ボクたちはみんな大人になれなかった
―2021年制作 日 124分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:WEB連載中から話題を集めた燃え殻のデビュー作となる自伝的ベストセラー小説を映画化。バブル崩壊後の1990年代からコロナ禍の2020年まで、時代を彩ったカルチャーを交えつつ、テレビ業界の末端で働き続けた青年の恋と友情を抒情的なタッチで綴る。出演は「劇場版 『アンダードッグ』」二部作の森山未來、「タイトル、拒絶」の伊藤沙莉。阪本順治、犬童一心、林海象らの下で助監督を務めてきた森義仁の映画監督デビュー作。(KINENOTE)
あらすじ:1995年。ボク=佐藤誠(森山未來)は彼女=加藤かおり(伊藤沙莉)と出会い、生まれて初めて頑張りたいと思った。“君は大丈夫だよ。おもしろいもん”。初めて出来た彼女の言葉に支えられ、がむしゃらに働いた日々。1999年。“ノストラダムスの大予言”に反して、地球は滅亡せず、唯一の心の支えだった彼女はさよならも言わずに去っていった……。志した小説家にはなれず、ズルズルとテレビ業界の片隅で働き続けたボクにも、時間だけは等しく過ぎて行った。そして2020年。社会と折り合いをつけながら生きてきた46歳のボクは、いくつかのほろ苦い再会をきっかけに、二度と戻らない“あの頃”を思い出す……。(KINENOTE)
監督:森義仁
原作:燃え殻(『ボクたちはみんな大人になれなかった』(新潮文庫刊))
出演:森山未來/伊藤沙莉/東出昌大/SUMIRE/平岳大/高嶋政伸/ラサール石井/大島優子/萩原聖人
ネタバレ感想
懐かしい部分もあるし、街の無機質な変化を感じるが
主人公と自分の年代が近かったことに興味を惹かれて鑑賞。原作の小説があって、それがベストセラーになってたというのは知らなかった。
結論から言うと、遡って語られる90年代とか00年代の風景や使われる携帯電話などの道具に懐かしさは感じたものの、内容自体はとても退屈で、特に大きな共感も得られず、残念。
時代が現代に近づくにつれて、街が無機質にな印象をもたらすとこなんかは良いと思う。最後はオリンピックの旗が吊るされた、コロナ禍で誰もいない新宿(?)ってとこも示唆的。でもやっぱ、それ以外は「昔は良かったなぁ」と言ってるだけに見えちゃったなぁ。
未練タラタラな主人公
主人公が旧知の中だった男と再会して、それをきっかけに過去へどんどんと思い出が遡っていく構成。ラストでもう一度、現代に戻ってきて物語が終わりを迎えるというのは別にいいけども、その遡っていく過去を鑑賞してても、主人公の男が何を目指して何がしたくて生きているのか、俺にはよくわからんくて、ただ、過去の女性遍歴を振りかえって、ノスタルジックな思い&悔恨の情を吐露しているようにしか見えない。
それを意図した作品だったとしたら、かなり成功していると思う。ただ、俺はそういうものを観たいわけではないので、面白いと思えないもの仕方ない。別に、過去の恋愛遍歴を思い出すことが悪いわけじゃない。
俺だって、そういうことはよくあるからね。ただ、それを映像として他人に見せたいかと言ったら、そんなことは全くないし、そんなものを見せられても面白いと思わないのである。彼の姿やそれぞれの時代のカルチャーみたいなんを盛り込むことによって、訴えたい普遍的何かが込められていたのかもしれんが、俺にはそれを読み取ることはできんかった。
もちろん、中年に至る今も俺は独身なので、観ていて身につまされる部分はあった。特に主人公が大島優子演じる女性と結婚云々の話とかは。でもやっぱり、サブカルこじらせた男子がいつまでたっても自分自身で物事を考えずに流されて生きているようにしか見えなくて、その草食系な感じにゲンナリ。
最初の彼女が自分の目の前から消えてったのは仕方ないとして、その後もずっと未練を残すくらいだったら、何とかもう一回会おうと努力してみたりとかできないもんかね。
あっさりと別れを受け入れときながら、グダグダとその思い出を引きずるってどんだけ軟弱なんだよ。いや、そういう引きずり方は別にいいとしても、そんなものを作品にしてる自分大好き度がキモ過ぎる。
世の中の人間の80%がゴミ。残りはクズ
世の中の人間の80%がゴミ、残りがクズ。少しだけいい人もいるーーみたいな言葉が2回登場するが、それを言ってるお前らはどこに振り分けられてるんだよ、まさかいい人だと思ってるんじゃないだろうね。オリジナルを発言した彼(彼女か)は、確かにいい人ではあったけど。人間なんてみんな等しくゴミ、と言ってくれたほうが清々しい。
原作がけっこう人気があったらしいので、世の中にはこういう話を求めてる人が多いというのであれば、俺の考えのほうがマイノリティなのか。まぁでも、上記のような受け取り方しかできなかったんだから仕方ない。
この作品はネットフリックスで鑑賞できます。
コメント