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映画『アメリカン・サイコ』ネタバレ感想 殺人鬼ベイトマンの苦悩

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アメリカン・サイコ

思い出した頃に鑑賞したくなる作品。優雅な生活をしているエリート会社員が実は、社会に適合できない殺人鬼という設定もいいし、シリアスな内容を描きつつ笑えるシーンもあり、エリート会社員やセレブの生活様式を風刺および、からっている痛快作品。

―2001年公開 米 102分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:80年代のNYに生きる殺人鬼のヤッピーを描いた衝撃作。監督・脚本は「I SHOT ANDY WARHOL」のメアリー・ハロン。原作はブレット・イーストン・エリスのベストセラー小説。撮影は「従姉ベット」のアンドレイ・セクラ。音楽はジョン・ケイル。音楽監修はバリー・コールとクリストファー・コヴァート。出演は「シャフト」のクリスチャン・ベール、「イグジステンズ」のウィレム・デフォー、「17歳のカルテ」のジャレッド・レト、「ブロークン・アロー」のサマンサ・マティス、「ジュリアン」のクロエ・セヴィニー、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のカーラ・シーモア、「ドグマ」のグィネヴィア・ターナー(共同脚本も)、「クルーエル・インテンションズ」のリース・ウィザースプーンほか。(KINENOTE

あらすじ:1980年代、NY27歳のパトリック・ベイトマン(クリスチャン・ベール)は、ウォール街の一流企業で働くエリート・ビジネスマン。高級マンションに住み、エクササイズに励み、ブランド物を買い求め、完璧な生活を求めている。婚約者イヴリン(リース・ウィザースプーン)も愛人コートニー(サマンサ・マティス)もいたし、秘書のジーン(クロエ・セヴィニー)は密かに彼に恋い焦がれていたが彼の心はどこか虚ろで、目下のライバル、ポール・アレン(ジャレッド・レト)に会うたび苛立ちは募るばかり。そして、抑えきれない感情に突き動かされたベイトマンは、アレンを自宅に呼び出し殺害した。そんなベイトマンの前に、失踪したとされたポールのゆくえを調査している人物、キンボール(ウィレム・デフォー)が現われ、ベイトマンの心に不吉な影がよぎり始める。そしてある夜、ベイトマンは、前に買った娼婦クリスティ(カーラ・シーモア)と街角で再会し、自宅へ連れてかえって殺害する。さらにガールフレンドのエリザベス(グィネヴィア・ターナー)も、セックスの後で殺害。殺人衝動が暴走するベイトマン。自分を抑えきれなくなった彼は、弁護士にこれまでの殺人を告白するが信じてもらえない。こうしてベイトマンは、さらなる虚無に陥っていくのだった。(KINENOTE)

監督・脚本:メアリー・ハロン
出演:クリスチャン・ベール/ウィレム・デフォー/ジャレッド・レト/リース・ウィザースプーン

ネタバレ感想

主人公は社会に適合したい

この映画すごい好き。主人公のベイトマンは27歳のエリート会社員。金融業だか、M&Aの仕事? をやってて大金を稼いでいる。だから超金持ち。高層マンションのフィットネスできるくらいの広々とした部屋に住み、美容系の高そうなローションとかを大量に所持し、身にまとっているものは高級ブランド品。予約なしでは入れなそうな、高級レストランで食事をしている。

一見すると満たされた男だ。友人もたくさんいるようだし、婚約者もいる。ところが彼は、殺人鬼なのである。彼は「自分は社会に適合したいんだ」と言っている。なんのことかようわからんが、その台詞をまんま理解するなら、彼は自分を社会不適合者と認識しているのだ。

殺人を犯してるんだから、確かにそうなんだけど、俺が思うに、彼は社会に適合したいがために、殺人を犯しているのである。彼は自分とはまったく異なる生活をしている浮浪者や、自分よりも贅沢でいい生活をしているライバルはためらわずに殺す。そして性欲を満たすためなのか、快楽のために雇った娼婦(見下している??)らも殺す。

