ブレイン・スナッチャー 恐怖の洗脳生物
宇宙からやってきた謎の生物に、人間が寄生されていく。主人公たちはエイリアンの侵略に対抗できるのか? ロバートAハインライン原作の人体寄生生物作品。90年代らしい古臭さはあるが、寄生ものの作品としては楽しめる。ネタバレあり。
―1994年製作 米 110分―
解説とあらすじ・スタッフとキャスト
解説とあらすじ:ヒトの神経系統を乗っ取り、思考と記憶を支配するヤツの正体は!? アイオワ州の片田舎に未確認飛行物体が落下。しかも既に2人の捜査員が行方不明になっていた。真相究明に乗り出す科学情報局のサム(エリック・タール)、その父親のニーヴンス局長(ドナルド・サザーランド)、そしてNASAの科学者メアリー(ジュリー・ワーナー)。ところが驚くべきことにアイオワ周辺は人間を思いのまま操るナメクジ状の寄生生物に占領されていた。一刻を争う敵の正体の解明。だがサムが”寄生”され、次にメアリーも操り人形のようにされてしまう。出動した軍隊も全滅した。辛くも寄生を逃れたサムは、メアリーを救出すべく敵の”巣”へ向かった!原作はSF界の第一人者ロバート・A・ハインラインによる侵略テーマの傑作「人形使い」。底知れぬ恐怖感で迫る必見のSFショッカー!(amazon)
監督:スチュアート・オルム
原作:ロバート・A・ハインライン
出演:ドナルド・サザーランド/エリック・タール/ジュリー・ワーナー/キース・デヴィッド/ウィル・パットン
ネタバレ感想
類似作品について
全然存在を知らなかったのを、レンタル配信で見つけて鑑賞。未知の生物(大体がエイリアン)に寄生された人間が、その生物に操られちゃって云々…的な話はSF作品にはいっぱいある。たぶん、今でもそういう作品は撮られているだろう。で、俺はその手の作品がけっこう好きなので、このブログでもけっこう取り上げてきた。
で、そのたびに以下のような同じ文章を書いているんだが、アメリカのSF作家、ジャック・フィニイによる『盗まれた街』を題材にした映画だけでも、『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956年、米)そのリメイクである『SF/ボディ・スナッチャー』(1978年、米)、『ボディ・スナッチャーズ』(1993年、米)『インベージョン』(2007年、米)てな感じに、何度もつくられている。ちなみに、『レプリケイト 襲撃』(2019年、米)も、かなり似たような作品。
てなことで、今作はロバート・A・ハインラインの『人形使い』が原作らしい。このSF作家の作品と言えば、『夏への扉』がエモくて傑作なわけだが、彼はこういうテイストの作品も残していたんだなぁということを初めて知った。
ドナルドサザーランドが(笑)
ちなみに、前述の『SF/ボディ・スナッチャー』では本作で局長およびサムの親父を演じているドナルドサザーランドが主役として登場していた。俺が彼の出演作を見た限りの話ではあるが、このオッサンは大体が悪役的な立ち位置を演じることが多い。
だから今作でもそうなんかなぁと思ったら、そうでもなく、頑固で厳しいながらも、息子に愛情を持っている親父、かつ自分の職務を全うせんというプロ意識もある人間として描かれていて、結構意外だったなぁ。だって、大体の作品だと、最初から悪者だったり、あとあと黒幕だと判明する悪者だったり、そんな役ばっかりの人だから(笑)。
こういうエイリアンものは面白い
繰り返しになるけど本作も、上述してたようなエイリアンによる人体寄生作品であり、その内容はどれも似たり寄ったり。要するに、外見は人間と同じなのに、別の生き物になってしまったそいつらが、徐々に数を増やして人間の文明社会をのっとっていくーーその恐怖が描かれているのだ。
で、この人体寄生の状況を人間社会の人種差別やら管理社会やらその他云々の比喩であり、社会風刺的に解釈できるーーてな感じの評され方が一般的なものだと思うが、まぁそんな面倒なこと考えなくても、人間だと思っていた存在が別の者になっていき、主人公たちはその恐怖から逃れることができるのかーーっていう物語展開を見てるだけで、この手の作品は面白いのである。
特に今作は、やや唐突な展開に感じる部分が多々あるものの、父と息子の関係性なども物語の中にきちんと生かされているし、それなりの説得力を持って最後の結末までスピーディに進行していくので、個人的にはとても楽しめた。
で、今作のエイリアンは、存在的には「ワン」であるらしい。つまり、ナメクジみたいなたくさんの寄生生物はすべてが一つの存在なのである。要するに、寄生された人間たちはすべて「ワン」になるのだ。寄生された各個人の記憶や人格が「ワン」として統合されるのである。
これもこの手の作品にはけっこうある設定で、特に目新しさはないのだが、よく考えてみると、今作はきちんとハッピーエンド的に物語が解決されてたところが、けっこう意外で好感を持てた。
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