ゾンビ津波
―2021年公開 米 86分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「シャークネード」のアンソニー・C・フェランテ監督らスタッフ・キャストが再集結したパニックアクション。漁師のハンターたちの船を突如ゾンビが襲撃。続々とゾンビの姿が海に見え隠れする中巨大津波が発生し、波に乗って大量のゾンビが上陸しようとする。自然の驚異と死の恐怖が襲いかかり、島の平和を守るため決死の戦いに挑む漁師を、「シャークネード」シリーズのアイアン・ジーリングが演じる。特集『未体験ゾーンの映画たち2021』にて上映。(KINENOTE)
あらすじ:美しい孤島の静かな海で漁師のハンター(アイアン・ジーリング)とその仲間たちがいつものように漁をしていたところ、突如船がゾンビの襲撃を受けた。何とか逃げ切ったものの、海に続々とゾンビの姿が見え隠れし、平和だった島は恐怖に包まれる。愛する島を守るため立ち上がるハンターだったが、その矢先にビーチで巨大津波が発生。大量のゾンビがその津波に乗って上陸しようとする。(KINENOTE)
監督・脚本:アンソニー・C・フェランテ
出演:アイアン・ジーリング/エリック・チカシ・リンズビクラー/シェルトン・ジョリヴェット/チェリー・キャシディ/テイタム・チニキー/カーク・ショウ
ネタバレ感想
B級バカ作品
アマゾンプライムで見つけて鑑賞した。ふざけた邦題だなぁと思ってたら、原題も『ZOMBIE TIDAL WAVE』。となると、これはマジメにつくられたB級バカ映画ってことなんだなと予想し、見たら実際にその通りだった。後から調べると、監督やスタッフは『シャークネード』の人たちだってことがわかり、納得。
つまりこの作品は、数々のバカバカしいシーンに対してツッコミを入れて楽しむのが無難な鑑賞法であって、決してマジメに見るようなものではないのだ。いや、別にマジメに見てもいいんだけどさ。
ちなみに俺は、深夜に部屋を暗くして終始薄ら笑いを浮かべ、ときには内容に突っ込みを入れつつ、1人で鑑賞した。自慢できるような鑑賞スタイルではないが、40代の中年になった今、こうした映画を一緒に観てわいわい騒げるような友人はいないのである。10代の頃だって、わざわざ家で鑑賞会をするような友だちなんていなかったが(笑)。
ということで、最初から最後までツッコミどころが満載で、もう覚えてないシーンもあるし、すべてを網羅することはできぬが、印象に残ったところを幾つか書いておく。
津波の被害がなさすぎ(笑)
まず、作中の津波の威力がすごいのかすごくないのか、わからないところ。この作品はタイトルが表す通り、ゾンビ+津波が見せ所なのだ。津波にのってゾンビがワラワラと港町に押し寄せてくるのである。実際に、そういうシーンはある。CG丸出しでチャチな感じがするのは、笑いどころなので、スルーすべし。しかし、スルーしたくないことがある。
作品の冒頭で、どうやら地震が起こったらしいことがわかる。しかし、海辺や海上にいるんだったら、すぐに津波を警戒するべきなのに、登場人物たちは余裕こいて普段と変わらない営みをしてやがる。
その後、ゾンビを巻き込んだ津波が主人公らの住む町の海岸線に迫ってくるわけだが、ここは先に述べたように面白バカシーンだ。それはいい。ダメなのはその後だ。あれだけの津波が襲ってきたのに、みんなゾンビに襲われているだけで、あれだけ大きかった津波の被害がほとんど感じられないのである。町も健在だし。そんなわけねーだろ。
しかも作品中では、確か都合3回くらい津波がおそってきたような覚えがあるが、全部そんな感じだからね。ゾンビが脅威になってるだけで、津波がただの小波扱い。これはさすがにおかしい。
ゾンビはどっからきたの?
これら一連のシーンの中でおかしなことがもう一つ。地震で海底に裂け目ができたことにより、製薬会社の船が見つかり、それが原因でゾンビ騒ぎが始まる。後半のほうでネタバレがあるんだが、この製薬会社は老化防止薬の研究をしてて、裏ではそれを軍事利用してたことがあるんだけど、いろいろあって、その秘密を船もろとも海底に封印したらしい。
…それは別にいいんだけど、では、冒頭からワラワラ群がってきたゾンビって、どこからきたの? その船の中にいた死体なの? それにしては数が多すぎると思うんだが。よっぽどデカい船だったんかなぁ? たぶんそうなんだろうね…。だけどやっぱ、数が多すぎないかねぇ?
その後、町の人を襲って数が増えたのは良しとして、さすがに、第一波の波でやってくるゾンビの出所をきちんと説明しないで、まさに波の勢いとともに不問にし、鑑賞者の疑問をウォッシュしちゃうのはいかがなもんか。この2点については大きな疑問というか、描写がなさすぎるところがチョッとね…という感じ。
津波のようにではなく、ゾンビ津波
だが、もともとこの映画は単に津波のようにゾンビが押し寄せてくるさまを比喩ではなく本当に津波と一緒にゾンビが押し寄せてくるということをやりたかっただけの映画とも言えるので、その意気込みを買えばいいのであって、俺の上記のような突っ込みは野暮と言えば野暮なんだが。
その他のシーンにもこうした映画特有のバカシーンが盛りだくさんなんだが、憤りを感じるほどイラつかせるシーンなどがないことが、この作品が単なるバカ映画に留まっていないところなんである。本当にダメで酷い映画だと、笑えないし、イライラしちゃって怒りすら感じちゃうことってたくさんあるからね。
そういう意味でこの作品は、久しぶりに個人的にはヒットしたゾンビ作品だったかな。2度目の鑑賞はないけども、少なくとも2021年に観た新作ゾンビ作品の中では上位。例えば『新感染2』や『アーミー・オブ・ザ・デッド』なんかは、このブログに感想書く気にもならんほどにつまらなかったからね。まぁでも、ああいう金がかかった大作とこの作品を同じテイストのものとして比較するのはどうかとは思うんだけど(笑)。
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