東京ノワール(2018)
―2018年公開 日 82分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:東京の裏社会を舞台に、引退を決意したヤクザが運命に翻弄される様を描く。裏社会からの引退を決めたヤクザの鳴海だったが、拳銃密売の取引中に拳銃が暴発。相手組織に潜入していた警官が死亡する。裏社会と警察から追われる身となった鳴海の運命は……。出演は「チェイン/CHAIN」の井上幸太郎、「カイジ 人生逆転ゲーム」の両國宏、「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の大鷹明良。監督は『狂犬』のヤマシタマサ。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018オフシアター・コンペディション部門出品作。(KINENOTE)
あらすじ:東京の裏社会で生きてきた小さなヤクザ組織、金本組の若頭・鳴海。彼は相棒の一周忌を目前に、裏社会からの引退を決意する。だが、最後の仕事と決めていた拳銃密売の取引で銃が暴発。仲間の島袋が相手組員を射殺してしまう。しかも、死亡した組員は潜入捜査官だった事が判明。鳴海は裏社会だけでなく、警察からも追われる羽目に。刻一刻と過ぎていく運命の24時間。運命は残酷にも息子たちの青春すら踏みにじり、新たな悲劇を巻き起こすのか……。(KINENOTE)
監督・脚本:ヤマシタマサ
出演:井上幸太郎/寺田農
ネタバレ感想
アマゾンプライムで見つけて、バイオレンス映画とかヤクザ者たちの作品はけっこう好きなので鑑賞してみた。役者さんたちは知らない人たちばっかり。寺田農氏をかろうじて知ってるくらい。ただ、鑑賞中は彼だということに気付けず、ブログを書くにあたって周辺情報を調べていた際に出演を知った始末。
てなことで、ヤクザ、警察、若者が何人か出てくるんだけども、知らない役者さんが多いせいか、見分けがつきづらいうえ、時系列をいじくった描写をしているので、内容を飲み込むのが面倒くさい作品だ。そして、その時系列いじりがさほど大きな効果をもたらしていないように感じてしまった。
物語はヤクザ稼業から足を洗おうと奔走する鳴海という男を軸に展開し、彼の弟分だったヤクザや、潜入捜査官や、情報屋兼警官みたいなチンピラや、鳴海の息子や彼の弟分の娘らが絡んでくる話になっている。
見ようによっては鳴海、その弟分、チンピラ、鳴海の息子と弟分の娘たちの群像劇に見えなくもない。ただ、いろいろな人の背景を描いてはいるものの、その絡み合う人間関係に重層的な深みが感じられず、淡々と描写が続いている印象しか受けない。小説で言うなら、行間が感じられないというところか。
鳴海がヤクザから足を洗うために落とし前が必要となり、エンコつめるドーグがカッターナイフで、最終的には自分で噛みちぎっちゃうシーンは『アウトレイジ』のオマージュかな? その後、あろうことか鳴海はその指をいろいろあって怒りに任せて飲み込んでみせるんだが、さすがにあれには笑った。
全体的に、鳴海に関する描写はハードボイルドチックな部分もあるものの、前述のように人間描写に重みがなく、物語にもドラマ性が感じられないところがもったいない作品。あまり登場人物を出さずに時系列も錯綜させずに、鳴海という男の生きざまをもっとクローズアップしてくれたほうが、展開としてはベタかもしれないけど、カッコいい男の映画になったんじゃないなと思った。
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