セールスマン
他作品も含め、かなり評価の高い監督らしい。イラン社会での社会的性差のような問題を感じるなかなかハードな内容であった。ネタバレなし。
―2017年公開 斯=仏 124分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:「別離」に続き、本作で2度目のアカデミー外国語映画賞を受賞、第69回カンヌ国際映画祭でも脚本賞と主演男優賞を受賞したアスガー・ファルハディ監督作。小さな劇団で俳優として活動する夫婦。ある日、妻が自宅で何者かに襲われ、夫は独自に犯人捜しを始める。出演は「別離」のシャハブ・ホセイニ、「彼女が消えた浜辺」のタラネ・アリドゥスティ。(KINENOTE)
あらすじ:教師のエマッド(シャハブ・ホセイニ)は妻ラナ(タラネ・アリドゥスティ)とともに小さな劇団に所属し、上演を間近に控えたアーサー・ミラー原作の舞台『セールスマンの死』の稽古に忙しい。そんななか、思いがけないことで住む家を失った夫婦は劇団仲間が紹介してくれたアパートに移り住むことに。慌ただしく引っ越し作業を終え、『セールスマンの死』の初日を迎えた夜。ひと足早く劇場から帰宅したラナが侵入者に襲われ、この事件以降、夫婦の生活は一変する。包帯を巻いた痛々しい姿で帰宅したラナは精神的にもダメージを負い、めっきり口数が少なくなった。一方、エマッドは犯人を捕まえるために「警察に行こう」とラナを説得するが、表沙汰にしたくない彼女は頑なに拒み続ける。立ち直れないラナと、やり場のない苛立ちを募らせるエマッドの感情はすれ違い、夫婦仲は険悪になっていく。やがて犯人は前の住人だった女性と関係がある人物だと確証を掴んだエマッドは、自力で犯人を捜し出すことを決意するのだが……。(KINENOTE)
監督・脚本:アスガー・ファルハディ
主演:シャハブ・ホセイニ/タラネ・アリシュスティ
ネタバレ感想
エマッドに感情移入して鑑賞した。で、彼のラナに対する苛立ちには共感をもって観ていたように思う。学生に対するそれとか、復讐相手に対するそれは、わかるようでわからん部分もあったかな。
いずれにしても、エマッドは他者への理解力があり、教師としても優れた人間であるように描かれていた。だからこそ、彼がラマが被害者となる事件の後に、少しずつ変わっていってしまうところに恐ろしさを感じる。
その恐ろしさというのは、自分が感情移入をしていたエマッドの心情を推し量れること、つまり自分も何かの拍子でエマッドのような行動をしてしまう可能性があると思わせるところだ。
そしてこの物語は、小さな選択が各々の人生を大きく変えていくことを描いている。普段何気なく、ほぼ意識せずに行っている様々な場面での選択が、この作品のような展開を呼ぶ。それは全く他人事ではないのである。
そして冒頭にも書いたように、イラン、つまりイスラム教徒の国における性差の問題を感じる内容でもあった。
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