ラストも罰はくだらない

この2種類の殺人は目的がちょっと違うように見えるが、要するに彼は「罰せられたい」らしい。しかし、ラストでもわかるように彼は罰せられることはない。社会に適合できないのである。だから最後のシーンで、自暴自棄めいた絶望的な顔をしているのだ。

このラストで示されることは、実は周囲の人間たちより、ベイトマンのほうがある意味ではまともな人間だということだろう。

彼は罪の意識からか、社会に適合できない焦燥からか、婚約者や友人や弁護士やらに、罪の告白をしている。正直に自分のしている行為を伝えているのだ。

特に弁護士には、直接的に、どういう殺しをしたのかまで説明している。だが、誰一人周囲の人間は彼の台詞を信頼しない。一笑に付している。

他者に関心がないセレブども

ここでわかるのは、ベイトマンもそうではあったが、彼の周囲の人間たちは、基本的に他者に関心がないのである。自分にしか関心がないのである。だから、他人の話は聞いていない。というか、眼前にいる人間が、ベイトマンだろうが、誰だろうが、あまり関係がないのだ。

それをわかりやすく示しているのが、登場人物たちの多くが、人の名前をきちんと覚えていないところにある。

ベイトマンも何度もほかの人間に間違えられている。つまり、あのコミュニティにおいては、自分のほかは、誰であろうが没個性の他人なのだ。だから、付き合う相手がどうであろうが、誰でもいいのである。

そんなコミュニティにあっては、自分が殺人鬼であるという特異性を主張したいベイトマンの言などに、誰も耳を貸さない。貸す必要がないのである。だから彼は裁かれることなく、いつもと変わらぬ生活を送ることになり、それに絶望するのだ。

妄想でなく現実を描写している

ということで、この作品は後半に入ると、ベイトマンから見る世界が、現実なのか妄想の世界なのか、鑑賞者にはいまいち判断つきづらくなってくる。

だが、俺はこの作品で描かれるすべては、ベイトマンが実際に体験したリアルな出来事を描いていると解釈している。あの、拳銃で車が吹っ飛ぶシーンはだいぶおかしいとは思うものの(笑)。

ライバルのポール・アレンの自宅を死体置き場にしていたベイトマンは、終盤でその家に訪れてみる。すると、部屋はきれいに掃除されていた。そして、不動産業者が客を連れて部屋の案内をしているではないか。あれもおそらく本当の出来事だ。

ベイトマンは怪訝そうに自分を見ている不動産業者に「広告を見てやってきた」というが、不動産業者は「広告は出していない。あんたはさっさと出ていったほうがいい」とベイトマンを追い出す。

アメリカはビジネスだ

不動産業者は招かれざる客であるベイトマンが、その家を死体置き場にしていた張本人であることを悟ったのだ。だから、彼を追い出した。

不動産業者は部屋を売りたいのだ。売り払いたいから、彼の所業を知っていて追い出したのである。死体置き場になっていたかどうか、そんなものは、どうでもいいのだ。売れればいいのだ。アメリカはビジネスなのである。あれはそういうことを示した恐ろしいシーンだと思う。

笑えるシーンも多い

この映画は冒頭に書いたようにシリアスな内容でありながら、皮肉のきいた笑えるシーンも散見される。

必見は己の肉体ばかりで女性の体に全く関心がないことがわかるベイトマンの3Pシーンだろう。ほかにも名刺を見せ合って自慢する場面や、死体の入った袋よりも、袋そのもののブランドにしか関心が向かない友人のシーンとか、あほすぎて笑えます。

ちなみに、ベイトマンが予約を取りたくても取れなかった「ドーシア」なるレストラン。あんな横柄な態度で電話予約を断るような糞接客の店が、どうしてそんなに人気があるのだろうか。よっぽどすごいんだろうが、物語中で店舗の描写がないのは残念である。まぁきっと、高級であるだけが売りの店だから、描写する必要がないんだろうけどね。

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