トランセンデンス
人工知能が人間の能力を超越していこうとする恐怖を描いたSF作品。突っ込みどころ満載で、それに目をつむって観たとしても、ストーリーとしてはさほど面白味がない内容。だが、題材自体は興味深いし、それについて考えるぶんには楽しめる。あと、キャストが豪華。ネタバレあり。
―2014年公開 米 119分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「ダークナイト」のクリストファー・ノーランが製作総指揮を務め、同監督作品で撮影を手掛けてきたウォーリー・フィスターが初メガホンをとるSFサスペンス。究極の人工知能を研究する科学者の頭脳が死の間際にコンピューターにインストールされ、世界を混乱に陥れていく。出演は「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのジョニー・デップ、「インビクタス 負けざる者たち」のモーガン・フリーマン、「それでも恋するバルセロナ」のレベッカ・ホール。(KINENOTE)
あらすじ:人工知能が人間の知性を超える現象“トランセンデンス”を開発研究する科学者ウィル(ジョニー・デップ)は、ある日、反テクノロジーの過激派組織の凶弾に倒れてしまう。死の間際に、妻エヴリン(レベッカ・ホール)は彼の頭脳をスーパーコンピューターへインストール、それは自我を持った超頭脳の誕生であった。ウィルの意識はコンピューターの中で生かされ、ネットワークの力により軍事機密、金融、政治から個人情報まで地球上のすべての情報を手に入れることになる。やがて、超高速処理能力で化学反応を引き起こしながら、人類の想像を遥かに超える進化をし始めるのだった……。(KINENOTE)
監督:ウォーリー・フィスター
出演:ジョニー・デップ/モーガン・フリーマン/レベッカ・ホール/ケイト・マーラ/キリアン・マーフィ/ポール・ベタニー
ネタバレ感想
題材的にはすごく面白い。技術的特異点を迎えたAIがどんな存在になっていくのかということについて、示唆的だ。この作品で描かれるように、AIが人間の意識をもコントロールできるようになって、一つが全体の存在になっていくというのは現実にも起こりそうなことだし、似たようなことを描いたSF作品もけっこうあって、このブログでも何作か紹介している(記事末参照)。『エヴァンゲリオン(最初のやつ)』の「人類補完計画」で起こることも、ある意味では似たようなものだ。
この作品のもう一つの面白い題材は、AIには自我があるかということ。作中では自我があるか証明できるかを問われたAIが、問うてきた本人に「君自身も証明できるか?」と問い返すシーンがある。これはAIになったジョニーデップ(ウィル)が人間時代から使っていたセリフ。でも、これって本当にそうなのよね。人間にだって、自我があることは証明できないんである。その点では、この作品のAI的な存在と人間に、大した変わりはないのだ。
その辺の内容についてもう少し掘り下げた内容だったら、俺好みの展開が期待できたと思うんだけども、今作ではどっちかというと、テーマが夫婦間、異性間の愛情物語みたいな部分に重きが置かれてて、そこが興醒め。それが一番わかりやすいだろうし、万人受けするんだろうけど。
ともかく、ウィルの奥さんのキャラがあんまり好感持てない。ていうか、単純にムカつく奴だ。テメェ勝手な理屈で旦那をAIにしておきながら、あとからブルってきちゃうという。本当にその分野の科学者なら、AIがそのうち人間を監視・管理し始めることなんて想像できんだろ。
出演者はけっこう豪華だ。しかし、ジョニーデップは昔ほどの輝きがなくなったように感じる。『ギルバートグレイプ』『ナインスゲート』『フロムヘル』『スリーピーホロウ』…その他いろいろ、演技の一挙手一投足がイカしてたんだけどなぁ。大した作品でなくても(大した作品も当然ある)、彼が演じていることに魅力がある作品がいっぱいあったんだが。上記したものになどは、いずれ紹介したいな。本当にカッコいいから。
コメント