レリック
博物館の警備員が何者かに惨殺された。ダガスタ警部補はグリーン博士ら博物館の職員たちに聞き込みをしつつ、謎の殺人者の正体を追う。しかしそれは、異形の化物だったのだ。画面が暗すぎて何が起こってるのかよくわからないけど、そこそこ面白いモンスターパニック。ネタバレあり。
―1997年公開 米 110分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説:未知の寄生生命体から生まれた怪物が人類を襲うパニック・ホラー。ダグラス・プレストンとリンカーン・チャイルドの同名小説(邦訳・扶桑社ミステリー文庫)を、「ゲッタウェイ」(94)のエイミー・ホールデン・ジョーンズ、「STAR TREK:ファースト・コンタクト」のジョン・ラッフォ、「ゆりかごを揺らす手」のアマンダ・シルヴァー、ロック・ジャッファの共同で脚色。最新の特殊技術で古典的なモンスター・ホラーを現代に再生させた監督は、「サドン・デス」のピーター・ハイアムズ。今回も撮影監督を兼任し、漆黒の闇を生かしたキャメラワークで恐怖を煽る。製作は「ダンテズ・ピーク」「ゴースト&ダークネス」のゲイル・アン・ハードと「コンゴ」のサム・マーサー、製作総指揮は「12モンキーズ」のゲイリー・レヴィンソンと「ブロークン・アロー」のマーク・ゴードン。音楽のジョン・デブニー、美術のフィリップ・ハリソン、編集のスティーヴン・ケンパー、衣裳のダン・レスターは「タイムコップ」「サドン・デス」でも監督と組んだ常連スタッフ。クリーチャー・エフェクトは「コンゴ」のスタン・ウィンストン、視覚効果監修はグレゴリー・L・マクマーリーが担当し、視覚効果はVIFX社が担当。主演は「カリートの道」のペネロープ・アン・ミラーと「ナチュラル・ボーン・キラーズ」のトム・サイズモア。共演は「プレタポルテ」のリンダ・ハント、「ショーシャンクの空に」のジェームズ・ホイットモア、「ニュー・エイジ」のオードラ・リンドレイ、「バット21」のクレイトン・ローナー、「ホット★ショット2」のチー・ムオイ・ローほか。(KINENOTE)
あらすじ:シカゴ沖に漂着した南米の貨物船から、6体の惨殺死体が発見された。同じ頃、シカゴ歴史博物館に南米へ調査に行ったホイットニー(ルイス・ヴァン・ベルゲン)から2つの木箱が届いた。1つは“世界の迷信展”のために送られたゼンゼラ族の神獣レリックの石像。もう1つには、クッション代わりに敷き詰められた木の葉以外には何も入ってなかった。博物館勤務の進化生物学者のマーゴ・グリーン(ペネロープ・アン・ミラー)は、その葉に付いたカビ状の胞子を分析のために保存する。その夜、博物館の警備員フォードが何者かに惨殺された。ズウィージク監察医(オードラ・リンドレイ)の検死解剖の結果、奇妙なことに損壊した頭部からは脳下垂体と視床部が失われていることが判明。シカゴ市警のダガスタ警部補(トム・サイズモア)は、船の死体と酷似した結果に胸騒ぎを覚える。翌日、博物館ではカスバート博士(リンダ・ハント)以下の職員が、夜に開かれるパーティの準備に追われていた。市長や有力な後援者ブレイズデイル夫妻を招くこのパーティは、助成金獲得のためにも重要な催しだった。警察は全力を挙げて館内を捜索、地下で前科のあるホームレスの男を発見し、射殺した。だが、事件は人間の仕業とは思えないダガスタは疑念を拭えない。一方、マーゴはあの葉のサンプルを食べて巨大化した甲虫に遭遇し、そのDNAを分析すると、そこに甲虫とヤモリの遺伝子が混在しているのを発見する。その頃、ダガスタは市長の命令でやむなくパーティを開くことを許可し、パーティ会場以外の施設を閉鎖する。警察犬を使って捜索を続けた彼らは、地下坑道で何者かの巨大な影に遭遇した。急いで会場から参加者の非難を命じるが、時既に遅く、セキュリティ・システムが暴走を始めて防火扉が封鎖され、人々は閉じ込められてしまった。そこへ姿を現した怪物が怪力で鉄の扉を壊して彼らを襲い、1人また1人と犠牲者が増えていく。