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映画 ザファイブブラッズ ネタバレ感想 スパイクリーのベトナム帰還兵たちの物語

映画 ファイブブラッズ
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ザ・ファイブ・ブラッズ

ネットフリックス配信作。黒人のベトナム帰還兵たちが、かつて派遣されたベトナムを訪問。その目的は隊を率いていた隊長の遺骨と、任務にあたっていた際に隠した金塊の回収にあった。果たして彼らは無事2つの目的を達成できるのかーーネタバレあり。

―2020年制作 米 154分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:2020年に配信されたアメリカ合衆国の戦争映画。監督はスパイク・リー、出演はデルロイ・リンドーとノーム・ルイスなど。埋蔵金と戦死した隊長の亡骸を探しにベトナムを再び訪れた4人の元軍人を描いている。(wikipedia)

あらすじ:ベトナム帰還兵の4人(ポール、エディ、オーティス、メルヴィン)はノーマン隊長の遺骨と埋蔵金を回収するべく、意を決して再度ベトナムを訪れることにした。ポールの息子、デヴィッドも父親を心配して旅に付いてきた。戦場での過酷な体験がフラッシュバックしたり、過酷なジャングルに分け入ったりすることは覚悟の上だったが、4人がベトナムで目の当たりしたのは想像以上のものであった。ベトナム戦争がもたらした災禍は今もなお現地の人々を苦しめていたのである。 (wikipedia)

監督:スパイク・リー
主演:デルロイ・リンドー/クラーク・ピータース/ノーム・ルイス/イザイア・ウィットロック/チャドウィック・ボーズマン/ジョナサン・メジャース/ジャン・レノ

ネタバレ感想

ざっとしたあらすじは冒頭に書いたとおり。ベトナム戦争を題材にした映画ってたくさんあるけども、黒人兵士に焦点をあてた作品ってあまりないような気がする。という意味では、スパイク・リー監督だからこそ完成した映画とも言えそうだ。

もちろん、『プラトーン』などで描かれていたように、ベトナムに従軍した兵士の多くは黒人で、多くは貧困層だった彼らが手っ取り早く食い扶持を得るための職として戦争に駆り出され、対して白人たちの多くは大学生として青春を謳歌し、出征した白人は黒人と同じく貧困層の若者だったーーて感じのことは俺も映画を通じて学んできたが、この作品はさらにはその件に関する黒人問題に踏み込んだ内容になっていると感じた。

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というのも、北ベトナムが差別を受け虐げられている黒人兵士たちを動揺させるような米国の卑劣な手口を啓蒙しようとラジオ放送をするくだりなどは、描かれてみなければわからない、アメリカの黒人問題の根深さを感じさせるシーンであったからだ。

スパイク・リー監督と言えば最近では『ブラック・クランズマン』が高評価で、俺も鑑賞はしたものの、さっぱり内容が理解できなかった。他には『ドゥー・ザ・ライト・シング』も鑑賞していて、これは人種間の軋轢の実態というか、人間感情の複雑な絡み合いによっておこる悲劇が巧みに描かれていて、非常にすごい作品と思ったが、踏み込んで感想を書くにはとても難しい内容だった。

この作品もその踏み込みの難しさはあるものの、娯楽的な内容として鑑賞し得る、わかりやすがあったところに好感を持った。他にも同監督作品はいくつか鑑賞しているが、俺の中では今作がもっとも楽しめたというのが率直な感想である。

なぜ今作が優れているかというと、黒人の差別問題などに触れているだけでなく、アメリカ撤退後、今では経済的にも発展してきたベトナムの姿が描かれ、しかし戦争で親を失ったベトナム人の心境が描写されるシーンもあり、さらには、同国の旧宗主国であったフランスの存在も紹介され、それらの問題が相互に絡み合って、国家による他国の支配やそれがもたらした戦争による拭い難い爪痕が、今現在もベトナム社会に残り続けていることを感じさせるからだ。

俺は同国に2度観光に行ったことがあり、それぞれハノイとホーチミンを訪れた。戦争博物館などは見学したものの、この作品を鑑賞した後に足を踏みいれたのであれば、また違う感慨があったのかもしれない。そのくらいに、この作品には歴史の重みや、戦争という負の問題の根深さを感じさせる力があったのである。

さらには、黒人という仲間同士のコミュニティにおいては、個々人の欲望や考えの相違が現れ、命を共にした仲間同士であっても反目し合う姿も描かれていて、そこからは人間の業の深さを感じさせられる。中でも、ビジネスで成功した過去を持つエディのあっけない死にざまと、その後の仲間たちの彼の扱いの適当さはいかがなもんか。そもそもノーマン隊長の遺骨を回収するはずだったんだから、彼の遺体もなんとかしてやれよと思わぬでもない。

ついでに、髭のないジャンレノはメチャクチャ老けて見える。すでにお爺ちゃんなのはわかるが、髭があるとないのでは、ぜんぜん印象が変わるもんだな。

この作品は、ネットフリックスで鑑賞できます。

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