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映画 無頼 ネタバレ感想 井筒監督の久しぶりの作品だが…

無頼
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無頼

戦後の日本。少年の頃から頼る者がいなかったため、アウトローに生きることを選ばざるをえなかった男が、昭和から平成へと続く日本社会の中でどのように生き抜いたかを描いた作品。場面が目まぐるしく変わっていくので状況を把握しづらく、なんだかよくわからんうちに劇終を迎える残念作品。ネタバレあり。

―2020年公開 日 146分―

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解説とあらすじ・スタッフとキャスト

解説:井筒和幸監督が「黄金を抱いて翔べ」以来8年ぶりにメガホンを取り、戦後日本を背景に、世間の外側を生き抜いてきたヤクザ者らを活写した群像劇。社会の片隅で己の掟に従い生きてきた無頼の徒。やがて彼は同じ境遇の者たちを束ね、裏社会を駆け上がっていく。2015年末にEXILEのパフォーマーを卒業、「影に抱かれて眠れ」など俳優としての活動を重ねる松本利夫が主役のアウトサイダーを、「純平、考え直せ」でヒロインを務めた柳ゆり菜が妻・佳奈を演じる。(KINENOTE)

あらすじ:太平洋戦争に敗れ、日本は貧困と無秩序に見舞われるが、焼け跡から立ち上がった大衆は高度経済成長のもとで所得倍増を追っていった。欲望のままに生きるがバブルが崩壊、昭和が去ると共にその勢いは止まった。理想の時代から、夢の時代、そして虚構の時代と、激しく移り行く戦後日本。誰もが豊かさを欲する中、社会の片隅で何にも怯むことなく、たった一人で飢えや汚辱と闘い、世間のまなざしに抗い続けた無頼の徒がいた。やがて男は一家を構え、はみだし者たちを束ねて、命懸けの裏社会を生き抜いていく……。(KINENOTE)

監督:井筒和幸
出演:松本利夫/柳ゆり菜/中村達也/ラサール石井/小木茂光/木下ほうか/升毅

ネタバレ感想

久しぶりの井筒和幸監督作品

井筒和幸監督が久しぶりに撮った作品ってことで、公開前から気にはなっていたんだが、上映館が少なかったこともあって劇場では鑑賞できず。ようやくレンタルで鑑賞した。

一時期はテレビ番組とかにもよく出演してて、日本ではそれなりに名が知れた監督なのに、最近はあまりその活動が耳に入ってこない人になった。

こうして新作を世に出してもほとんど話題にもならなかったのは、どういうことか。みんな井筒監督の存在を忘れてしまったのだろうか。

その辺は単に俺が彼の動きをキャッチできるような媒体に触れてなかっただけなのかも知らんのでいいとして、ではその期待した新作がどうだったのかというと、なんとも残念な内容。

昭和を生きた人たちの熱量

何となく作品としてやりたいことはわからんでもない。一人の男がいろいろな社会の動き、そして周囲の人物たちの動きに翻弄されながら浮き沈みを繰り返し、その中で立身出世をして生き残っていき、さらには時代の流れのなかで引退を選んでいく様を描くことで、昭和を生きた人間たちの生命的な熱量を描写したーーという感じ。

個人的には任侠映画的な展開を期待していたが、昭和から平成の歴史を描いたような感じなのは、それはそれでよかった。俺も少年時代を生きた80年代の昭和の風景が出てくるのは観ていて楽しかったし、今ほどにはさまざまな事に関して不寛容ではなかった当時のおおらかさや、何でもあり感な生活環境は懐かしさもあっていい。そして、そこで生きる人たちのパワーみたいなんも感じられる。

出来事が一枚の写真のようでつながりがない

だけど、その時代の流れがものすごい勢いで進むために、主人公の正治の歩みもそれに伴ってスピーディに展開していくので、彼が彼の人生の節目ごとにどのような思いで、どのような選択をしてその時代の流れを乗り切っていったのかを推し量ることができない。少なくとも俺はそうだった。要するに、彼の人生に起こった出来事をアルバムのように見せているだけで、そのアルバムの中にある一枚一枚の写真の説明がほとんどないのである。

であるから、彼がどのようにして裏社会でそれなりの地位を得ていったのかがわかりづらい。例えば、暴対法が施行されて以降もそれなりに正治の組織は力を持ってそうなんだけども、どうやってそれを可能にしているのかとかがわからないから、物語に入り込めないのだ。

正治の周辺の人物たちの動きも群像劇的に描かれるんだけども、これもまた、その人物たちがどういう意図でそのような選択をしているのかが、読み取れない。ただ、時代が過ぎていくだけ。その節目で彼・彼女らの行動が描かれるが、それが一枚の写真にしかなってなくて、映像として次のエピソードにつながっていかないのである。

要所で正治が漢気を見せたり、何らかの覚悟を見せる場面はある。あるんだけども、それはその場で少しの印象を残すだけで、それが物語全体で有機的につながっているようには見えない。

なんでこういう映画にしたかったのか

なんでこういう映画にしたのか、監督の意図はわからんが、個人的にはせっかく魅力がありそうな主人公であるし、取り巻きの人間たちも一癖も二癖もありそうな輩がたくさんいたので、この内容をドラマ化してもう少し長尺にして、登場人物たちの生きている時代背景やその人となり、関係性を丁寧に描写するような作品にしてれば、もっと楽しめたんじゃないかと思えて、残念。

まぁ確かに、裏社会の男の生きざまを描いたドラマに需要があるようには思えないんだが、監督の意図がようわからん映画であった。

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