ザ・デプス
―1989年公開 米 99分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:近未来の深海を舞台に、正体不明のクリーチャーとの戦いを描く。製作・監督は「スプリング・ブレイク」のショーン・S・カニンガム、共同製作はパトリック・マーキー、脚本はルイス・アバナシーとジェフ・ミラー、撮影はマック・アールバーグ、音楽はハリー・マンフレディーニが担当。出演はナンシー・エヴァハード、グレッグ・エヴィガン。(KINENOTE)
あらすじ:豊富な資源と戦略上の機密性から海面下1万メートルに設営されたアメリカ海軍の深海秘密基地ディープ・スター・シックス。ここは、シャドー・ゾーンと呼ばれる未知の領域の研究を進める最前線基地で、ミサイル基地の併設を条件に海軍の全面協力を得ていた。しかし予想をはるかに上回る困難に、6カ月もの間基地に閉塞されたスタッフは次第に苛立ちが目立ち始め、海軍も不信感を募らせていた。そしてミサイル基地予定地に仕掛けられた爆雷によって発見された、深海底に深く口を開ける洞窟探査を開始したジョイス・コリンズ博士(ナンシー・エヴァハード)らスタッフは、その直後何者かに激しい攻撃をうけ、死者を含む被害をうける。その後ジョイスは、恋人ケヴィン・マクブーライド(グレッグ・エヴィガン)の救出によって一命をとりとめるが、その際艦長レイドロー(トーリン・ブラック)が命を落とし、やがてディープ・スター・シックスに襲いかかる正体不明のクリーチャーにスタッフは1人また1人と殺されてゆく。ついに基地に残されたのはコリンズとマクブライドの2人になり、命からがら深海から脱出した2人に、その直後またもクリーチャーが襲いかかる。そしてマクブライドは油をまき、クリーチャーを焼くのだった。(KINENOTE)
監督:ショーン・S・カニンガム
出演:ナンシー・エヴァハード/グレッグ・エヴィガン/ニア・ピープルス/ミゲル・フェラー
ネタバレ感想
たぶん、地上波の日曜洋画劇場とか深夜放送なんかで何度か鑑賞したことのある、懐かしい深海モンスターパニック。深海でモンスターに襲われる話ってのは最近でも細々とつくられてるみたいだけど、やっぱこの作品と、同時期に公開された『リバイアサン』が印象に残ってる。
あと、海底を舞台にした作品だと『アビス』とか『スフィア』なんかもあったな。前者はジェームズキャメロン監督作だし、けっこう有名だと思う。後者はダスティンホフマンにシャロンストーンにサミュエルLジャクソンらキャストがけっこう豪華。
という余談はこの辺にして作品の話へ。
80年代の作品ってこともあり、CGではない描写がチープに感じるものの、話の展開はスピーディだし、なかなかに楽しめる。もちろん突っ込みどころもたくさんあって、特にミゲルフェラー演じるスナイダーのやることなすことに、突っ込みたい部分があるんだが、それらも含めてやっぱり楽しめるのは、おそらく10代の若い頃に鑑賞した思いで補正も手伝っているだろう。
しかしまぁ、ミゲルフェラーって役者は『ロボコップ』でもしょうもない死に方をする役を演じてたような。この作品ではそのしょうもなさが際立つダメ人間ぶり。どうしてなのかよくわからんが、冒頭から他のクルーたちとギクシャクしてるような感じで、こいつに重大な仕事を任せるクルーのほうがおかしいんじゃないかと思っちゃうくらい。
物語の舞台となる深海施設は海軍のミサイル基地としての役割を持ってて、クルーがいろいろあって、海上に脱出を図る際に、「ミサイルを安定させる(それがどういうことなのかはよくわからん)」必要があるらしく、その任務をスナイダーが負うのである。
どうやらこの仕事、「手順通りにやればいい」ようなので、誰でもできると思うんだが、なぜかクルーは、その役割をあまり信頼してないスナイダーに任せるのだ。彼はコンピュータ担当か何かなんだろうか。よくわからない。
そして、スナイダーは手順通りにやったはずなのに、ミサイルを爆発させてまう。なぜなのか。彼にしかできない仕事なら任せるのはわかるけど、手順通りにやればいい仕事なんだよ? とはいえ超がつくほどの重要な仕事なのに、なんでスナイダーに任せたんだろうか。
んで、海底でミサイルが爆発。字幕によると、その威力は20ギガトンらしい。それって、広島どころじゃない爆発力では? この施設がどのくらいの敷地面積あるかは不明だが、その規模の爆発で蒸発しちゃわない施設の耐久力がなかなか信じがたい。
ともかく、クルーはこの失策をスナイダーのせいにしたいという空気が満々。確かにそうなのだが、少し彼が気の毒でもある。この一件からスナイダーは死の恐怖でテンパりはじめて、クルーの一人を過失で殺しちゃうわ、恐怖でチビりそうになって頭が逝っちゃって、泣きだしちゃって女医さんに慰めてもらってたと思いきや、減圧してない脱出装置に一人で乗り込んで、クルーを置き去りにしたうえ、自分は破裂して天国に召されるという離れ業をやってくれる。最高のアホっぷり。
この作品はモンスター映画であるが、クルーの死の要因の多くはこのスナイダー氏がつくっているのだ。
では肝心のモンスターはどうかというと、なかなか姿を現してくれない。たぶん、ラストの三十分くらいでようやくそのご尊顔を拝める。で、そいつがカニというか、甲殻類みたいなのの化け物なの。そして、予想したよりもかなり小型。
だって、最初の犠牲者となった、海底の空洞を調べてた二人は、探査機ごと襲われてるわけだし、巨大な何か、みたいなこと言ってたのに、普通に施設の中に入ってこれちゃうサイズってのが拍子抜けすぎる。まぁでも、それなりに殺傷能力はありそうで、クルーの何名かはこいつに殺られちまうのだが。
そんなわけで、モンスターとスナイダーの攻撃により、あれよあれよと言う間にクルーが犠牲になっていき、残るは恋人同士な男女だけ。これまではけっこうみんな、あっさりと殺されちゃっていくのに、相打ち覚悟でモンスターに挑んだ主人公は、恋人と一緒に生き残っちゃうというのは、ご都合主義っぽいし、理不尽な感もある。
まぁでも、懐かしさもあって、今鑑賞しても楽しめる。『リバイアサン』のほうが好きなんだけど。
コメント