酒で人に迷惑をかけてはいけません
こないだ――と言っても昨年末の話だからもうだいぶ前なんだけど、ちょっと酷いめにあった。どんなめにあったかというと、ある人物に自宅を荒らされたうえ、全身傷だらけになったのである。なぜそんなことになったのかというバカ話。
旧友たちとたまに飲む
俺には同年代の男女数人と、年2~3回ほど集まって飲む機会がある。自分で積極的に呼びかけはしないものの、誘われたら参加している。彼らとは20代の頃に1年ほど、同じ学校で勉強をしていた仲だ。卒業後、みんなは就職していった。俺はニートになった(笑)。
その飲み会に参加しているメンバーで、今回の話に関する人たちだけを紹介しておくと、まずは飲み会の開催を呼びかける男Aがいる。そして、未婚の女Bがいる(美人)。あとは、既婚者の男C。そして俺だ。
彼らとは俺がニートになってからはそんなに付き合いはなかった。卒業後、1~2度会ったか会わなかったかくらいだろう。しかし、俺もしぶしぶ働くことになり、その後、世の中にSNSが出回り始め、俺も仕事でフェイスブックを使わざるを得なくなったことをきっかけに、彼らとのつながりが薄いながらも戻った。
彼らは同年代ということもあるし、似たような職種ということもあって、話をしているとなかなか面白い。しかも、Aはバツイチだし、Bと俺は未だに独身だし、「俺たちは人間的に何か欠けている部分があるらしい」と言い合って、なんだかよくわからぬ連帯感を持つことがある。で、Cは昔はけっこう謎な部分がある男だったが、今では2児の父ということで、実は一番一般的な生活を送っていると言えそうだ。
2次会はどこに行くのか
しかし、俺の部屋を荒らしていったのはCである(笑)。このメンバーで飲むときは、人数の増減はあるものの、ともかく最初にBが帰る。彼女が帰ると、男だけになる。Aが女の子のいる店に行きたがる(稀に普通の飲み屋にいくこともあるけど)。なので、行く。そんでみんなベロベロになって各々帰宅していく。それが大体のパターンである。
余談だが、女の子のいる店ってのは安いガールズバーのこと。あと、女の子と相席できるという居酒屋にもいったことがある(笑)。俺も何度か付き合ったが、超絶つまらなかった記憶しかないので、もう行きたくない。
なぜかというに、何で金を払ってまで女の子のご機嫌を取って喋ってもらわなくちゃいかんのか、意味がわからんからだ。しかも、その話相手の女の子たちの会話に、知性の欠片も感じられない(ごめん)。つまり、話してても全然面白くないのである。そんな女の子と喋るのにお金払うとか馬鹿馬鹿しくてやっていられない。話をしていて楽しいなら、お金払ってもいいけど。そんな高級店(楽しいんだよね?たぶん)には行けませんわな。
ということで、俺は普通の飲み屋に行く2次会でない場合は、帰宅するようにしていた。
あの日もさっさと解散すべきだった
で、問題の起きた日のこと。Bが帰ったあと、残った3人でどうしようかという話になる。そのときだ、珍しくAが次の店の話をしなかったのである。そのときはなぜかわからなかった。すでにけっこう酔っ払っていたので、思考が停止していた。
Aはおとなしく帰宅していった。珍しいこともあるもんだと思った。このとき本当は、思考停止してなければよかったと思う(笑)。ということで、俺はCと安い居酒屋に入り、2次会をすることにした。もうすでに、この辺から記憶がぼんやりしてきている。
何時間いたのか覚えてない。Cは自宅に帰る終電を逃していた。俺の家は、歩いて帰れる距離にあった。ということで、コンビニで酒を買って、我が家で3次会ということになった。ちなみに、我が家とか抜かしているが、独身低所得中年の俺の棲家は、みすぼらしい粗末なアパートの一室である。
一人で暮らすには十分な広さだし、自分では気に入っているものの、人に自慢できるような場ではないのは確かだ。まぁでも、人を呼ぶことに抵抗はない。仮に、訪れた人に内心バカにされてたとしても、それはそれだ。俺が満足しているのだから、いいのである。
ということで、話を元に戻す。Cを自宅につれてきて、買ってきた酒をまた飲み始めた。2次会の居酒屋からここまでの間、何を話したかなんて、一つも覚えていない。どれだけ飲み続けたのかも覚えてないし、なぜあんなことになったのか、そのきっかけもあいまいなんだけど、ここから述べることについては、それなりに記憶に残っている出来事だ。なかなかショッキングな体験だったからだろうと思う。
ようやくその話に入る。
自宅に連れてこなければよかった(笑)
