トゥルーマン・ショー
―1998年公開 米 103分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:ある男の生涯が、テレビの人気連続ドラマとして24時間ノンストップ生中継されていた……という異色作。監督は「刑事ジョン・ブック 目撃者」「フィアレス」のピーター・ウィアー。脚本は「ガタカ」(脚本・監督)のアンドリュー・ニコル。製作はニコル、「白い嵐」のスコット・ルーディン、「ジャングル・ブック」のエドワード・S・フェルドマン、「ファースト・ワイフ・クラブ」のアダム・シュローダー。撮影は「ダメージ」のピーター・ビジウ。美術は「バグジー」のデニス・ガスナー。出演は「ライアーライアー」のジム・キャリー、「目撃」のエド・ハリス、「コンゴ」のローラ・リニー、「サバイビング・ピカソ」のナターシャ・マケルホーン、「コップランド」のノア・エメリッヒほか。98年キネマ旬報ベスト・テン第3位。(KINENOTE)
あらすじ:周りを海で囲まれた平和な離れ小島の町シーヘブン。保険のセールスマン、トゥルーマン・バーバンク(ジム・キャリー)は看護婦でしっかり者の妻メリル(ローラ・リニー)や親友のマーロン(ノア・エメリッヒ)とともに平凡な毎日を送っている。ボート事故で父親を亡くした彼は水恐怖症で島から出たことはなかったが、大学時代に出会った忘れられない女性、ローレン(ナターシャ・マケルホーン)に会うためフィジー島へ行くというささやかな夢があった。ある日、トゥルーマンは、いつもと違う行動を取るとまわりの様子が落ち着かなくなることを発見。不安と疑問がつのり、妻のメリルに怒りをぶつけた末、メリルは家を出て行ってしまう。トゥルーマンは意を決し、地下室で寝ているふりをして海にボートで漕ぎ出して行く。実はトゥルーマンの家族や同僚は俳優で、住む島全体がロケセット、通行人はエキストラという、虚構の世界に生きており、生涯のすべてをテレビ放送されていたのだ。ディレクターの指示で彼の人生はコントロールされてきた。ディレクターのクリストフ(エド・ハリス)と会話を交わし、本当の人生を歩みたいを訴えるトゥルーマン。だが、虚構の世界へ戻るよう説得するクリストフは、装置を使って嵐を起こす。荒れ狂う波をくぐりぬけた果てに、トゥルーマンは虚構の世界=ロケセットの終端部にたどり着く。そこには外への出口があった。クリストフの呼びかけを無視し、トゥルーマンは出口から出て行く。そしてテレビでその一部始終を見ていた観客たちはトゥルーマンの勇気に拍手を送るのだった。(KINENOTE)
監督:ピーター・ウェアー
脚本:アンドリュー・ニコル
出演:ジム・キャリー/ローラ・リニー/ノア・エメリッチ/ナターシャ・マケルホーン/エド・ハリス
ネタバレ感想
こないだ『ケーブルガイ』を鑑賞して、別に面白くなかったんだけども、ジムキャリーってすげぇんだなと今さら知ったので今作も鑑賞してみた。そしたら『ケーブルガイ』ほどのインパクトある演技ではなかったものの、作品自体はなかなか楽しめた。
主人公がテレビショーの主人公として24時間監視されていることに気付き、まやかしの世界からの脱出を図ろうとする物語。この設定の奇抜さがこの作品の醍醐味であり、その内容は寒気のする恐ろしさがある。
単なるコメディとして観ると、別に笑いどころなんてほとんどない。個人的にはトゥルーマンが奥さんの病院を訪れたときに見る手術のシーン。あそこはなかなか笑えたけど、それ以外に特に笑えるシーンはなかった。
どっちかというとこれって、恐怖映画であり、ある意味ではディストピア映画だと思った。ディストピアに生かされているのはトゥルーマンと箱庭で演技している人たちだけなんだけど。
人の生活を24時間テレビで流し続ける番組とか、趣味悪すぎ。かなりの人気番組ってのはわかる。そら観たくもなるわな、人の生活。視聴者たちは主人公のトゥルーマンに感情移入して、応援する気持ちになる。それはクリストフの仕掛けた脚本による演出なんだけども、それにまんまとハマっているのだ。だから、トゥルーマン個人の人権とかそんなことには無関心。視聴者たちは、トゥルーマンの言動を見守り、自分たちが一喜一憂することに満足している。
トゥルーマンショーの登場人物は、トゥルーマン以外は台本通りに動く役者たちなわけだが、いくらサラリーもらえるからって、あんな箱庭の中で何十年も暮らすとか可能なんだろうか。あんなブラックな仕事はなかなかないと思うぞ。しかも、金をもらえたってあの箱庭の中でしか生きられないじゃんか。
トゥルーマンが何歳かはわからんけども、とうぜん20歳は超えている年齢のはず。しかし、彼があの町から出たことがないーーという設定もけっこう無理があるように感じた。
とか腐してはいるものの、大衆の悪趣味さと、それを操る演出家の関係なんて、けっこう現実世界になぞらえてもリアルな感じもあって、なかなか一筋縄ではいかない作品だ。
トゥルーマンはラスト、見守れらていた世界からリアルな世界に足を踏み出していくわけだが、そこで待ち受けているのは過酷な日常であると思われる。なぜなら、箱庭の中なら彼は安全だからだ。
結末以降の彼は、ローレンと再会を果たすだろうが、見も知らぬたくさんの他人から「あのトゥルーマンだ!」と声を掛けられ続ける人生が待っているだろう。嫌だね。
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