの女などは、好感を持ってその生きざま(死にざまも含む)が描かれる。この辺が、ヤクザ映画好きには楽しめる箇所である。
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