何でかわからんが、Cは唐突に俺に言った。「○○(俺の名前)は、ゲイだろ」と。そして、「○○って体が締まってていいよね。とくに尻」とか抜かしてどんどん俺に近づいてくるのである(ちなみに俺はそんなにエロスな体はしてません。酔っ払ったCの買いかぶり)。で、気づいたら仰向けに倒されて上に乗られていた。で、軽くチューされてもうたのである。
うぇえええ、マジできもいね、これ。マジできもい。だけど、酔っ払ってたせいなのか何なのかわからんけど、俺は邪険に跳ね除ける判断はせずに、冷静にCを引き剥がすように心がけたことを覚えている。
んで、誤解があるようだが、俺は付き合っている女性もいるし、性的に女性が好きであることを冷静に述べた。述べたらCは「うそをつけ、それはお前がゲイであることを隠しているだけだ。だから証拠に、独身だし彼女がいても結婚しようとしないではないか」というようなことを言うのである。
独身で結婚しないのは俺がゲイだから…。冗談ではない。あほかと思いました。だから、もう一度、否それはない。と否定した。そしたらである、そしたらなぜか、Cが激怒し始めたのだ。ものすごい大声で「そんなわけねーだろ、おまえ殺すぞ」とかそんなようなことを喚きだして、掴みかかってきたのである。
なんだかよくわからんことである。しかし、深夜に叫ばれたら近所迷惑であるゆえ、俺はCを押さえつけて黙ってもらおうとした。が、彼はどんどん力を強めてこっちの首をしめかからんような勢いで大声で叫び続けるのである。
ということで、もみ合いへしあい、黙れ頼むから黙ってくれ喋るな近所迷惑だ――というか、今すぐ出て行けこの野郎! という俺に向かって、うるせー、殺すぞお前殺すぞ! とか叫び続けるので、俺も面倒くさくなって、できるんならやってみろやと、力づくで押さえつけることにした。俺は身長がさほど高くはないが、幸いなことにCは俺よりも小柄だ。おそらく体重も俺以下だろう。だから何とか押さえつけることに成功した。
しつこいんだよね、この人
で、何とか彼を落ち着かせようとしたのである。で、一瞬落ち着いたのである。そのときに、頼むからもう帰ってくれと頼んだ。頼みました。そんで、部屋とキッチンを区切るガラスの引き戸を開けて、彼を玄関へと促した。Cはそれに従ったようで、玄関のほうまでいったのだが、いきなりまた俺につかみかかってくるのである。もう、そのときは、彼が何を言っているのか、よくわからなかった。
で、いきなり押されたので抵抗できず、俺は背中からガラスの引き戸にぶち当たってしまった。これはまずいと思った。このまま押されたら引き戸のガラスが割れてまう。それは避けたい避けたいどうしても嫌だまずい。と思ってCを止めようとしたが時すでに遅し。
やつの勢いに押されてそのまま二人で仲良くガラス戸ごと部屋の中にがっしゃーんである。倒れこんじゃったのである。ひどい。ひどすぎる。泣けてくる。ガラス戸は割れてしまった。割れてしまったからその上にいるわけにはいかんので、Cを抱えたまま空いた床スペースに体を逃がす。
行動が支離滅裂すぎ
その後ももみ合いは延々と続いた。ちなみに、どっかのタイミングで俺がCの顔面に頭突きをかましたのを覚えている。なので彼は鼻血を出していた。ざまぁみろ。
その後、頭がおかしいことにCは、つかみ合っていた俺から離れると、わざわざ倒れたガラスの上に立って何かを喚きだした。だから、足の裏も切ったようだ。バカすぎる。どうかしている。
どうやってあの場が収まったのかもう、覚えていない。だが、ひどい夜だった。おとなしくなったCは、部屋の隅っこで横になっていた。…ていうか帰れよ。
俺はもう何も考えたくないので、倒れたガラス戸を踏まぬように避けながら自分の布団の上に転がり、とりあえず眠ることにした。そうしたらCは起き上がり、ガラス戸の上を歩きながら、俺の布団に向かってくるではないか。
ここまで来ると軽くホラーである。足怪我するから、ガラスの上を歩くなと言ってもおかまいなし。本当に勘弁してほしい。で、こちらに向かってくると、俺の布団には入らずに、近くにあるスペースに横になって眠ってしまった。布団に入ってこられなくて、よかった。それだけが救いであった。
部屋は荒れ放題だし出血も
眼を覚ましたのは明け方だった。Cはまだ眠り続けていた。部屋を見回すと、惨憺たる光景であった。なんと、冬だというのに、Cはコンビニでアイスを買っていたらしく、それが床の上につぶれて広がっているではないか。汚い。
しかも、二人でもみ合ったり何なりしたこともあり、カーペットのところどころが、血で汚れている…。酷い。
