アンダーウォーター
―2020年公開 米 95分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:『アンダーウォーター』(原題: Underwater)は2020年に公開されたアメリカ合衆国のスリラー映画である。監督はウィリアム・ユーバンク、主演はクリステン・スチュワートが務めた。本作は日本国内で劇場公開されなかったが、2020年9月2日にiTunesでの配信が始まった[3]。また、20世紀スタジオ・インターナショナルの公式サイトは、同年8月6日に閉鎖したため、日本における20世紀フォックス作品として、ウォルト・ディズニー・ジャパンによるブエナ・ビスタ・インターナショナルのレーベルで担当するのは、本作のみとなる。なお、本作をアメリカで配給を担当した20世紀フォックスは2020年1月17日に社名を20世紀スタジオに変更した。そのため、本作が20世紀フォックス名義で配給を担当した最後の映画作品となった。(wikipedia)
あらすじ:ノラ・プライスたちは海面下7マイル(約11265m)にある施設で研究・調査を行っていた。そんなある日、大地震が発生し、施設が致命的な損傷を受けてしまった。救助が来るまで酸素が持たない可能性が高かったため、ノラたちは潜水服を着て近くにある施設まで向かうことにした。ところが、ノラたちは別の危機に直面することになった。地震をきっかけに、海底に潜んでいた未知の生命体が覚醒してしまい、ノラたちに襲いかかったのである。 (wikipedia)
監督:ウィリアム・ユーバンク
主演: クリステン・スチュワート /ヴァンサン・カッセル /T・J・ミラー/ジェシカ・ヘンウィック/ジョン・ギャラガー・Jr /ママドゥ・アティエ – ロドリゴ/ガンナー・ライト
ネタバレ感想
最近では珍しい海洋モンスターパニック。この手の映画と言えば、昔懐かしい『リヴァイアサン』や『ザ・デプス』が思い出される。類似してる感じはこの2作だな。あとは深海ものと言えば、『アビス』とか『スフィア』なんてのもあったなぁ。でも、最近だと、深海でのモンスターパニック作品ってあんまり思いつかない。宇宙を舞台にした作品だと『ライフ』なんかがあったけど。
そういう意味では、今作はやっぱり、上記の作品みたいなテイストを期待しちゃうんであって、それについては結構、期待に応えてくれていた。そうやって考えてみると、こういう深海ものってそれなりの水準だなって思う。てなことで、『ザデプス』は内容をよく覚えてないので、『リヴァイアサン』と比較してみると、今作は物語が動き出すのが滅茶苦茶早い。
例えば『リヴァイアサン』は深海ものの『エイリアン』みたいな内容なので、化け物と出会う前に、基地内での仕事の様子や、そこで働く人々の人となりがそれなりに描かれる。対してこの作品では、主人公のノラが登場する冒頭で、すぐに地震が発生し、石油採掘基地のケプラーの7割が崩壊状態になってまう。で、300人くらいいる従業員の多くが犠牲になっていて、その中で生き残ったノラや、ヴァンサンカッセルが扮するキャップ、その他、男3人と女1人、計6人が、ケプラーを脱出して、近くの別の採掘施設に避難をすることになるのだ。
ただでさえ深海1万メートルという危険な環境を耐圧スーツみたいなの着て進まなきゃいかんのに、そこに未知の深海生物が襲ってきて、一人ひとり命を落としていくというーー。この展開が完全に『リヴァイアサン』と一緒。少し違うのは、この作品では一つの基地内ではなく、海底を移動したり、別施設へ移動するための通路を移動したり、要するに舞台が限定されていないというところだ。
あと、当然だが、モンスターも全然別物が出てくる。笑っちゃうのが、このモンスターが人型なのだ。人間に形が似ている。なんか、2chかなんかが生み出したUMAにヒトガタとかいうのがいて、それに似てるのである。
一匹ずつは人間とサイズは変わらない。ところが、深海生物であるから、自在に水中を動けるのであって、しかも殺傷能力もそこそこ高いし、人を丸のみしちゃう吸引力もある。しかも、こいつらがウヨウヨ海中にいて、さらにはこの個体が合体したのかそれともそうではないのかよくわからなかったけども、メチャクチャでかい奴が一体いるのである。
で、ノラたちはこのモンスターから逃れつつ、脱出ポッドが生きているであろう別の施設に逃れようとジタバタ頑張る。そして、そのアレヨアレヨの展開の中で、それぞれの人物の背景などを描写しているので、それぞれの行動原理みたいなんもそれなりに分かってくるので、感情移入ができなくもない。
要するに非常に親切で見やすい物語展開で、しかも冒頭からほぼノンストップでサクサクとラストへ突き進んでいくのはこの作品のいいところだ。
だが、もちろんツッコミどころも多々ある。まず、画面が暗くてモンスターがどういう襲い方してきてるのか、よくわからない。さらに、展開がベタベタすぎるとも言えるので、中盤くらいまでの犠牲者はすべて予想の範囲内で、驚きがない。死ぬだろう展開でそのまま死んでしまうからだ。特にポールの死に方はどうあったってフラグ立てすぎてて、むしろ笑わせたかったんじゃないかと勘繰ってしまうくらいだ。その後、キャップが死んでまうのも、予想通り。
ラストの展開は、ノラが悲観的人間であるというところが伏線なのかもしれないし、そもそも彼女には生きる希望があまりなかったということもあるので、あの選択になるんだろう。それは良いとして、彼女たちが逃れてきたあの基地、なぜケプラーのように損傷してないのだろうか。あと、従業員どこ行ったの? みんな死んだの? 何で無人なのか意味がわからん。休業中だったのか、すでに使われていない施設だったのか、それともみんな、先に脱出してた? その辺の説明、あったけっけ? あったんなら俺が見逃しただけなんだろうけど、あの施設が無人なことが気になって仕方なかった。
なんか、興行的にはだいぶコケたみたいだし、日本では劇場公開すらされなかったみたいだけど、類似作品を思わせるある種のノスタルジィもあるし、けっこう楽しかったな。もちろん傑作とは言えないけど。
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