ダガスタは研究棟に閉じ込められたマーゴたちと出会い、フロック博士(ジェームズ・ホイットモア)から、怪物を生んだのはカリスト効果だと聞かされる。ゼンゼラ族は古代から例のカビ=未知の寄生生命体を使い、一種のバイオ兵器として使用したという。その結果、様々な生物の遺伝子を取り込んだ怪物=コソガに進化したというのだ。その弱点を探るうち、驚くべきことに怪物のDNAには人間、すなわち南米で失踪したホイットニーのDNAが含まれていることが判明。ブレイズデイル夫妻やマーゴの同僚グレッグ(チー・ムオイ・ロー)も犠牲となり、マーゴとダガスタは怪物の目を逸らしているうちに市長ら生き残った人々を坑道から外へ逃がそうとするが、コソガは超低温の攻撃にも耐えた。マーゴは1対1でコソガと対決し、爆薬を調合して怪物に放つ。怪物は猛火に包まれ、やがて爆死した。(KINENOTE)
監督:ピーター・ハイアムズ
出演:ペネロープ・アン・ミラー/トム・サイズモア
ネタバレ感想
アマゾンプライムで見つけて、懐かしくなって鑑賞。最近はサメ映画とかワニ映画とか恐竜映画とかを除くと、モンスターパニック映画って少なくなったという印象。特に今作のようなUMAと呼べるようなモンスターが出てくる作品が。
異形の生物に襲われるモンスターパニックの傑作と言えば、『ザ・グリード』がある。あとは『トレマーズ』とか。で、この作品はそういう傑作に匹敵する内容かと言えば、ぜんぜんそんなことはない(笑)。だけど、個人的にはけっこう好きなので、こうやって忘れた頃に鑑賞したくなるのだ。
何がいいって、主演のダガスタ警部補を演じるのがトム・サイズモアってところ。彼って犯罪者とか小悪党を演じてる印象が強いんだけども、今作では警部補だからね。しかも、かなり有能でできる人なの。奥さんとは別れちゃってて愛犬の養育権を取られちゃってるという、物語にあまり活かされてる感がない設定もまたいい(笑)。
ダガスタは捜査と人命救助のためには無能な権力者たちに屈せずに戦える男なのだ。部下の扱いも悪くない。そんでなぜか迷信を信じるタイプというか、自分が狙われていたものの不発に終わって命が助かったという弾丸や、死体をまたがないというゲン担ぎをするような人間。こうした設定が物語内で利いていて、ユーモアになっているシーンもある。
個人的には、トムサイズモアが出演してなかったらさほど好きな作品になってなかったかもというくらい、今作の彼は良いのだ。あとはモンスターが暴れる舞台が博物館ってところもいいよね。館内で開かれるパーティがモンスターにより阿鼻叫喚の場となり、上級国民どもがパニックになって、回転ドアにつぶされちゃう奴が出てくるとか、あの辺の描写もパニック映画ならではッて感じでよろしい。
ただ、苦言を呈したい部分もたくさんある。まず、画面が暗すぎて何が起こっているのか分かりづらいシーンが結構あること。あと、あんなデカいモンスターがあんだけの人が出入りしている博物館の中で、なかなか発見されないでいて、都合のいい時にしか出現しないってのはいかがなもんか。
ついでに、地下にいたと思ったら展示ホールに姿を現したり、建物の構造を無視したかのような神出鬼没ぶりで、初見の時はモンスターは複数いるのかと思っちゃったくらいだ。あと、ダガスタのキャラ設定は物語にそこそこ生きていると書いたが、物語展開にさほどの影響をもたらさない無駄に思えるシーンもあって、例えば、子ども2人が閉館後の博物館内に取り残されちゃうくだりとか意味不明。
まぁでも、異形のモンスターが実は人間で、ブラジルのゼンゼラ族の手によって進化させられた化物だったってのはなかなかぶっ飛んででいいですな。ゼンゼラ族は事あるごとにこの化物を生み出し、周辺の部族を滅することで生き延びてきたっていうのが、またすごい。だって、遺伝子や進化の知識がない人たちが、謎のカビの秘密を知ってるわけだからね。
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