そして、部屋に横たわっているガラスの引き戸…。2枚とも倒れて、1枚のほうのガラスは完全に割れてしまっている。泣ける。
俺はCを起こした。眼を覚ました。俺もそうだが、やつもまだ酒が残っているようだった。Cは部屋の惨状を見て「俺、大変なことをしちゃったな」と言った。まぁそうだ。おっしゃるとおりだ。
そして「警察呼んで」と言われた。警察かぁ。そうか、そういうもんなのか。でもあんだけ近所迷惑しておいて、朝っぱらから警察までこられたら余計に近所迷惑だし、何より俺が迷惑だ。ということで、いいから早く帰れ視界から消えてくれと、Cを家から追い出した。やつはすごすごと帰っていった。あばよ。
体中が痛い。こういう取っ組みあいみたいなことをすると、何だかよくわからんところに傷がついたり打ち身ができたりしているものだ。なんなんだよ、くそ。これが中年のオッサン2人のやることとは思えぬ。
ちょろっと鏡を見たら、顔面にも数か所に切り傷ができていた…。これ、出勤日の月曜日までに消えるのだろうか。無理だろうな(ちなみにその時点では日曜の早朝)。
最悪の気分である。俺はタバコを一本吸って、また眠ることにした。…ちくしょう。
Cはなぜ激怒したのだろうか
何でCは怒ったのか。それはよくわからない。彼には妻子がいるが、同性愛の欲望も持っていたみたいだ。でも、彼は本当にゲイ的欲求があったのか。単なる勢いだったのか、それはよくわからん。
しかし、以前Cは、20代の頃はモテモテで、今でも美人な独身のB(結婚願望はかなりあるらしい)を称して言っていたことがある。
「Bちゃんは絶対、性格か性癖に、ものすごくアブノーマルな何かがあるから、結婚できないんだよ」と。なんとも短絡的な考えではある。もうちょっと知性の高い男のはずだが、何でそこだけ偏屈な考えになるのか、俺にはよくわからなかった。
だが、今回の件をその言から類推するに、彼の思考回路の中では、俺が独身なのはゲイであるから――ということになっていたのかも。きっと以前から。…ひどいなぁ、本当に。
それとは別に、Cはそのころ、雇われ社長をやってた商売が傾いて仕事を辞めざるを得なくなり、転職したばかりだったようで、いろいろとストレスもあったんだろう。妻子もあるしな。
Aも被害を受けていたのだ
ともかく言えるのは、わかったのは、Cは酒癖が超絶悪いということだ。で、後日思い出したことがある。Cが同席していなかった飲み会のときにAが言っていたことを。
ある飲み会の時、例によってBが帰宅。女の子の店に行く2次会パターンになって、俺はそれにまざらずに帰宅を選んだことがあった。そのときに、AはCを行きつけのガールズバー(キャバクラ?)だったかに連れて行ったそうだ。そのときに、酒が進むにつれてCは、相手をしてくれていた女の子に対して「お前はブスだ」とか何とか、罵詈雑言を浴びせ続けて騒いだらしい。
おかげでAは、行きつけだったその店に、顔を出しづらくなってしまったそうだ。――そんな話をAが、以前していたのを思い出した。というか、もっと早く思い出せよ、俺。と思いました。泣ける。
だから、俺がCを自宅に招いたあの日、Aは2次会に行こうと提案せずに、帰宅したのだ。なぜなら、Cの酒癖の悪さのせいで、彼も嫌な思いをしたことがあるから。
その後どうなった
てなことで、Cが帰っていった同日の昼間に、俺のスマホに謝罪の連絡が何度もきた。でも、うざいから俺は一度も出なかった。だが少しあとで考え直し、ラインで連絡をした。
俺の部屋をめちゃめちゃにしやがって酷くないですか。
すると彼はいろいろ弁償すると返信してきた。
ではとりあえず、これから便利屋を呼んで部屋を片付けてもらう。自分でやるのは気持ち的にもシンドイからだ。あと、ガラス戸も割れたのなどを含めて、あとで請求するから全額お支払いよろしく。
というような内容を送った。
彼は承諾した。そして、二度と俺の前に姿を現さないようにする――と返信してきた。
俺は、またみんなで飲むときは顔を出せばいいと返した。だが、彼と二人だけで飲むことは、二度とないだろう。
さらに後日、不動産屋に連絡したら、大家のところにめちゃくちゃ苦情が来てたと怒られた。大家に電話して、何があったかを説明して謝罪した。何で俺が…。と思いますよそりゃ。しかし、近所迷惑したのは確かだ。俺も迷惑だったんだけどなぁ。…ちくしょう。
酒癖悪い人には本当に気をつけましょう。俺も飲むときは他人に迷惑かけないようにしたい。
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