陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル
解説:ニューヨークのクイーンズを舞台に、過去にもみ消された事件の暴露と共に、腐敗した権力機構があぶり出されていく過程を描く驚がくのクライム・サスペンス。殺人の罪を闇に葬った過去を持つ主人公の若い警官を、『G.I.ジョー』のチャニング・テイタムが演じるほか、アル・パチーノやジュリエット・ビノシュ、ケイティ・ホームズなど豪華キャストが出演。メガホンを取るのは、ミュージシャンや画家としても活動するディート・モンティエル。人間の闇と権力の内幕に迫る衝撃の展開から目が離せない。(シネマトゥデイ)
あらすじ:2002年、ニューヨーク。ニューヨーク市警のジョナサン(チャニング・テイタム)はクイーンズ区に配属される。少年のころ、ジョナサンは生まれ育ったこの街で誤って人を殺し、事件を隠ぺいした過去を持っていた。しかし、ジョナサンの過去をほのめかす脅迫状が届き始め、新聞には事件の隠ぺいを暴く記事が掲載されてしまい……。(シネマトゥデイ)
以下、ネタバレしてます!
主人公が何もしない作品
鑑賞後、最初の感想は「この主人公、何もしてないじゃん」であった。いや、いろいろと葛藤したり行動したりしてるんだけど、能動的という感じではないような…。彼の過去にあったことは同情したくなるものの、最初から隠さなければこういう結末には当然ならないし、隠したいにしても奥さんに対してあの態度では、不信感持たれても仕方ないわな。
手紙の主が誰なのか、過去、親友だったヴィニーと決めつけて他の可能性を探ろうとしないのも間抜け。上司に命令されて、送られてきた手紙を記事にしてる新聞社の記者にも会ってるんだから、「何かあったら俺に連絡してくれ」だけじゃダメだろ。記者を通じて手紙の主を調べるとか、やれることはたくさんあると思うんだが。
主人公がまるで成長しない作品
でも、何もしないの、この人。ウジウジしてて何もしない。家族が大切で平穏な毎日を壊したくないなら、自分の過去が明るみに出ないように努力することもできると思うんだがねぇ。
なんというか、中途半端でどっちつかず。どうせ罪を犯してるんだから開き直って、糞警官どもと一蓮托生っていう道もなくはない。良心の呵責があるのはわかる。でも、けっきょく何がしたいんかよくわからなくて、すごいイライラするんですな、この主人公には。
主人公がほぼ受身で周囲の動きに流されるままな映画って、けっこう珍しいような気もする。少しは自分で考えて頑張ってくれないと、感情移入しづらいからねぇ。ラストのほうではまぁ、少しだけ行動するんだけど、もう遅い。なんかあの最後も酷いなって思った。お前は家族のところに戻ればいいんだろうがね。
主人公の言動が、ある意味リアルな作品
そういう意味ではリアルっていうか、人のこと言えないけど、思い切った行動ができずに受身になってまう人間ってのは、けっこういますよね。しかしこの主人公、奥さんとの仲は、大丈夫なんだろうか。「愛してる」って言えば何でも解決すると思っているんじゃないだろうね。
親友が悲惨すぎる作品
子ども時代が悲惨だし、あの環境が後の人格形成に影響しただろうことは想像に難くないが、ヴィニーのほうはもっと悲惨で、それこそ「Life’s a Bitch」みたいな生涯なのに、最後は事件の犯人扱いですよ。それで、俺関係ないもんね、という逃げ方。酷い。しかも、手紙の真の送り主。これがまた酷い。どんでん返しのつもりなんだろうか。どん引きしました。あとから主人公宛に手紙を出して意図を述べられても…。
豪華キャスト、無駄使いな作品
出演者は豪華だよね。アル・パチーノは年食ってもカッコイイし、レイ・リオッタは相変わらずあの、人間味を感じない青い瞳(笑)。ジュリエット・ビノシュはあんなにあっさり描写で殺されちゃう役でよかったんだろうか。
物語として中途半端な作品
映画作品には必ず何らかの意味がなければいけないとか、何が言いたいのかを確実に示せとは思わない。でも、この映画は何が言いたいんだろうか(笑)。警察組織と、権力をほしがる、もしくは守ろうとするその内部の人間を風刺したいんだろうというのは何となく感じたが。
確かに誰もが糞みたいな問題抱えて生きていますわな
パチーノ扮する刑事が「生きるしかない。糞みたいな問題を抱えながら」と言ってたと思うが、それはわかる。死を選ばない限りどんな境遇でも生きるしかない。生きたい。つまり、物事の善悪とかを振り切ってでも、生きるしかない人間全体を皮肉っているのだろうか。だとしたら、ものすごい深みを持った作品であるなぁ…。そこまで考えてつくられたとは思えないが。『沈黙の陰謀』ほど沈黙はしなかったから、まぁいいか。
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