女たち
―2021年公開 日 97分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「海辺の映画館 キネマの玉手箱」などを手掛ける奥山和由が製作総指揮を務め、女たちの生き様を見つめたドラマ。40歳手前の独身女性・美咲は、母の介護をしながら学童保育所で働いている。娘を否定し続ける母に、心の奥底で認めてもらいたいと願うが……。出演は、「罪の声」の篠原ゆき子、「あいあい傘」の倉科カナ、「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」の高畑淳子。監督は、「ふゆの獣」の内田伸輝。(KINENOTE)
あらすじ:自然豊かな山あいの田舎町。40歳を目前にした美咲(篠原ゆき子)は、母の介護をしながら、地域の学童保育所で働いている。東京の大学を卒業したものの就職氷河期世代で希望する仕事に就くことができず、恋愛も結婚もなにもかもがうまくいかず、いまだ独身だ。母・美津子(高畑淳子)は美咲を否定し続け、そんな母に反発しながらも自分を認めてもらいたいと心の奥底で願う美咲だったが、そこに介護という現実がのしかかってくる。お互いに逃げ出したくても逃げ出せない状況で、美咲が唯一心のよりどころにしていた親友・香織(倉科カナ)が突然命を絶つ。養蜂家として自立する香織は、美咲の憧れだった。そんな香織を失い、美咲の心もポキリと折れ、崩壊へと向かっていく……。(KINENOTE)
監督:内田伸輝
製作:奥山和由
出演:篠原ゆき子/倉科カナ/高畑淳子/サヘル・ローズ/筒井茄奈子/窪塚俊介
ネタバレ感想
特に注目をしていたわけではないんだが、いろいろあって、鑑賞することになった。コロナ禍で撮影した作品だし、物語の舞台も今現在なので、マスクをして会話をしてるシーンもあって、そういうのって結構新鮮ではある。今後も、こういう風に登場人物がマスクしてる作品って増えるのか。それとも虚構の中ではそれを取り入れずに物語を描くか、それは作り手によってスタンスが変わるんだろうね。
で、肝心の内容については、感情表現できない人の話というふうに思った。主な登場人物の女性で、けっこう感情を表に出しているのは、介護されている老人=美津子。あとは、サヘルローズ扮する介護師。それ以外の主要人物たる、主人公の美咲、自殺する香織、その妹らは、人と関わる中であまり自身の感情表現をしてないように見えた。
それが、香織の死をきっかけに美咲と香織の妹は変わっていくことになるわけだ。で、ラストの美咲と美津子とのバトルにつながっていくという。美咲と香織は心情を表に出さず、過去にどのような体験をして、現状どのような苦しみを抱えているのかをできるだけ説明を省いて描いている。んで、最期まで表に出さない香織は死を選び、美咲は感情を表に出すことで、何かを乗り越えるわけだ。
しかし、そこにさしたるカタルシスを感じられないのはなぜか。女性の話とはいえ、どの人物にも感情移入できないわけではないんだけど、なんだろうね。似たような作品をこれまでに鑑賞してきたからなんかもしれぬ。俺も就職氷河期だった頃の人間なので、美咲の心情とかはわからんでもないのだが。
あとは、窪塚の演じるクズ男。あんだけ近隣に住んでて不倫しちゃうとか、どういう神経なのかよくわからん。そんだけ欲望に忠実なブタ人間だからか、単なるバカなのか。しかし、そこが笑える。
ただ、役者の演技はけっこう凄いなと思って、篠原ゆり子が、けっこう冒頭のほうで倉科カナの前で感情を抑えながら心情を吐露しつつ泣くシーンとかは、役者だなぁと思わせる。あとは、高畑淳子の半身不随ぶりはマジでヤバい。スゴイ。
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